あいつら、なにやってんだ💢
キュヒョナに突進する気か!
「おーい、お前ら、ママに、キュヒョナに突進しちゃダメだぞ💢」
バスのドアから、顔を出したシウォナが、俺とハルの方に全速力で走って来るヒョクとドンヘに大声で叫んでいる。
" えっ!" って顔をして2人がシウォナの方に振り返るけど、勢いは止まらない。
それでもなんとかスピードを落とすと、今度は自分達が前のめりになって転びそうになっている。
俺は思わず「危ない!」って叫んでしまって
ハルも「ア~~。」と言って両手で目を覆ってしまう。
俺は、さっきシウォナが2人に注意したことを思い出して、もしもに備えて膝を付いた姿勢で2人を待つ。
咄嗟に体勢を立て直した2人は、なんとか転ぶことなく、今度は小走りで俺達の前にやって来て、
「ママ、ハルちゃん。ただいま。」と笑顔で俺の胸に飛び込んで来る。
俺は胸の中にいる2人に、ハルはそんな2人を横で見ながら「お帰りなさい」と言う。
俺の胸で顔だけ出したヒョクとドンヘが
「ねぇ、見てくれた?」
「ねぇ、僕達上手だったよね?」
「あのね、キュヒョにゃんとシウォにゃんを木の上で見かけたんだよ。」
「うん、ヒョクも見た?僕も見たよ。」
「みんなが、僕達に手をを振ってくれたんだよ。」
「だから、僕達も一生懸命に手を振ったよ。」
次から次へ、2人は俺達に話したいことがいっぱいあって、おしゃべりがなかなか終わらない。
そのうちに、俺の胸から離れて普通に立つようになっている。
俺もハルも、2人が身振り手振りを付けて《宗廟大祭》の様子を楽しそうに話しするのを聞いていた。
聞いているこっちまで楽しくなる。
「おい、ヒョク、ドンヘ。ママに会いたいのはわかるよ。パパもずっと会いたかったからな。それだからといってママに突進するのは危ないだろ。ママがひっくり返ったらどうするんだ。ママはもちろん、お前達もハルもそして、赤ちゃんもケガをするかもしれないんだぞ。」
首脳陣に囲まれてバスから降りて来たシウォナが、俺達のそばにやって来て2人に話かける。
シウォナに怒られた2人は「ごめんなさい。」と下を向く。
「大丈夫、ママひっくり返んなかっらから。」と言って俺も立ち上がる。
「それじゃ、王子様。お話の続きは大広間でしましょうか?」とジョンス首相が優しく2人に言ってくれる。
笑顔を取り戻した2人が「うん。」と言って頷いている。
みんなで大広間に行ことする。
「王様……その前に……ちょっと……」と青に鶴の韓服を着た広報担当の職員が走って来て
「王様、王妃様と王子様と王女様でお写真を1枚お願い出来ませんでしょうか?今回の様な正式な韓服姿の王様と王子様のお姿はなかなかございませんので……王妃様と王女様も韓服を着ていただいておりますので…ぜひ1枚お願いします。」とシウォナにお願いしている。
「そうだな、こんな機会はめったにないし、どうだ、キュヒョナ?」
「うん、いいと思うよ。」
俺達、シウォナと俺とヒョクとドンヘとハル。来年は双子が生まれているから5人で撮る最後の公式写真になるかもしれないなぁと思っていたのでいいと思った。
公式カメラマンが現れて
「それじゃ、王宮をバックに、先ずは王様。」
シウォナが王宮をバックに立って「はい、王様らしい威厳あるポーズ、素晴らしい。」
どんなポーズだよ(笑)
子供達が笑っている。
「撮りま~す。」パシャッ!
「もう1枚、撮ります。」パシャッ!
