コミックエッセイ本。
著者とさまざまな発達障害をもつ当事者たちのケーススタディ。
発達障害だけど天才的な才能がある!というわけでもなく、誰がどう見ても重度の障害を抱えている…というわけでもない、普通の範囲におさまるような、でもやっぱりハミダシているような、ギリギリ無理すれば生活できるけど、無理してるからしんどい……そういう人たちのお話。
発達障害と言ってもいろんなタイプがあって、その種類も濃度もさまざま。
複合化している場合もあるから、この場合はこう!という正解はない。
診断されることで気が休まることもあれば、投薬で落ち着くこともあるし、アレルギーや副作用の関係で服薬できない人もいる。薬を変えてよくなることもある。ケースバイケース。
印象的だったのは
困った子は困っている子
という言葉。
発達障害を持っていると集中力がなかったり疲れやすかったりボーっとしていたりで、忘れ物が多い、整理整頓ができない、掃除ができない、食べ物の好き嫌いが多い、いきなり怒りだしたり号泣したり感情の起伏が激しい、無感情無関心、人の話しを聞けない、無視する、ひとつのものや特定の個人に異常に執着する、何度も同じ失敗をする、約束を守れない、過眠や不眠がある……などなど、周囲に迷惑をかけがち。
そういうとき、まわりは困る。
困ったちゃんだなっていう目でその人を見る。
けれども、当事者である発達障害者は、もっと困っている。
本人にもなぜできないのかわからない。
やろうと思ってもできない。
やっているつもりなのにできない。
なまけている、サボっている、ふざけている…
そんなつもりはないのに。
やれるならやりたいのに。
なんで普通にできないのか、本人にもわからない。
わからないまま大人になって、病院に行って、発達障害だと診断されて、やっと、そうだったのか、それで生きづらかったのか、とわかった人もいる。
けれども。
グレーのどこかを彷徨いながら、困ったまま、生活している人もいると思う。
グレーの中でもほとんど白の薄いグレーから黒に近い濃いグレーまで、色々いる。
同じ人であっても、体調や環境や人生のイベントなどでそのグレーの濃さは変化すると思う。
こういうタイプにはこういう行動療法が合うだとか、この薬が効くだとか、研究が進むにつれて、対応、対処法も進化している。
けれども、病識や自覚がなければその情報にも出会えない。
きっと、わからないまま、なんだかよくわからないけれども生きづらい、って思っている人は多いと思う。
診断がつかないレベルの薄いグレーかもしれない。
調子が悪いときは濃いめのグレーになるかもしれない。
普通の範囲の中にいられるときもあれば、たまにハミダシてしまうときもある。
そんな人もいると思う。
ところどころ、わたしも心当たりがあるな、って思った。
知り合いの顔が浮かぶこともあった。
けっこうみんな、グレーのグラデーションの中にいるんじゃないかと思う。