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『リボルバー』
リリース 1966年8月5日
録音 1966年4月6日 - 6月21日
プロデュース ジョージ・マーティン
【収録曲】
1.タックスマン - Taxman (Harrison)
2.エリナー・リグビー - Eleanor Rigby 
3.アイム・オンリー・スリーピング
 - I'm Only Sleeping
4.ラヴ・ユー・トゥ
 - Love You to (Harrison)
5.ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
 - Here, There and Everywhere
6.イエロー・サブマリン
 - Yellow Submarine
7.シー・セッド・シー・セッド
 - She Said She Said
8.グッド・デイ・サンシャイン
 - Good Day Sunshine
9.アンド・ユア・バード・キャン・シング - And Your Bird Can Sing
10.フォー・ノー・ワン - For No One
11.ドクター・ロバート - Doctor Robert
12.アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー - I Want to Tell You
13.ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ - Got to Get You Into My Life
14.トゥモロー・ネヴァー・ノウズ
 - Tomorrow Never Knows
表記なき場合、作詞作曲
ジョンレノン ポールマッカートニー
【パーソネル】
*ビートルズ
ジョン・レノン - ボーカルリズムギター アコースティックギター ハモンドオルガン メロトロン ハーモニウム テープループ タンバリン ハンドクラップ フィンガースナップ SE
ポール・マッカートニー - ボーカル ベースギター リズム&リードギター ピアノ クラヴィコード テープループ ハンドクラップ フィンガースナップ SE ストリングス・ホーン編曲・指揮
ジョージ・ハリスン - ボーカル リード&リズムギター アコースティックギター リズムギター ベース シタール タンブーラ テープループ マラカス タンバリン SE ハンドクラップ フィンガースナップ
リンゴ・スター - ドラムス タンバリン マラカス カウベル シェイカー ハンドクラップ フィンガースナップ テープループ ボーカル
*アディショナル・ミュージシャン
アニル・バグワット - タブラ
アラン・シヴィル - フレンチホルン
ジョージ・マーティン - ピアノ ハモンドオルガン テープループ バッキングボーカル オーケストラ・ホーン編曲・指揮者
マル・エヴァンズ - バスドラム バッキングボーカル
ジェフ・エメリック - バッキングボーカル テープ・ループ
ニール・アスピノール - バッキングボーカル
アルフ・ビックネル - バッキング・ボーカル
パティ・ボイド - バッキング・ボーカル
マリアンヌ・フェイスフル - バッキング・ボーカル
ブライアン・ジョーンズ - バッキング・ボーカル
トニー・ギルバート シドニー・サックス ジョン・シャープ ヨーガン・ヘス - ヴァイオリン
ステファン・シングルス ジョン・アンダーウッド - ヴィオラ
デレック・シンプソン ノーマン・ジョーンズ - チェロ
エディー・ソーントン イアン・ヘイマー レス・コンドン - トランペット
アラン・ブランスクーム - テナーサクソフォーン
ピーター・コー - テナーサクソフォン
【作品概要】
まず、ジャケットワークが素晴らしい。ハンブング時代からの友人のクラウスヴォアマンのデザインだ。アートスクール出身のジョンの当時の友人には、画家のスチュアートサトクリフや、写真家のアストリットスキルヘアなどアーティストが多い。
