妊娠して出産して母になる女 妊娠せず出産せず父親になる男  | [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

[ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

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親になるために女は妊娠出産する。

 

男は、いつ父親になるんだろう?

 

 

 

 

 

 

今夜最終回を迎える『燕は戻ってこない』は代理母の物語。

なかなか子宝を授かれなかった夫婦が貧しい女にかわりに産んでもらう。

卵子と子宮だけの契約、と思っていた。

代理母(リキ:石橋静河)も、遺伝子上の父親(草桶:稲垣吾郎)も。

不妊治療によって妊娠と流産を繰り返してきた悠子:内田有紀だけが「妊娠出産はそんな簡単なものじゃない」と予感していた。

しかし、お腹の中で子どもが育っていくうちに、卵子と子宮だけではないことがわかっていく。

大きくなる赤ちゃんに合わせて骨盤も広がるし皮膚もひっぱられて消えないひび割れができる。ドラマでは描写されていないけれども、色素沈着もするし全身毛深くなりつつ髪の毛は抜けたりもする。子宮だけで妊娠出産なんて出来ない。全身が不可逆に変化してしまうのだ。

 

 

 

先週はじまった『あの子の子ども』は高校生が妊娠してしまうドラマ。

原作の漫画も読んでいるので、この先どんな展開になっていくのか、ある程度はわかっている。(でもネタバレになるから書かない)

予期せぬ妊娠。

高校生と高校生のかわいらしいカップルが、好きという気持ちでイチャイチャして、それなりに避妊もして、セックスして、妊娠してしまう。

原作では「えっち気持ちいい!楽しい!まあ大丈夫でしょ」って軽いノリだったけど、ドラマ版ではそういう部分は(炎上しそうだから?)削られて、純愛ぽいかんじになっていた。(原作も純愛ではある…ノリは軽いけど)

 

 

昨夜はじまった『海のはじまり』は大学生カップルがお付き合いしているうちに妊娠。

みずき(古川琴音)は妊娠に気づいて自分ひとりで中絶することを決めて、夏(目黒蓮)に中絶同意書へのサインを求め、そのまま姿を消してしまう。「産むことも堕ろすことも女にしか出来ない」から決定権は女にあるのだと言って。

夏は恋人の妊娠を知ると同時に中絶同意を求められた。

動揺しながらも「他の選択肢はないの?」と聞いたということは、みずきに産んでもらっていっしょに育てていくという可能性もあったのかもしれない。「堕ろすことに決めた」と言われてそれ以上は何も言えなかったけれども。

しかし8年後、実は中絶しておらず、あの時の子どもが海という少女に育っていたことを知る。

 

 

 

 

以前放送されていた『透明なゆりかご』は産婦人科でのさまざまな妊娠にまつわる物語のドラマだった。

 

 

 

 

 

妊娠。

赤ちゃんがおなかに宿るということ。

 

求めても得られず、避けようにも逃れられない。

 

避妊しても出来ることもあれば、タイミングや人工授精やらで作ろうとしたって出来ない。

 

喜びで、恐怖で、神秘的で、どこまでも現実。

 

 

 

 

 

毎月の出血という準備、妊娠、約一年の妊娠期間、出産、産後の苦痛、授乳。

 

子どもを生み出すという事業の、ほぼすべてを女が請け負う。

 

 

ひとたび子どもが宿ってしまえば、産むか堕ろすかの2択しかない。

出来たが最後、命の選択を迫られる。

 

 

命を生み出すか、

命を消してしまうか。

 

 

 

 

男に当事者意識ができにくいのは仕方がない。

 

彼は種を蒔くだけ。

芽吹くかもしれないし、芽吹かないかもしれない。

 

その種が自分のものかどうかもわからない。

 

 

「あなたの子どもです」

「あなたの子どもではありません」

検査したらハッキリするけれども、検査しなければ本当のことはわからない。

妊娠初期には検査するすべもない。

 

 

「産んでください」

「堕してください」

男は希望を伝えることはできる。

 

けれども

「産みます」

「堕します」

結局のところ、最後の決断をする自由があるのは女。

 

 

妊娠出産は女に重く、男に軽い。

 

 

けれども、それは子育てという長い長いプロジェクトのスタートの部分だけのことでもある。

人生という道のりの一里塚の部分だけともいえる。

 

 

最終決定権が女にあるのだとしても、ひとりでは子どもは作れない。

 

赤ちゃんは、母親と父親によってうまれる。

 

 

 

 

赤ちゃんは愛の重荷。

 

あんなに愛らしくいとしく大事なものはない。

柔らかくて温かくてめんどくさいこわれやすいもの。

 

 

 

それでも、育てられない状況、産めないタイミングはある。

体調や金銭や諸々の事情が堕胎という選択になってしまうことはある。

 

 

どうするにせよ、女は身をもってそれを請け負うしかない。

 

 

 

それでも、子どもはひとりでは作れないのだから。

 

 

 

 

 

 

父親を部外者にしてはいけないと思う。

 

 

喜びも苦しみも、愛しさも痛みも、わけあうべきだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








 


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