身辺自立で検索すると、「自分の身の回りのことを、自分でできるようになること」とありました。

 

療育園、保育所、学校と、集団で過ごす中で、服の脱ぎ着、トイレトレーニング、食事の仕方など、息子が少しでも身辺自立ができるように、先生方は時間をかけて根気強く指導してくださいました。

 

家でも、TEACCHの訓練にヒントを得たり、また、先生方にもいろいろ教えてもらったりして、あーでもないこーでもないと、都度都度、身辺自立のトレーニングをしていました。

ただ家では、甘えがどうしても出てしまって、なかなか上手くいかず、焦りも出て、時には強く叱ったり…母である私も反省の日々でした。

 

ある時から、学校とかで頑張っているんだから、家では気張らずにいけばいいんじゃないか、楽しい中で少しでも身につければラッキー、ぐらいに思えばいい、と開き直ってみると、息子も私もお互いに楽になって、身辺自立の呪縛から開放されたように思います。

 

以下、個々に、書いてみます。

 

【食事】

食べることが大好きな子だったので、小さい時から、スブーンや手を使って、自分で積極的に食べていました。

スプーンは、小さい時は上からグーの形で握っていましたが、長年の努力が実を結び、大きくなってからは、自分から鉛筆持ちに近い形で握って食べていました。

 

 

   

   

 

小さい頃は練習中。大きくなるにつれて自然と…おねがい

 

ただ、もともと口の周りの筋力が弱くて、前歯が閉じない状態もあって、食べ物が口に入っても外にこぼれやすかったので、右手のスプーンで食べ物を口に入れ、左手で外に出てくる食べ物を押入れる食べ方をしていました。

 

 

     

 

    

食事の形態は、小さい頃は特に気にせず食べさせていましたが、時々むせてせき込む事があって、中学生の頃はその傾向が少し強くなったので、専門病院の先生に相談すると、食事形態を変えたほうがいいというアドバイスを頂き、そこからはキッチンバサミで毎回刻んで食べさせていました。

学校でも、毎日キッチンバサミを持たせ、先生に刻んでもらっていました。

そして学卒後は作業所に通っていましたが、そこは外部からお弁当を取り寄せていて、ややおかずが固めなのもあって、ミキサーで刻んでおられました。

 

【トイレ

療育園から学校にかけて、先生方は、どんなにおしっこを漏らしても、徹底的に布パンツで過ごさせていました。

当然家でもそうしようと頑張ってみるのですが、いつまでたってもじゃじゃ漏れ&トイレでするという感覚が身につかず、こちらがすぐギブアップする悪循環でした。

小さい頃はトイレが嫌いだったので、トイレの壁にミッキーマウスとかの絵を貼ったりして可愛くしたり、歌を歌ったりして、トイレ嫌いはすぐ克服できましたが、逆に、トイレは遊ぶところみたいな感じになって、トイレは本当に苦戦しました。

こんな状態なので、外出先は余計に布パンツにさせるのがかなりの負担で、ついつい紙パンツになって、なんとなく罪悪感に落ちいっていました。

ある時、先輩お母さんに相談すると、「外は紙パンツと割り切って、外出の方を楽しんだ方がいいよ」とアドバイスをもらい、すごく心が楽になりました。

その辺りから、「家ではそんなにがむしゃらにやらなくていいんじゃないか?学校とかで頑張っているのだから…」と思うようになり、紙パンツも気軽に使っていました。

そういう状態が当たり前になっていた14歳の頃、パパが担任の先生にふとトイレトレーニングのことを相談すると、「〇〇くんはトイレできてますよ」と言われ、帰ってきてから試しに布パンツにさせてみたところ、自分からトイレに行っておしっこをしたので、ものすごく驚きました。

そしてその日から、今までのことが嘘のように、自分でトイレに行くようになったのです。

時々は失敗していましたが、それまでのことを思うと全然オッケー。

ほぼ諦めていた分、すごく嬉しい成長でした。

何気に息子の自分からする力を待つ形になっていたのですが、それって大事なんだなぁと気付かされた出来事でした。

 

《「身辺自立②」へ続く》