なんとか間に合ったかなぁ、そう思いながら
「シウォナ、俺、先に家に入ってるね。」シートベルトを外しながら俺が言う。
「おお、荷物は俺が持って行くから。母さんまだ来てないといいけどな。」
助手席のドアを開けながら「うん、そうだね。お願いするね。」
そして、ドアを閉める。
「ただいま~。ヒョク~、ドンヘ~、ハル~。ママ、キュヒョニオッパのレジブクロゥ」
「お帰りなさい。」
エッ!
その声は!
まさか、もう、来た……の
早い、早すぎる
なんのために朝早く行ったんだよ……
「お義母様、おはようございます。」
「おはようございますじゃないわよ、キュヒョンさん。」
「…………」
「その" キュヒョニオッパのレジ袋 " がどうしたですって、甘えた声出しちゃって。」
「そんなキモチワルイコエ…ダシテマセンケド」
「ウチのシウォンと喋っている声と全然違うんですけど。」
「シウォナニダッテ、アマエルトキハ、カワイイコエダスケド……」
「そんなことどうでもいいわよ。それより誕生会の準備は出来ているの?」
「それは、バアヤにお願いしていますし、帰ってからでも間に合います。」
「ふーん、そうなの。だから、SJマートに行ってたの。」
「母さん、そんなネチネチ言わなくてもいいんじゃない。今日はキュヒョナの誕生日なんだから、キュヒョナのやりたいようにやらせてやってくれよ。」と大きな荷物を抱えたシウォナが俺を庇ってくれる。
「誰がネチネチですって。お客様もいらっしゃるのよ。ちゃんとしておかないと恥をかくのはキュヒョンさんなのよ。ママはキュヒョンさんの事を思って言ってるのよ。」
「とにかく、まだ時間はあるんだから。」シウォナが荷物を俺に渡して、早くキッチンに持って行けというようにアゴをシャクって合図をしてくれる。
離れた所で俺達のやり取りを見ていた子供達にも「おい、お前達、ママの荷物を持ってやれ。」と言って俺と一緒にこの場所から離れる様に気遣ってくれる。
3人が俺の所に走って来て「ママ、荷物持って上げるよ。」
「ハルちゃんも持てるよ。」
「ありがとう。じゃあコレお願いするね。」
「うん。」
お義母様に会釈をして、俺は子供達と荷物を持ってキッチンへ向かう。
「ママ、大丈夫?」ヒョクが小さな声で俺にきいてくれる。
「ママ?ママは大丈夫だよ。ほらね。」と言って俺は右腕を力こぶの出るポーズで大丈夫さをアピールする。
「ママ、後でキュヒョンおじちゃんのレジ袋見せてね。」ドンヘが小さな声で言ってくる。
「後でコッソリね。」
「コッソリね。」ハルが手を口に当てて小さな声で言っている。
俺は、子供達の気遣いに泣きそうになったけど、泣くわけにはいかない。
少し鼻声になりながら「ねぇ、ヒョク、ドンヘ。ママのためにホットケーキ焼いてくれる?」
「もちろん、いいよ。」2人が大きな声で返事をしてくれる。
「ハルもお兄ちゃん達が焼いてくれたケーキをママと一緒にデコレーションしてくれるかなぁ?」
「ハルちゃんもママと一緒にする。デ……ションする。」
「本当?」
ハルが何度も頷いて「ホントだよ。ハルちゃん、ママとションするの。」と可愛くて言ってくれる。
「じゃあ、コレをしまったらホットケーキを焼く準備しなきゃね。」
「うん。」3人が笑顔で大きな声で俺に返事をしてくれる。