10数年前、会社には「家族の日」があった。
平成19年に内閣府が家族の日を導入したらしいので、それに呼応したのかもしれない。
会社の家族の日はいわばノー残業デーで、その日は早く帰宅し家族とともに過ごしましょうといった主旨だったように記憶している。
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そのころ私は国内にある支社の経理の集約化をすすめる部署にいた。
5人ほどの小さな部署だった。
全国の支社から忌み嫌われ、出張に行けば支社長に何しに来たと言われたりしていた時期で、家族の日だとて早く帰ることもできなかった。
その日も残業していると、となりの部署長がニコニコしながら近づいてきた。
皇位継承権もあるというこの部署長は、常に穏やかな、誰もが認める人格者だった。
「皆さん、今日は家族の日ですよ😊」
そう声をかけられてカリカリしていた場が和んだ。
気安い声掛けに呼応して職場のお母さん的存在だったセンダさんがひとこと、
「私、家族いませんから。」
と返した。確かに独身のセンダさんはひとりで暮らしていた。
部署長が、「それは申し訳ないことを言ってしまいました」
と頭を下げて帰っていったので、あれはセンダさん特有の軽口だったのにと笑いつつも胸が痛んだ。
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いつの間にか会社の家族の日はなくなった。
早い時間帯に退社しても結局飲みに行ってしまう輩が続出したせいなのかもしれないし、
家族のいないセンダさんに不要な日だったからなのかもしれない。
いずれにしても会社に言われなくたって家族のために早く帰る日はあるし、早く帰った方が家族のためにならないお父さんたちは日々家族のために飲み屋で帰宅時間を調整している。
家族の日はそれぞれのタイミングで、それぞれの事情に合わせて決めればいいことなんだと思う。
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かく言う私は今日、休暇を取得して妹の通院に付き添った。
詳しくは書けないが妹の人生は、これでもかというくらい試練の連続だった。
通院のあとは最寄りのターミナル駅で泣いたり笑ったりしながらゆっくり食事をした。
一方要介護4の父は今朝も再び微熱が出て、デイサービスには行けなかった。
私の外出中母と弟に看護を頼んだが、おむつ交換は難しいので急遽日中のヘルパーさんを手配した。
妹との待ち合わせ場所に向かう電車の中で、飼い猫ちーが入院している動物病院から着信があった。
今日退院できるという!
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で、久しぶりにわが家に戻ったちーが、早く一緒に寝ようねようと誘ってくるのでそろそろいちゃいちゃしながら寝ようと思います♨。