「次は、王妃様とご一緒に、王妃様お願いします。」
俺がシウォナのそばに行く。
「はい、いいですね。あっ、王様、申し訳ございませんが王妃様の腰はお抱きにならない様にお願いします。普通に立っていただいくだけで結構です。」
「なんでだよ。キュヒョナとくっついていたいのに💢」
「子供みたいなこと言わないでくれる。子供達が笑っているよ。」
3人にしてみればいつものことをシウォナがやっているよっていう感覚なんだろうけどね。
「はい、撮りま~す。」パシャッ!
「もう1枚、撮ります。」パシャッ!
「王妃様、お一人でお願いします。」
「いいですね。」
「キュヒョナ、可愛いよ💕」余計なことをシウォナが言う。
「撮りま~す。」パシャッ!
「もう1枚、撮ります。」パシャッ!
「次は、王子様。今回は、お一人づつも撮りましょうね。ヒョク王子様、お願いします。」
俺達と入れ替わりにヒョクが王宮をバックに立つ。
「いいですね。カッコいいですよ。」
「はい、キムチ。」パシャッ!
「もう、1枚撮ります。」パシャッ!
「ドンヘ王子様、お願いします。」
ヒョクとドンヘが入れ替わる。
「ドンヘ王子様もカッコいいよ。」
「はい、キムチ。」パシャッ!
「もう、1枚撮ります。」パシャッ!
「今度は、お二人ご一緒に。」
ヒョクがドンヘの横に
「はい、いいですね。」
「はい、キムチ。」パシャッ!
「もう、1枚撮ります。」パシャッ!
「ハル王女様、お一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫、ハルちゃん出来るよ。」
「ハルちゃん、可愛いよ。」ヒョクとドンヘがハルに声をかける。
ハルもその声に頷いてとびっきりの笑顔が出て
「はい、キムチ。」パシャッ!
「もう、1枚撮ります。」パシャッ!
その後、シウォナとヒョク、シウォナとドンヘ、俺とハル、子供達だけ、いろんなパターンを撮って最後に俺達一家の家族写真を
「 撮りま~す。はい、キムチ。」パシャッ!
「もう、1枚撮ります。はい、キムチ。」パシャッ!
「おじちゃん達とも一緒に撮りたい。」というヒョクとドンヘのお願いで首脳陣とも一緒に写真を撮る。
俺達の後ろに、左からシンドン、ジョンウン副首相、ジョンス首相、ヒチョル副首相、リョウクの順に5人が並ぶ。
「はい、撮ります。はい、キムチ。」パシャッ!
「もう、1枚。はい、キムチ。」パシャッ!
「それじゃ、大広間に行くか。」とシウォナが言うと
ジョンス首相が「私達は、まだこれから撮影が……」
「撮影?」
「ええ、撮影。」
「俺達のポスターや生写真の撮影。」とヒチョル副首相。
さっきの広報担当職員が「首脳陣のGoods が人気でして、ネットや王宮SHOPで売れていまして、王宮の収入になっております。その売上は慈善団体や自然災害に合った地域に寄付として使っております。」
「今回の王様ご一家のお写真もそうさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「もちろん、かまわないよ。」
「それより、俺も入んなくていいのか?俺が入ると余計にイケメン度がアップすると思うんだけど…」とシウォナがアピールしている。
「いいえ、いりません。」キッパリジョンス首相に言われている。
「どうしてだよ。」
「王様が入ると、爽やかがなくなります。」
「セクシーになり過ぎます。」ヒチョル副首相が笑いながら言っている。
「そうか、セクシーか。それじゃあ仕方ないな。」とシウォナが嬉しそうに言っている。
俺が思うに、ただ単にシウォナがいらないだけなんだと思うけど、首脳陣の優しさが「セクシー」って言葉になったんだと思うんだけどね。
「じゃ、頑張って撮影してくれ。俺達は、帰るぞ。」
「アッ、キュヒョにゃんとシウォにゃんだ。」ヒョクとドンヘが2匹を見つけて駆け寄って行く。