ジョンは、直々にグラフィック・デザイナーでもあるヴォアマンにアルバム・ジャケットのデザインを依頼した。ヴァアマンは、10種類以上のデザインを
仕上げたが、メンバーが選んだのは、モノクロのイラストにメンバーの写真をコラージュしたものだった。グロテスクになる一歩手前で踏み止まっており、いわばポップアートである。こういったデザインのジャケットは、ポピュラー・ミュージックのアルバムでは初めてのことであった。
レコーディングは、1966年4月から始まっている。ビートルズのオーディションから、前作『ラバー・ソウル』までエンジニアを務めたノーマンスミスは、自らピンクフロイドをスカウトしプロデューサーに就任したため、ビートルズのエンジニアを降りることになった。当時20歳のジェフ・エメリック
は、急遽ビートルズのエンジニアをマーティンから提案される。ビートルズのエンジニアなど務まるかどうか分からないまま、エメリックは「やります」と返事をした。エメリックは、その後のビートルズの様々な実験的なサウンド作りに貢献した。
レコーディングは、三ヶ月という異例の長期の制作期間になったが、前作の様にスタジオの空いた早朝や深夜を使うといった突貫工事は避けられ、スタジオに入ったのは、その内の半分くらいの日数だった。
録音に使用されたインストゥルメンツで特徴的なのは、ジョンとジョージのフェンダー・ストラトキャスターである。アコースティックな印象の強かった、前作“ラバーソウル”とは変わって、ソリッドでシャープな音色は、どこかクールな印象のある『リボルバー』のサウンド作りに大きく貢献している。
ビートルズは、とてつもないポピュラリティーを保ちながら、思いつきや偶然も度々あった実験を繰り返し、ロックミュージックに於ける芸術との壁を取り払ってしまった。もはや、ロックンロールやリズム&ブルースは、スタイルの一つに過ぎず、他のフィールドのあらゆるスタイルを自分達の表現に引用し昇華させたのである。
また、次作で完成するサイケデリックミュージックの扉を開いたアルバムといえる。
レコーディングは、6月21日に終了して、三日後には極東ツアーに出発している。ライブを意識することなく多様な実験・アレンジが施された曲群はステージで再現するのが困難になりこのアルバムの曲はステージで演奏されることはなかった。
日本公演時の警備についた警官が腰に付けていた拳銃を見て、リボルバーというタイトルを思いついたといわれており、実際にポールは日本から電報でイギリスEMIにタイトルを伝えている。アナログレコードAB面七曲づつ、クールに打ち放たれるアルバム・イメージにぴったりだ。
1966年当時、アメリカでは未だ、英国オリジナルアルバムから、独自の編集盤をリリースしていた。そのことを忌々しく思っていたビートルズは、『リボルバー』の曲を含むアメリカ編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』用のジャケット写真を送るようにキャピタルから指示を受ける。ビートルズは、ニコニコ笑いながらも白衣を着て、バラバラになったキューピー人形と肉片がちりばめられた写真を送った。
ビートルズの皮肉に気付かなかったキャピタルは、間抜けにもプレスして発売してしまう。レコード店からのクレームが来て、初めてことの次第に気が付いたキャピタルはレコードを全て回収する。以降、ビートルズのアルバムは、英国オリジナル通りに発売されることとなった。
ビートルズは、1966年が開けると久々に長期の休暇を取る。本来は、以前と同様に映画の撮影に入ることになっていた。しかし、映画制作に否定的なメンバーは、企画の段階で折り合いが付かず脚本は手付かずとなる。
ツアーにも嫌気がさしており、すでにコンサートを行うつもりはなかった。コンサートを開いても、ファンの歓声は爆音となり演奏は聴いてもらえない。アメリカでは狂信者に命を狙われ、フィリピンでは独裁者からの招待を無下にしたとされ、群衆の暴行から命からがら逃げだして来ている。ビートルズは、デビュー以来初めて三ヶ月の休暇を取ることになる。後にコンサート終結宣言がなされ、ビートルズのライブ活動は終結している。
その後ビートルズは、新作のレコーディングに入る。
【楽曲解説】
