「うるうどし」

「ウルウドシ」

ヒョクとドンヘが踊りながら歌っている。



「ねぇ、ママ、うるう年ってなあに?」2人から俺に質問が

「えっ、2人共知らずに歌っていたの?」

「うん、昨日からテレビで明日はウルウドシですっていっぱい言っていたから、覚えちゃった。」

「牛さんの年なの?」とヒョクが

「違うよ、牛さんはハルちゃんなんだよ。」とドンヘが

「そっか、そうだ、牛さんはハルちゃん。」

「えっと、僕達は……」2人が考えて

「酉だ!」と大きな声で叫んでいる。

「閏年って、ヒョクとドンヘの酉やハルの牛みたいに干支じゃないんだ。」

「違うの?」って言って2人共、首をかしげている。


「じゃあ、なんなの。」

「今日は何月何日?」

「今日は2月29日。」

「2月29日だよね。」

2人は、それがどうしたっていう顔をしている。


俺は、自分のスマホのカレンダーを開いて2人に見せる。

そこには2024・2

その下には、曜日と日付が

「今日がここ。」と言って29日の所を指でさす。

2人も頷きながら俺の指先を見ている。


俺がスマホの画面を左から右に動かす。

「1月、12月。」2人が俺と一緒に声を出しながらカレンダーを見ている。

「3月、2月。」

「去年の2月だよ。よーく見てご覧。」

「……………」2人が俺のスマホを凝視している。



「わかった!」


「何がわかった。」


2人が声を揃えて「ない、29がない。」

「そう、よくわかったね。29日がないんだ。」

「なんで?」とヒョクが

「じゃあ、これ見てね。」そう言って俺がまたスマホのカレンダーを2022・2まで動かす。

「ない。」2人が言っている。

そして、また、2021・2に

「ない。」

そして、2020・2

今度もまたないと思って2人がスマホのカレンダーを見ると

「ある。ママ、ここ、29日ある。どうして?」とドンヘが不思議そうに俺に聞いてくる。


「あのね、地球は1年365日かけて太陽の周りを回っているんだ。でも、本当は365日と6時間ぐらいかかっているんだ。だから4年毎に1日増えるんだ。そんな年を閏年って言うんだよ。」


俺の説明にわかったようなわからないような顔して

「じゃあ、2月29日生まれの人は4年に1歳しか歳をとらないの?」とヒョク

「じゃあ、お誕生日プレゼントもケーキも4年に一度なの?かわいそう。」とドンヘ



「バアバは歳を取るのは、4年に一度がいいわ。」と言ってお義母様がリビングにやって来られる。


そのあとにはシウォナとシウォナに抱っこされたハルとお義父様が。


「うわぁー、ハルちゃん可愛い。」

白のフリルがいっぱい付いたオーガンジーのワンピースを着て(もう、ワンピースというよりはウエディングドレス)髪もクルクルとカールされて、頭のてっぺん2ヶ所に赤いリボンが付けられている。


「バアバも、キレイ。」

時代劇に出て来そうな皇太后のようなチマチョゴリを着ていらっしゃる。


「お義母様、その随分……」

「そうだろう、時代劇に出てくるなんとか尚宮みたいだろう。」とシウォナが俺が口ごもった言葉を俺の代わりに言ってくれる。


「何を言ってるの、今日はヒョクとドンヘの幼稚園の卒園式なのよ。これぐらい当たり前です。」

確かに、シウォナもお義父様もこれからどこかのパーティーに行かれるんですかっていうブラックフォーマルを着ている。


「それより、あなた達準備は出来ているの?」

「うん、大丈夫。」

「これに、ローブを着たら終わりだよ。」

「あと、帽子も。」

ヒョクとドンヘも、卒園式用に普段の幼稚園の制服の上にハリー・ポッターに出てくるローブと呼ばれるマントと四角で左にフサが付いた帽子を被る。


お義母様がジロッと俺を見る。

俺は黒のダブルのハーフコートぽいダブルのジャケットにそのVゾーンからフリルが溢れる程の白のブラウス、パンツは同じく黒のスリムパンツ。

「まぁ、合格ね。」


「遅くなりました。」

俺のパパとママも到着だ。

ママのお義母様程ではないがなんとか尚宮みたいだ。

パパもブラックフォーマルだ。


「みんな揃ったみたいなので、ヒョクとドンヘの卒園式に行くわよ。」お義母様の言葉に

「おー!」ヒョクとドンヘとハルが声を揃えて返事をしている。