私にとっては初めてのミュージカル出演でした。
オーディションに受かってから歌の勉強を始めて、1年半。
東京公演の女子楽屋で少し共演者と話していた時、
「みんなはどのくらい歌やってるの?」と聞いたら、
全員が「10年以上」と答えました。
・・・あの瞬間の戦慄は忘れられない。
大事なのは年数ではないとはわかっているけど。
稽古場でも、わからないことだらけ。
これまで出たことのある商業演劇は1回だけ。
未だに、制作や演出部の皆様が付いていて、役者はアンサンブルであろうと役者の仕事だけをしていればいいという状況に慣れない。
歌唱指導?オケ合わせ?マイク?ウィッグ?衣裳、こんなに本格的なの!?え、ヴォーカルチェック?
・・・全部初経験。でも、面白かったなぁ。
これが、1回きりの“体験”に終わらないよう、今後も歌とダンスの研鑽は積んでいこうと思っています。
なによりも、一流の役者であるメインキャスト、役付きのシングルキャストの皆さんの稽古への臨み方を目の当たりにできたのが大きかった。貪欲に追求して、果敢に挑戦を続ける姿。
それから、アンサンブルのみんなの手練れ感。歌も踊りも芝居も、決められたものの中にどんどんオリジナリティを加えていって、シーンをより強靭なものにする力。
真似したいところがいっぱいあった。
時には、他人と自分を比べてしまって無駄に辛くなったり。
たくさん悩んでたくさん笑って。
歌って踊って芝居して。
『マタ・ハリ』に関われて幸せでした。
東京、愛知、大阪と、多くのお客様にご来場いただけたこともありがたかった。
本当に本当にありがとうございました!!!!
鷹野梨恵子