曲のタイミングと関係のない、意味不明のカウントから、ジョージ作の“タックスマン”は始まる。税務官をテーマに、ウイルソンやヒースという政治家の実名も登場する、ジョージ流反体制ソング。ジョージ自身は、「稼げるようになったけど、ほとんどを税金に取られることに気づいて書いた曲」と語っている。
ジョージの曲がアルバムのトップを飾ったのは初めて(で最後)だが、曲調も今までの威勢のよいものとは違う下方指向のロックンロールだ。ラーガ調のリードギターはポール。何度弾いても上手く行かないジョージに、マーティンがポールに弾いてもらおうと提案したことによる。しぶしぶ承諾したジョージは、二時間ほど姿をくらましてしまった。
ベースとギターのユニゾンは、後のハードロック・バンドに引き継がれる。しかし、ポールのベースは単純なユニゾンではなく、速弾きなど高度なテクニックを用いている。
「エリナー・リグビー」
“イエスタデイ”の四重奏から八重奏に発展しているが、メロディーもよりクラシカルなもになっている。ポールはマーティンに、恋人のジェーンアッシャーから教わったヴィヴァルディ風にしてほしいと注文した。「ただし尖った音で」と付け加えて。
マーティンがスコアを書いた。斬り刻む様なヴァイオリンのフレーズは、映画『サイコ』『タクシードライバー』などで知られる、バーナードマンの影響である。
ポールの要望からエメリックは、レアな音を録るためマイクを楽器から数センチのところにセットした。些細なミスでもマイクが拾ってしまうので、ミュージシャン達は全員反発したが、エメリックは無視をした。マイクから椅子ごと後ずさる者には、マーティンから叱責がとんだ。プレイバックを聴きにくるミュージシャンは誰もいなかった。
歌詞は、マッケンジー神父と哀れな女性であるエリナーリグビーを描いた物語調のものだが、マッケンジーとエリナーリグビーの墓は実在し、ポールがその名だけ覚えていたことが後に発覚する。その場所は、世界のビートルズファンの聖地になる騒ぎが起きている。
一般にマッカートニーソングと思われがちだが、後のインタビューでジョンは歌詞の大半を自分が書いたと述べている。しかし、ポールの言い分と食い違っており真偽は分かっていない。
ポールが単独でグラミー賞を授賞しているが、マーティンの貢献度は限りなく高い。
「アイム・オンリー・スリーピング」
世間と隔離された隠遁的な歌詞で、メロディも気だるいが、実は時間に追われる現代人に対する皮肉が込められている。
逆回転ギターは、ジョージが弾いたものをマーティンが採譜し、それを逆に採譜する。その譜面でギターを弾き、その音源を逆回転させるという凝った手法が取られた。ジョージは、眉間にシワを寄せ九時間掛けてレコーディングした。
ジョンはボーカルのテープスピードを変えて三度オーバー・ダビングしている。
「ラヴ・ユー・トゥ」
ジョージの作で、後にラガーロックと呼ばれるジャンルを築いた。タブラ、シタールといったインド楽器を屈指している。曲はシタールを中心としたインド楽器で演奏することを前提に書かれ、歌詞もジョージが愛読の仏教書からインスパイアされたものである。
シタールを試したい、それだけでの理由で書かれ演奏され録音された曲である。おそらくジョージは、ジョンとポールの影から脱却したかったのだろう。ポールに脅かされ、ギタリストとしての危機を感じていたのかもしれない。
メロディーは、ロックのロの字もなく、インド音楽をコピーした様だ。『サージャント・ペパーズ...』の前に実験精神が爆発した『リボルバー』だからこそ必要な曲なのだろう。ただし、『ウィザウト・ユー・ウィズイン・ユー』とは違い、他のビートルズのメンバーも演奏に加わっている。
「ヒア・ゼア・アンド・エブリホエア」
ビーチボーイズの“神のみぞ知る”に影響されて書かれたという。ポールのバラードの傑作で、ジョンの最も好きなマッカートニーソングの一つだが、これまでとは違ったアプローチが成されている。まずたっぷり間を取りながら、クールに展開するポールの歌唱。ジョンとジョージのコーラスもフォルセットが中心である。さらに以前なら使われていたであろうストリングスを排し、エレキギターによるコードカッティングにる伴奏。この感触が『リボルバー』なのだ。 
