若いママ達に、俺の方を向いて両手の人差し指を頭の上に立てて角の様にして、「キュヒョナが怒っているから、ごめんね。俺、行かなくちゃ。この埋め合わせは今度絶対にするからね。」って言っている(多分)
若いママ達に、嬉しそうに手を振って、オマケにご丁寧にウインクまでして完全に後ろ髪引かれてるじゃん。
俺の所にやって来て
「いやぁ、参ったよ。俺は必死で断ったんだけど、ママ達が" どうしても、王様と写真を撮りたいんですゥ " (ご丁寧に物真似を、語尾を上げて)って言ってきかないんだよ。」と俺が聞いてもいないことをペラペラとしゃべってくれる。
俺は、そんなことはどうでもいいことで、早く100均に行って雑巾4枚を調達したいだけ……
「人気者だね。俺なんかより若いママ達の方がよかったんじゃない?」
「そんなことないよ、俺はキュヒョナも知ってる通りキュヒョナ一筋だよ。もしかしたら、妬いてる?」
シウォナの自尊心を満足させるために、ヤキモチを妬くふりをして「ちょっとね。シウォナがカッコいいからさ。俺心配なんだ。若いママ達に取られそうで。シウォナが素敵なのは俺が一番よく知っているだろう。」
「そうだよな、俺のことはキュヒョナが一番よく知っているもんなぁ。」
もう、ソロソロ小芝居をする気も限界に達して来たので「ねぇ、早く帰ろうよ。」とシウォナを急かす。
「オッ、そうだな。帰るとするか。」
よし、いいぞ。
俺は、ヒョクとドンヘを前に出して「2人とも先生に" さよなら" のご挨拶をして。」
2人が声を揃えて「先生、さようなら。また、明日。」と言って挨拶をしている。
俺もハルの手を引いて「先生、今日はいろいろご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。これに懲りずに2人の事をよろしくお願いします。」
「いいえ、とっても楽しかったですよ。ハルちゃんだったかな?」
そう言って、しゃがんで目線をハルに合わせてくれる。
そして、「先生、ハルちゃんがこの学校にやって来るのを楽しみに待っているからね。」ともう一度おっしゃってくださる。
ハルも「うん、ハルちゃん頑張ってお勉強するからね。」
子供達3人が先生にバイバイと手を振って俺達一家が教室をあとにする。
教室を出た瞬間に俺が「シウォナ、100均に行くよ。」
「えっ、どうして?」
「説明は車の中でするから、早く車玄関に回して。」
" えっ、なんでだよ!ワケわかんないよ?" っていう顔を俺の方に向けているけど、俺は無視して「早く、走って!走れ~~!」と言ってシウォナを追いたてる。
「もう、キュヒョナは人使いが荒いんだから……」と文句を言いながら走って行く。
俺はお義母様に「申し訳ございませんが、先に3人を連れて先に帰っていただけませんか?」
「それは、別にいいけど。」
「そうですか、ありがとうございます。それと、先にシールを貼り始めてくださると助かります。」
「その間、キュヒョンさん、あなたは?」
「俺は100均に行って、明日ヒョクとドンヘに持たせる雑巾を買いに行きます。」
「その事なんだけど、あのね、キュヒョンさん、ちょっと、私の話しを聞いてよ……」
お義母様が何か言いたそうにされていたけど、
「そんなことを言って自分だけ楽をしたいんでしょ?」とか
「そんなことも知らないで、よく入学式の準備をしているわね。 母親失格よ。」とか
「シウォンと2人きりになりたいんでしょ?」これはないな(笑)
いろいろ言われることが面倒で、「それでは、よろしくお願いします。」とお辞儀をして、ヒョクとドンヘとハルをお義母様に押し付ける様に渡して、俺は走り出す。
俺は後ろを向きながら走って
「お義母様、本当にすみません。お昼はバアヤには連絡を入れておきますので、それを食べて下さい。ヒョクとドンヘはもうチャイルドシートを使わなくても大丈夫です。ハルのチャイルドシートはお義父様の車にも付いていますよね。」とお義母様に叫んでいた。
パパとママにも、「ママ、パパ、悪いけどヒョクとドンヘの白い袋と赤い袋と封筒持って帰っておいて。シール貼り始めておいてね、お願い。」
言い終わると、俺はシウォナのあとを追いかける様に走り出す。
さっき、教室で待っている間に学校近くの100均を検索しておいた。
《T∧ISO》
《SERORI》
《TーCON⭐DO》
雑巾あるといいんだけどな。