Sway ~スウェイ~ ≪Quien sera?~キエン・セラ~≫ | 美肌ジャズタイム

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『ジャズをもっと身近に』をモットーに、歌とフルートで活動している日本の女性ジャズ歌手若生りえのブログ。ジャズの歌詞について語っています。

電球ここでの解釈は、私、若生りえがあくまでも歌手として歌わせて頂く際の、一つの歌詞の世界であり「こんな気持ちで歌わせて頂いております」という一つの意思表示です。この世界の認識を押し付けたりするものでもありません。あくまでもご参考までに。また文章をお使いになる場合はお手数ですが、ひと言ブログへコメント頂ければ幸いですSAYUうふふ

 

Quien sera? ~キエン・セラ~

原曲・原詩(スペイン語)1953年

Luis Demetrio

Pablo Beltrán Ruíz パブロ・ベルトラン・ルイス

 

Sway~スウェイ~

英語歌詞1954年

Norman Gimbelノーマン・ギンベル

 

【メキシカンハット&ポンチョ&ギターとくれば!】

 

メキシカンハットをかぶり、ポンチョをはおり、ギターを抱えてベサメ・ムーチョでも歌えば、もうメキシカンスタイルの出来上がり!という感じですよね?

 

このステレオタイプを作ったのは、そう!

 

ラテン音楽でおなじみのトリオ・ロス・パンチョス!!

 

1944年からメンバーが何度も代わる代わる交代しながら、トリオの3人から最後には2人になり、それに伴い、名前もトリオがとれて、ロス・パンチョスに変わり、1993年には初代から唯一所属していたチョーチョ・ナバロがなくなって、一人残ったラファエル・バスルト・ララが、ラ・ヴォス・デ・ロス・パンチョス(La Voz de Los Panchos)と名乗り、『ロス・パンチョス』という言葉を残し、まだ活動しているようです。

 

そんなトリオ・ロス・パンチョスの代名詞ともいえる曲が、そう、この曲『キエン・セラ?』

 

【スペイン語タイトルの『キエン・セラ?』の意味】

 

Quien sera?と書いて『キエン・セラ

 

この最後のハテナマークがミソ!!

 

直訳すると、「誰だろう?」

 

なのですが、それだけでは何だろう?ですよね(笑)

 

私を愛してくれる女性は、誰だろう?

 

私に愛をくれる女性は、誰だろう?

 

というような内容だそうで、言葉を少し変えながらも、そのあとも、『もう一度燃えるような恋をするならば、その相手はいったい誰なんだろう?』

 

というような感じなんですって。

 

まさに、情熱のスペイン語圏(笑)ですね!!

 

そう思ってから、日本では、あのザ・ピーナッツが日本語で歌っていたような?と思って調べましたら、やはり、あのころの外国語の歌は本当に歌われていますね!

 

この曲も歌っていました。歌いだしは・・・

 

♪私を愛するのは、だれでしょう?キエン・セラ~?

 

と歌われていました!!

 

原曲に忠実に日本語歌詞になっていたんですね!

 

それでは、ここからが本題。

 

英語バージョンはどういう意味なんでしょう?

 

【キエン・セラ?の英語バージョン『Sway(スウェイ)』】

 

ストレートな表現で『私を愛してくれる女性は、誰だろう?』という歌詞で展開していたのに対して、英語歌詞の方は、スペイン語歌詞を元に、もっと映像が浮かんできそうなドラマのような歌詞になっています。

 

ラテン音楽と切っても切り離せないのは、そう、ダンス!!

 

音楽と踊りは、どの国も原始的なものなのでどこの国でも、もちろん切っても切り離せない存在ではあるのですが、その中でもラテン音楽の国は、踊るために音楽はあるし、音楽があるから踊るんだ!というようなお国柄ですもんね!

 

タイトルの『Sway(スウェイ)』という言葉には『揺れる』という意味があり、

 

大きな海が岸辺を抱くように、

僕らも一緒に音楽に合わせて踊ろう、揺れながら。

 

というような、男女を海と岸に例えながらダンスが始まるという、なんともムーディな内容になっておりますWハート

 

音楽が始まると、お目当ての相手を誘ってダンスをする。

 

そこから恋が始まる・・・というわけですね!

 

『大きな海と、岸辺』という歌詞の後も、二人で踊るシーンを『一輪の花を揺らす、そよ風』、『ヴァイオリンの魅惑の音色と、揺れる心の琴線』と、まさに踊りながら揺れる(Sway)男女に例えられていて、スペイン語圏の情熱満載の英語歌詞となっております!

 

【マリンバとラテンアメリカ】

 

ところで、そのスペイン語圏のメキシコ生まれのこの曲。

 

英語歌詞でもいきなりラテンアメリカを代表する楽器『マリンバ』という言葉が出てきます。

 

マリンバという楽器はいわゆる木琴の一種ですが、『良い音の出る木がある国』でこの楽器が生まれました。

 

マリンバに使われる木材は、ラテンアメリカと呼ばれるところがおもな原産国で、地理的には、おおまかに、いわゆる中南米にメキシコを含めた北アメリカまでを呼んでいるそうで、かつてスペイン・ポルトガルが支配していた地域だった為、スペイン語・ポルトガル語・フランス語などのラテン系言語が公用語として使われていて、社会文化もその流れに沿ったものであることから、ラテンアメリカと名づけられたのだそうです。

 

英語歌詞でも、そのマリンバとラテン音楽のつながりを、こういうところで深くつながっていることを表現しているのですね!

