闇金ウシジマくん 7 8 9 (ビッグコミックス) 真鍋 昌平 | [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

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鬱家こと宇津井家の物語。


「フリーターくん」編。




7巻から9巻についてネタバレもアリで感想を書くので9巻まで読んでないひとは本屋さんにダッシュしてくるかアマゾン
で取り寄せるかしてからどーぞ。






鬱家紹介





父:まじめなサラリーマン。住宅ローン残ってるけどリストラされてしまった。仕事一筋があだとなり家族とはほとんど口も利かないほど没交渉。妻子の考えていることは理解できない。徒労感にさいなまれて憂鬱。





母:パートと家事をがんばってる。家庭を顧みない家族の中で唯一自分だけががんばっていると信じている。リストラされた夫と定職につかない息子は頼りにならないので株をはじめた。必死なのに報われなくて憂鬱。





息子:フリーターくん編の主人公であるところのフリーター。たまに派遣バイトする以外は引き篭もってネット(鬱ブログ)してるかパチスロしている。焦燥はあるがそれを努力ではなく家庭内暴力というやつあたりで発散する。自己嫌悪に陥り憂鬱。




闇金ウシジマくん 7 (7)

闇金ウシジマくん 8 (8) (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん 9 (9) (ビッグコミックス)

























鬱家のみなさんはそれぞれ借金をかかえている。


父は住宅ローン。母は株関係。息子はパチスロで。




なかでも鬱母はウシジマくんの悪徳チームにいいように騙され、信用取引だのなんだので親戚から借金して母親の家を売り払ってローン返済中の自宅まで売ってもまだ債務がのこるような借金を背負ってしまう。


そんな多額の借金を隠しおおせるはずもなく、結果的に現状維持が困難になる。




どうしようもない状況になって夫婦ははじめて向かい合う。


が、ここで鬱息子は逃走。


今流行り(?)のネット難民になる。実家と違って椅子に座るのにも食事するにも洗濯するにもお金が必要なので派遣バイトに精を出すが、体力が続かない。しかし休むとお金が続かない。かといってホームレス生活も耐えられない。失恋し不良少年グループに殺されかけ、怒涛の放浪生活に心身ともに疲れ果てる。心を入れ替えて親元に連絡すると鬱母は入院。鬱父に詫びを入れて実家(自宅は売却したのでアパート)に戻る。




鬱父と鬱母は親切なウシジマくんに心を寄せていた。


闇金のウシジマくんを頼りにしている両親を見て鬱息子、目が覚める。


追い詰められて弱りきった両親を支えるために心機一転、重労働低収入の介護の仕事(定職)プラスアルバイトをこなし、自分のやれることを地道にやっていくしかないと、歩き始めた。






家庭が一度完全に崩壊することで再構築が果たされたというお話。




鬱母はひとりで孤独に戦ってきたが崩壊。崩壊してしまったことで過保護な子育てや知識もないのに手を出した株など、ひとりでは手に負えないことだったことに気づく。


鬱父はそれまで仕事をいいわけに家庭(妻と息子)に向き合ってこなかった。が、破綻を迎えたとき、逃げないで大失態を犯した妻を受け入れた。自分のこれまでの人生を象徴するであろう自宅や退職金を失っても妻を見捨てなかった。


鬱息子は物理的に引き篭もれなくなり否応なしに自立させられた。自宅で三食昼寝付自堕落生活をしていたときは見えない社会を罵倒し両親を軽蔑していられたが、実際にひとりで生きるのはものすごく大変だった。








鬱家の人々にはそれぞれ言い分はある。


が、他人の言い分を聞く耳がなかった。




父はもっと妻や息子と話すべきだった。妻にだけ家事や子育てをまかせるのではなく、分担したり労わったりするべきだった。男親として母親には出来ない役割を果たすべきだった。


母はもっと夫や息子を信頼すべきだった。自分だけ、と思わずに仕事をがんばる夫に感謝するべきだったし、成長する息子の自主性をのばすべきだった。


息子はもっと両親のがんばりを理解すべきだった。放任の父や過保護な母にうんざりすることがあったとしても成人し大人になった自分を育ててくれた苦労を慮るべきだった。






本当はウシジマくんに関わる前にこういったことに気づけばよかったんだけど、なんとか未来に明るい希望の光が差してきたみたい。




人間関係は友人でも家族でも恋人でも、ちょっとした行き違いや凡ミスがどんどん大きな亀裂になってしまうことがある。悪人じゃなくても悪意がなくても。だから鬱家の人々の転落は他人事じゃない。


そう思うと憂鬱な気分にもなるが、転落から立ち上がることも可能だと思えば捨てたもんじゃないとも思う。




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