「うわぁッ、ヤバッ!蛇とマングースの戦いじゃん。」
シウォナがポロッと心の叫びを漏らしてしまう。
「誰が蛇とマングースだって。」
「もう一度、言ってみなさいよ。」
俺とお義母様がシウォナを見る。
「イヤ、なんでもない。マジオッカナイ。コウイウトコロフタリニテルンダヨナ。何でもないですよ。どうぞ、続きを……」と言って右手で " どうぞ " のポーズをしている。
なんだよ。止めないのかよ💢
俺は、だんだんお義母様じゃなくてシウォナに腹が立って来た。
俺とお義母様が黙って睨み合っている。
「ただいま、戻りました。」そう言って首脳陣が戻って来た。
「あれッ、なんか空気おかしくない?重いよ。」ジョンス首相が言って
「王妃様とおばさん、蛇とマングースみたいに睨み合っちゃて。」ヒチョル副首相が、向こうでシウォナが " そんなこと言っちゃダメだという風に手を横に振っている。
「なんかありました?」とジョンウン副首相が
「俺達がいないから淋しかったとか。」シンドンが
「もしかしたら、僕達と一緒に写真撮りたかったんですか?言ってくだされば……」とリョウクが
「あっ、だから、カメラマンを広報の職員が呼びに来たんですね。」とジョンス首相の言葉に首脳陣が大きく頷いている。
なんだ、このわざとらしい頷き方は…
それになんで大の大人がくっついてる…気持ち悪い。
そんなことを思って首脳陣を見ていると
「ニャア」と猫の声が聞こえた。
「えッ!」と言って俺達全員が首脳陣を見る。
「バレたらしょうがねぇな。」ヒチョル副首相が言って
その言葉が終わるとさっきまでくっついていた首脳陣が、バラバラになる。
その間から、キュヒョにゃんとシウォにゃんが恥ずかしそうに「ニャア」と小さな声で鳴いて顔を出す。
「キュヒョにゃ~~ん!」
「シウォにゃ~~ん!」
ヒョクとドンヘが2匹の元に走って
「ごめんね、ごめんね。」と言って2匹を抱きしめる。
「化け猫達が何か言っていた?」とお義母様がバツが悪そうに首脳陣に聞いている。
いつの間にか、王様のご母堂と首脳陣というよりも、近所の子供の頃から知っているおばさんと大人になった子供達の会話になっている。
実際にこの中の何人かは、シウォナの幼馴染みであったりするので本当に子供の頃からお義母様のことを知っている。
「おばさん、この子達は化け猫じゃないよ。ちゃんと《キュヒョにゃん》と《シウォにゃん》という名前があるんだよ。」とヒチョル副首相がお義母様に言ってくれる。
ジョンス首相が「この子達は何も言いませんよ。」
ジョンウン副首相が「でも、いつも元気な2匹がトボトボと元気なく大広間の玄関の方に向かって歩いている姿を見たら、俺達だって気付きますよ。」
シンドンが「きっとおばさんに《化け猫》とか《帰れ❗》って言われたんじゃないのかなって思うよ。」
お義母様が黙って大広間の天井を見つめている。
リョウクが「2人のことだから、王子様や王様や王妃様にご迷惑をおかけしたら申し訳ないって思って帰ろうとした。何よりも大好きな王子様達が困るのを避けようとして " 帰る " っていう選択をして歩いていた。」
「そこへ、俺達が通りかかったわけだ。《弱きを助け強きを挫く》正義の味方首脳陣の登場だ。俺はモモライダーだぁ~~。」とヒチョル副首相が言って正義の味方のポーズでお義母様の方を向く。
ヒチョル副首相の甥っ子達が笑いを堪えて「おじちゃん、いい加減してよ。僕達恥ずかしィ~~。」と言っている。
シンドンが「おばさん、思い出してよ。王子様の小学校の入学式のあと、名前シールを貼るにそれこそ《猫の手も借りたい》って言って、キュヒョにゃんとシウォにゃんの本物の猫の手を借りただろ。俺はカレーが大好き、黄ライダーだ。」
そうだ、あの時は、本当に2人にはお世話になったよね。
文字通り2人の手のおかげで思いの外シール貼りが早く済んだんだ。
「そうね、そんなこともあったわね。」とお義母様が思い出している。
首脳陣とお義母様のやり取りを目にいっぱい涙を溜めたヒョクとドンヘが、キュヒョにゃんとシウォにゃんを抱きしめて見守っている。
「おばさん、王子様達の今日の頑張りと先日のシール貼りのキュヒョにゃんとシウォにゃんの頑張りを考慮して、キュヒョにゃんとシウォにゃんをこのままここにいてもいいことにしませんか?俺は、カッコいい赤ライダーだ。」とジョンス首相が優しくお義母様に言ってくれる。
お義母様が「…………」
「そして、プロのカメラマンも来たことだしみんなで一緒に写真を撮りませんか?キュヒョにゃんもシウォにゃんも一緒に撮ろう。俺は冷静沈着な青ライダーだ。」とジョンウン副首相が、さっき怒って写真なんか撮らないと言ったヒョクとドンヘに、2匹も一緒だからと写真を撮りやすい雰囲気にしてくれる。
「ご先祖様に安らかにお眠りくださいって言って、せっかく祭祀をやり遂げたのにケンカはよくありませんよ。おばさんも王妃様も王子様も王様も、みんな仲良く仲直りしましょう。僕はみんなが仲良しが大好きな緑ライダーだ。 」とリョウクが周りの空気をホンワカムードに変えてくれる。
俺とお義母様の間のピリピリした空気が、首脳陣達のお陰で和やかな空気に変わる。
「わかったわよ。いてもいいわよ。」
ヒョクとドンヘが2人を抱いて飛び上がっている。
「よかったね、よかったね。」と何度も言っている。
ハルも" バンザイ!" をしている。
俺の喧嘩腰の物言いだと、お義母様も売り言葉に買い言葉っていう風に気まずい、重苦し雰囲気だったかもしれないけど、機転を利かせてくれた正義の味方の首脳陣のお陰で危機を乗り越えることが出来た。
多分、お義母様も挙げた拳をいつ、どんな風に下ろしたらいいのかわからなかったんだと思います。
《ありがとう、5ライダーズ!》
《 地球の平和をありがとう!》