 

【英語歌詞の魔術師ノーマン・ギンベルとジョビン】

 

この『キエン・セラ?』の英語バージョン『スウェイ』の大ヒットには、これまたもう一つ要素が裏打ちされていました。

 

この英語歌詞を訳した人はノーマン・ギンベル

 

彼は作詞家としての代表作『やさしく歌って~Killing me softy with his song~』がありますが。

 

なんといっても彼の名前が有名なのは、アントニオ・カルロス・ジョビンのポルトガル語の作品『イパネマの娘』『ソ・ダンソ・サンバ』など有名な曲は、ノーマン・ギンベルが訳しており、スペイン語とポルトガル語はほとんど似ているので、彼が訳したのですね。

 

アントニオ・カルロス・ジョビンという人は、自分のポルトガル語の作品を全く違う内容で訳されることをとても嫌った人でした。

 

作品は自分の子供ですからね!

 

たとえば、泣かせるようないい失恋の曲を、勝手に大恋愛に直されて知らずに歌われていたら、作詞作曲した本人は、とても腹が立つと思うんです。

 

よほど、英語歌詞にした時に、その直すために十分納得させるような理由があって、それをジョビンが納得すればいいのでしょうが、どうやら、まだ『ポルトガル語』の歌詞をちゃんと訳せる英語圏の翻訳者がいなかったらしく、雰囲気だけで訳されるたびに、ジョビンを怒らせていました。

 

その後、ジョビンは自身で英語歌詞に書きなおすほど、『英語歌詞』にとてもこだわっていた人ですが、そんなジョビンの作品中でも、能力を発揮していたのがノーマン・ギンベルでした。

 

『キエン・セラ?』はもちろんジョビンの作品ではありませんが、ノーマン・ギンベルの能力は、このスペイン語の『キエン・セラ』の世界観を残しつつも、英語バージョンでは、もっと歌詞の世界を具体的にムーディな大人の恋のドラマにふくらませた『スウェイ』にして、やっぱり大ヒットしました。

 

【ディーン・マーチンからマイケル・ブーブレで再ブレーク!】

 

オリジナルのトリオ・ロス・パンチョスがリリースした翌年の1954年に、ディーン・マーティン大ヒットさせました。

 

あの甘さの中に芯のある声で歌ったら、ヒット間違いなしですね!

 

そして!!

 

日本の映画『シャル・ウィ・ダンス?』のハリウッドリメイク版では、草刈民代さんの役をジェニファー・ロペスが演じており、この歌をサウンド・トラックで歌っており、劇中でもつかわれています!

 

あの『ダンス』を中心にめぐる人間模様を描く映画に使われた意味が分かりますね!

 

2003年には、今ではジャズ界のみならず、アメリカの音楽シーンに欠かせない存在になってしまったカナダ出身のスーパースター!カナディアン・クルーナーのマイケル・ブーブレの歌が大ヒット!!

 

それではそんな流れで誰を聴きましょうか!

 

【さぁ、誰を聴く??】

 

まずは、歌入りの原曲のトリオ・ロス・パンチョス!!

 

女性ジャズ歌手のイーディ・ゴーメ

 

イル・ディーヴォも歌っていました。

 

英語バージョンでは、やはりディーン・マーティン!

 

そして!マイケル・ブーブレ!

 

ジェニファー・ロペス!

 

あとはたくさん歌っておりますので、検索してみてくださいね!

 

まずは、トリオ・ロス・パンチョス!ハーモニーが素敵!

 

 

Sway

When marimba rhythms start to play

Dance with me, Make me sway

Like a lazy ocean hugs the shore

Hold me close, Sway me more

 

Like a flower bending in the breeze

Bend with me, Sway with ease

When we dance you have a way With me

Stay with me, Sway with me

 

Other dancers may be on the floor

Dear, but my eyes will see only you

Only you have that magic technique

When we sway I go weak

 

I can hear the sounds of violins

Long before it begins

Make me thrill as only you know how

Sway me smooth, Sway me now

 

 

やっぱりこれを載せなくっちゃ!

いい感じでドラマ仕立てになっていました(笑)

この曲といえば、ディノ様!ディーン・マーティン

 

 

マリンバの音が

リズムをつむぎ始めたら

踊り始めよう、一緒に

さぁ、僕の動きに合わせて

まるで凪いだ大きな海が

ゆったりと岸辺を抱くように

しっかりと寄り添い

二人の海を踊ろう

もっと・・・

 

まるで、一輪の花を

そよ風がやさしく揺らすように

僕に体をあずけて

心地よい風にただ委ねよう

身も心も・・・

二人揺れながら踊るこのひと時

離れないようにしっかりと

僕の腕の中にいるんだ

風に揺れよう

僕と・・・

 

たとえフロアで他の女の子たちが

踊っていたとしても

わかるかい?

僕のこの目は君しか見てないんだ

踊っているときの君だけが放つ

その魅力の魔法に触れてしまうと

一瞬で心奪われて

立っていられなくなりそうになるんだ

 

そう・・・

この魅惑のヴァイオリンの音は

踊る前からすでに聞こえ始めていた

ずっと前から

もっと心ふるわせて

君しか知らない弾き方で

心地よいその調べで僕を酔わせて

今この時

二人揺れながら・・・

 

 

 リバイバルヒットさせた、マイケル・ブーブレ

 

 

 

結構ツボの、ザ・ピーナッツ