上岡龍太郎さんが亡くなった。

小学生時代は土曜日に学校から帰って、お昼ご飯を食べながら見ていた「ノックは無用」。

中学生の頃は「ラブアタック!」

その後しばらくは私がTVをあまり見ない時期が続き、20代後半でTVのある暮らしに戻ってからは「鶴瓶上岡パペポTV」、「探偵ナイトスクープ」。

たしかパペポの中で話されたことだと思うけれど、漫画トリオの頃、他の芸人と比べて劇場側の自分達への扱いが悪いと不満を言ったところ、ノックさんから、「オレらは目の前のお客さんを笑わせたらええんや。劇場が誰を一番に売れさせようとしていようが気にするな。お客さんを笑わせたもんが勝ちや」と言われたそうだ。

この話を聞いた時、私は大学受験予備校の講師だった。
予備校の講師は人気商売。
予備校側が「人気講師」として位置付けて売り出してくれるかどうかで全然違ってくる。
「あの先生より私の方が良い授業をしているのに、なんであの先生の方に看板授業をやらせるの?」などとモヤモヤすることがあった。

そんな時に思い出していたのがこのノックさんの言葉。
「そうや、目の前の生徒たちに、『よく分かる』『面白い』と思わせたら良いんや。他のことは気にするな」と自分の心を立て直していた。

そのお蔭もあるだろう、生存競争の激しい予備校講師の世界で27年間生き残れて来れたのは。

今また違う世界に私は身を置くようになった。
「私は誰のためにこの仕事をするのか」「その人たちのために力を十分に尽くしているのか」を常に意識するようにしている。

つまらない足の引っ張り合いや噂ばなし、下馬評に惑わされる愚になってはいけないと常に自戒をしている。