
扉の外が怖かった。
見ためには違和感のないヒトたちが、知らない言葉をしゃべり・・・どこの路地も全部迷路に感じられた。
わたしの首から提げられた袋には紙キレと10円玉が3個入っていて、こう書いてあった。
『迷子です。連絡をお願いします。』
デパートに連れて行かれた。定員さんの『いらっしゃいませ』に驚いたし恥ずかしさを覚えた。
なぜ、まだ何も買っていないのに、このヒトたちはお辞儀をして『いらっしゃいませ』とニコニコするんだろう・・・ワカラナイ。
お願い。恥ずかしいから・・・見ないで。話し掛けないで。・・・ニコニコ・・・しないで。
上から下まで、着せ替えられました。
ううん
新しい洋服や靴下や靴を買ってもらった嬉しさよりも、なぜか・・・剥ぎ取られた気分だった。
新しさより剥ぎ取られた服や靴下や靴が可哀相に感じられたし、なによりも・・・さっきまでの自分が『みすぼらしい』という感覚に襲われた。
でも、そんな感想をハッキリ意識する余裕はなく、くちにする余裕もなかった。
まるで、ベルトコンベアに乗せられた ナニかだった。
デパートを出た時、ふと上を見上げた。
人混みと高い建物が邪魔で、さらに上を見上げた。
青い空。が見えた。
それだけが、見慣れたものだった。
くしゃみが出た。