言葉かけ=相手+状況+関係性 | ペーパー社会福祉士のうたかた日記

ペーパー社会福祉士のうたかた日記

社会福祉士資格をとるまでと、とったあと+α。浮世のつれづれ、吹く風まかせの日々。

ストレスフルな毎日を過ごす中、

体調にいくつか問題が発生した。

 

そのうちの何項目かは、

最も深刻と言われる例の疾患の

可能性をある程度ふくんでいる。

 

まだ正確な結果が出ていないし、

5年生存率がどのくらいで、

自覚症状はどんなだか、とか、

調べたって仕方がないことで、

 

自分がその何%に入るかどうか、

んなもの今はわかりっこないし、

じたばたするな、座して待て、

というところなんだろうけども、

 

日ごろ、遺族に深く関わり、

グリーフケアに関わっていると、

「死」がどんなに身近なところで

息をひそめて機会を窺っているか

イヤってほど知っているだけに、

深々と迫ってくるものがある。

 

「まさか」「うそでしょう」

「おどかさないでよ」

ああよかった、ほっとした。

-そうならないことがあるのだ。

現実に。すぐそこに。

 

ほんの身近な人以外には、

誰にも打ち明ける予定もないし、

その気もまったくないのだが、

もし何かの拍子に、強制的に、

話さざるを得ないってなったら、

 

やだなあ。

無神経なリアクションがくる。

 

どうしてこんなになるまで

気が付かなかったの~、とか、

そういうこと心配してる人ほど

長生きするんだよね~とかさ。

 

しょせん他人事なんだよなー

けど他人事にしたってもう少し、

なんとかなんないもんかなー

 

とか日々モンモンと考えていて、

ふと気づいてみたことには、

 

わし、

どんな回答だったら満足なのか。

 

「こうされたら嫌だ」というのは

山のように思いつくんだけども、

「こう答えてほしい」というのは

自分の中にはっきりした形がない。

 

 

かつて、

母を在宅で看取るとなったとき、

父が完全ポンコツ化していたので、

わしが全部の手続きをしていた。

 

"キョタク"という音も初めてで、

字を見て初めて意味が分かった。

でも何をするのかがわからない。

行政、地域包括、病院、

三角形に右往左往、忙殺の日々。

 

ある日、若いMSWにいわれた。

「一人で抱え込まないでください」
「困ったらいつでもきてください」

 

なんて手垢のついた台詞なのか、

いつでもどこでも誰にでも使う、

自分でもあちこちで言ってきた。

 

けど、

わしはその瞬間、忘れもしない。

「あっ」と思ったら涙があふれた。

号泣して号泣して止まらんかった。

うれしかった。ありがたかった。

 

泣きながら漠然と思っていた。

「言葉って状況次第なんだなあ」

相手次第、といってもいい。

 

つまんない汎用性のあるセリフも、

相手とその置かれた状況次第では、

肉親の死に向かう底力を支え得る。

 

この経験は、存分に、

グリーフケアに生かされている。

 

ヘンに凝ったことはいわない。

寄り添うとか心がけない。

自分に意識が向かないように。

思ったことを素直に伝える。

言うことが思いつかないときは、

傍らに黙って座って一緒に泣く。

 

ケアの言葉かけの大前提として、

相手の気持ちを最大限推測して、

なんとかわかろうとする努力、

相手の気持ちを慮った言葉って、

根本的で大事なことだと思う。

 

けど、

同時に忘れちゃいけないことは、

自分の発した言葉の行方、

効果は相手と状況次第だってこと。

 

ナンカいいこと言ってあげよう、

心に響くような言葉をかけようと

額に汗して頑張れば頑張るほど、

ズレたり離れたりしていくよね。

 

そう思い返してみたら、

今回言われて一番嬉しかったのは、

「がんばろう」だった。

 

内臓をかき回す冷たい器械、

冷たい器具、冷たい手、鋭い痛み、

手の甲から大量にとる採血、

硬い狭いベッド、事務的な対応、

 

不安、恐怖、後悔、怒り、

そういうの全部、全部含めて、

がんばろう。がんばろう。

いっしょにがんばろうね。…

 

「がんばる」ってさー

福祉系、医療系、ともに、

言っちゃいけないランキング、

第1位じゃなかったんかい?笑

 

そう考えていくと、

言葉って、結局、相手と状況と、

関係性で効力を発揮するんだね。

 

自分の思いを平凡な言葉に託す、

それが屈託なくできるのは、

築いた関係性があってこそかと。

 

大切な人に、

曇りなく真ん中に伝わるように、

心の細かい襞にさわれるように。

健康で元気なうちにやっとこう。

 

はからずも当事者になってみて、

次のコミュニケーション研修では、

こういうことも話せるよなあー

 

「がんばって」とかって、

機械的に全部NGなんじゃなくて、

相手から反感買うような関係しか

持ててないのに言うからだめなん。

 

日々の積み重ね。つながり。

いつ来るともしれぬ機会に備えよ。

 

まあねえ、

経験が増えると実感もこもるわ。

生けるサンプルとして有用性あり。

転んでもタダじゃ起きないぜw

 

そんではまた。

皆さまお元気でお過ごしください。

 

ricorico1214

 

 

スワローズ、交流戦優勝。

「うそだろ」「まだいいよ」

「どうしちゃったんだろう」

ファンの半信半疑はまだ続く。…