令和5年 目黒区議会第1回定例会で区長に代表質問した内容です。
昨年は、新型コロナウイルス・オミクロン株の大流行、ロシアによるウクライナ侵略、エネルギー危機、食糧危機、多発する自然災害と激動の歴史的一年でした。
また、トルコ南部で2月6日に起きた大地震は、発生から10日経過しましたが、被害はさらに増えるとみられ、世界各国から支援が届いていますが、復旧には相当の時間を要し、地震大国日本は身につまされる思いでございます。
そして危機は今も続き、私達の世界が、経済も国際秩序も、歴史的分岐点を迎えていると考えます。
この時代の大きな転換期にあって、住民に最も身近な基礎的自治体として
区民の生活を守り、目黒の未来を切り開らき、幸せ度の高い目黒を創って行く所存でございます。
第1問目 目黒を飛躍させる未来創造予算について
国の税収はコロナ禍でも伸び続け、消費税・所得税・法人税の主要3税は、
3年連続で過去最高額になりましたが、一方でコロナ関連の経済対策で歳出は膨らみ、過去最高の税収があったとはいえ、歳出の半分も届かず、巨額の国債発行に頼る構造は続いています。
東京都も企業収益の伸びが反映し、令和5年度一般会計予算は、初の8兆円を超え、目黒区は給与所得が伸び、区の税収は488億円余の最高額に、当初予算は過去最高の1,197憶円となりました。
区長は、令和5年度予算を「目黒を飛躍させる未来創造予算」」と位置づけられました。
この未来創造で重要な点はDXと、新たな目黒区民センター、今後30年間で
1700億円を投じる学校施設の更新、区有施設の改築・複合化に300億円という、街が大きく進化する点だと考えます。
そこで2点お伺いいたします。
1点目
令和臨調の、日本の未来を守る、とした提言を割愛して紹介します。
わが国では、世界に先駆けて人口減少が進行しており、今後、少なからぬ自治体が存亡の淵に立たされる。
GDP200%にのぼる財政赤字を積み重ね、量的金融緩和を続けながらも、
経済は長期停滞から脱却することができない。過去30年、経済成長を続けてきた諸外国に比べ、わが国の相対的な地盤沈下は著しい。
いずれの課題も根は深く、解決するためには長く、粘り強い取り組みが必要である。また、財政については、税収増はコロナ関連の経済対策も寄与し、膨らむ赤字国債と長期にわたる異次元緩和の副作用、未達成のプライマリーバランスの黒字化を課題として「財政と金融政策の情報を国民の目に見えるようにする必要がある」と政府に対し令和臨調は提言しました。
リーマンショック後、目黒ショックと大々的に報道された、財政危機に瀕したさい、区民へ丁寧な説明を行いましたが、今もって目黒区の財政は大丈夫か、の声があります。
本区の学校と区有施設の計画的更新にかかる30年間で2000億円を
年度ごとに対象施設、予算を示し、区民の理解を得ながら計画を進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
2点目
新たな目黒区民センターの基本計画(素案の素案)は、精緻に検討され、現在そして将来のパズルのピースの組み合わせを見ているようです。
区民センター、美術館、公園、下目黒小学校を合せた広大な敷地の開発は100年の計であります。
美術館は、延床面積約4000㎡から1200㎡へ縮小、産業振興3団体に貸し付けている面積の縮小、テニスコートを建物屋上に設置など、区民センターの全体計画、公共施設の配置など、相当検討が進められていると考えます。
今後、事業者を公募するにあたり民間事業者の自由度と区財政負担のバランスをどのように考えているか。
また、相当額になる施設の解体費用と負担についてお伺いいたします。
第2問目 異次元の少子化対策について
岸田首相が掲げた「異次元の少子化対策」は、経済的支援強化、幼児教育や保育などのサービス拡充、働き方改革の三本柱です。
子ども関連予算が、OECDで最低水準の日本が異次元を実行する場合、新たに年6兆から10兆円の財源が必要とされ、増税などの議論は避けたい思惑があり、財源は、4月の統一地方選挙後に先送りになりました。
防衛費の大幅増はGDP費2%の額を指示した姿勢とは対照的で、曖昧な遠い将来なることを危惧しております。
そこで2点お伺いいたします。
1点目
20年前から、少子化が進むことは数字が示していながら政、府は有効な対策を打てず、今に至っています。
そして、今後も少子化は確実に続いていきますが、異次元の少子化対策を具体化する子ども家庭庁に、何を期待するか、所見をお伺いいたします。
2点目
首相は子ども・子育て政策の強化に向けた具体策の検討にあたり、当事者の 意見を徹底的にお伺いするところから始める、と施政方針演説で語られました。
そして、岸田首相は1月末の衆院予算委員会で、倍増を目指す、 子ども予算の財源として、社会保険からの支出や地方自治体の負担に、言及いたしました。
区長として特別区区長会として政府にどのような意見を具申されるか、お伺いいたします。
第3問目 大震災を教訓に災害の備えについて
2月6日に、トルコ南部を襲った大地震は、長さ250キロの長大な活断層が次々と破壊する連動型で、揺れは阪神淡路大震災の2倍ほど、この断層では歴史上最大の地震とされ、犠牲者が今後も増えることが懸念されています。
日本にも長大な活断層があり、専門家は「日本の建物は耐震性が高く、仮につぶれても、生存空間は残るだろうが、家具の転倒や落下で命を失うこともあるので備えて欲しい」、油断は禁物と、警笛を鳴らしました。
自然災害が多発する日本は大災害のたびに強く復興してきました。
関東大震災から100年を機に、総合的な防災計画を国・都が策定し、 多発する災害に強い街をつくる「公助」を強化しています。
また、阪神大震災、東日本大震災など、未曾有の大災害に直面した人々が「人助け」を繰り広げた「共助」は、ボランティア活動が浸透する機会となりました。
そして、自宅の家具転倒防止や耐震化、感震ブレーカーの設置、水や食料を自宅に備える「自助」も重要な対策です。
阪神大震災の死亡の7割は、家屋の倒壊や家具の下敷きになった窒息死、 その次は自宅の火元からの火災でした。
過去に学び教訓とし、被災する前に始められる取組みは多く、公助・共助・自助の3点が機能してこそ、災害対策となります。
公助の役割として、3点について質問いたします。
1点目
災害に強いしなやかな目黒の「しなやかな」の具体的な事例をお伺いいたします。
2点目
港区は区民の9割が集合住宅に住み、大規模災害の際、トイレが使えなくなる恐れがあるとして、携帯トイレを全区民に、一人20個を無償配布する予算を計上しました。
自助の備えであり、防災意識の向上を図る施策であります。
目黒区といたしましても、全区民の防災意識の向上に資する施策を 展開するべきではないでしょうか。 所見をお伺いいたします。
3点目
大規模災害の備えとして、災害対策本部の組織体制の見直しに合わせた マニュアルの全面改定を挙げています。
大規模災害に見舞われた自治体を数件視察し、行政の機動力と人材育成がポイントだと実感いたしました。
発災時と時間の経過によって対応は異なり、時系列による組織体制の構築、 災害対策本部に参集できない場合の、意思疎通をどう図るか、災害時に対応できる区職員と地域の人材育成など、マニュアルにどう反映させるか、区長の見解をお伺いいたします。
4問目 区立児童相談所について
東京都と23区が、児童相談所の運営費について、対立状態にあります。
一部の区で、児相の業務が都から移管したことで、区側は配分の増加を要望した結果、3年前に、約20億円を配分した都は 「特例的な対応」として、 3年後に改めて協議するとしました。
今回、都は3年前に引き上げた0.1%約20億円を元に戻すと、主張しています。これに対して、特別区長会事務局は「8区の児相の運営費は計125億円。税収配分は0.5%を足した55.6%が適切だ」と説明しています。
都側は、配分率変更の原則は「都と区の事務配分、または、 役割分担に大幅な変更があった場合。大半の児相は都の管轄のままで、大幅な役割変更には当たらない。7区が少ない、とは言っていないが、何区ならいいか、という定義はないので区側と協議したい」とコメントしています。
23の全区が独自に児相の開設が見込めない中で、都と23区の財源配分議論は続くと思われます。
都が運営する品川児童相談所が管轄する3区のうち、品川区と大田区が独自児相開設を決定し、両区の開設後は、品川児童相談所は目黒区一区を管轄することとなります。
碑文谷保健センター跡に、目黒区立児童相談所 整備案が出され、 開設までは現時点で品川児相が管轄することになっています。
目黒区独自の児相を開設する場合、建設費に20億円、年間の運営費に10億円との、試算があります。
人口50万人あたりに、一つの児童相談所の基準を考慮すると、人口規模や面積を勘案した場合、隣接する渋谷区と共同運営の児童相談所を、検討してはいかがでしょうか、所見をお伺いいたします。
5問目 生物多様性を守る「MY行動宣言」について
気候変動の危機は、世界が認識する課題で、昨年も世界の各地で大規模災害に見舞われました。
アメリカのアウトドア用品大手・パタゴニアの創業者、イボン・シュイナード氏は
「自然を破壊し、地球温暖化を招くことは、私達自身を破壊することだ。
気候変動は、今や人類にとって最大の脅威。死んだ惑星でビジネスは生まれない。死んだ星では何もできない」と、気候変動対策に、自身と家族が保有する
パタゴニア株、約3900億円を寄付しました。
会社の利益を環境保護に充てた氏の行動力に世界が感銘し、一人ひとりが出来ることは何か、を考えて欲しい、とのメッセージでもあります。
昨年11月COP27で気候変動と生物多様性の連動が再確認され、昨年12月のCOP15で、2030年までの新たな生態系保全目標が採択されました。
市民の行動として、生物多様性を守る「MY行動宣言」が挙げられます。
その内容は、①地元でとれたものを食べ、旬のものを味わう ②自然の中へ出かけ、自然の生き物に触れる ③自然の素晴らしさや季節の移ろいを感じて周りに伝える ④地域や全国の活動に参加する ⑤エコラベルなどが付いた環境に優しい商品を買う。
自然に触れる機会の少ない都会の子ども達に「MY行動宣言」でうたわれている5つの行動を改めて学校教育の中で取り組んでゆく時期と考えますが、いかがでしょうか。