ジョンとポールが一緒に食事をしていた時、カセットで『リボルバー』を聴いていた。「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」がかかるとジョンは「アルバムの中の僕のどの曲よりも、この曲の方が好きだ」と言った。ポールの人生の最高の思い出の一つとなっている。
「イエロー・サブマリン」
ポール中心に書かれたリンゴのボーカルで、彼の代表曲となり、後にアニメ映画の主題歌となった。子供向けソングではあるが、ジョンとポールも様々な実験的SEを試みている。とにかくジョンとポールの遊びっぷりが凄く、これもビートルズなんだと言うことを再確認させてくれる。
ドンチャン騒ぎのSEの録音するために、そうそうたるメンバーが集まっている。ブライアン・ジョーンズ、ミック・ジャガー、マリアンヌ・フェイスフルやパティ・ボイドがコーラスで参加した。集まった有名アーティストたちには、ドンチャン騒ぎをやるにはマリファナが手っ取り早いということで、マリファナが振る舞われた。
幸いなことに、レコーディングの夜はジョージ・マーティンが食中毒で倒れて不在だった。代わりに秘書のジュディが立ち会っているが、マーティンだったら、途中で我慢ができなくなっただろう。
ポールは、子供向けのノベルティーソングを書いたつもりだったが、ドラッグソングとして扱われたのは、それなりに理由があったのである。
「シー・セッド・シー・セッド」
俳優のピーター・フォンダの言葉がきっかけで生まれた曲。ジョンとジョージは、ロジャー・マッギンとデビッド・クロスビー、さらにピーター・フォンダと一緒にLSDでトリップを始めた。バッド・トリップになりそうなジョージに、ピーター・フォンダが落ち着かせようと、「死ぬのがどんな感じか知ってるよ」と話した。フォンダは、子供の頃の事故の手術で心臓が停止した経験があったのだ。通りかかったジョンが「誰がそんなことをお前に吹き込んだんだ」と言い、付き人に向かって「こいつを追い出してくれ」と命令した。しかし、ジョンはこのフォンダの台詞と会話をしっかり覚えていて詞を書いていた
。 
ポールが多彩なジャンルの曲を書く才能を開花させつつあるのに対し、ジョンは今までにない曲を書こうと務めた。ポールは才能は明らかに狂気だ。意識してコントロールができない。しかし、ジョンの狂気には意識的なところがある。それがこの不思議な唄を生み出した。サビの途中で三拍子になるところなどはジョンならでは。
ポールもこの歌が好きだというが、レコーディング中にジョンと喧嘩になって、「ファック・ユー」と言ってしまい、ジョンに「それじゃ僕らで録音するよ」と言われて、この曲に関して一切参加していない。
「グッド・デイ・サンシャイン」
ポールのお気楽なポップチューン。ラヴィン・スプーンフルの「デイ・ドリーム」を下敷きに書かれているが、ジョン・セバスチャンは、ポールがそのことを発言するまで、自分達の曲をもとに作られたことに気づかなかったという。同時期にジョンが書いた“レイン”が録音されているが、ポールは太陽にまつわる曲が多い。
「アンド・ユア・バード・キャン・シング」
ジョン自身はたわいもないポップソングと吐き捨てているが、人気の高いポップロックだ。確かに曲も歌詞も軽い。そこが気に入らなかったのだろうが、本アルバムでのジョンの曲では最高ではないか。ジョージも解散後のインタビューでよい曲だと誉めている。歌詞にしても、サイケデリックな厭世調のものやボブディランを意識していたから、この曲を軽く感じたのだろうが、「君の小鳥が死んでしまったら、君はとても悲しむだろうが、でも僕がいることに気付くだろう」という、キャッチーかつ美しいものだ。
ジョンのコード・カッティング、ポールとジョージによるツインリード・ギター、さらにリンゴのドラムもドライブしまくっている。この曲の演奏を聴いてしまうと、直後に行われた日本公演での気の抜けた演奏は何だったのだろうと思ってしまう。
「フォー・ノー・ワン」
“ヒア・ゼア・アンド・エブリホエア”と共に、ジョンが最も好きなマッカートニーソングである。リンゴ・スター、そしてフレンチ・ホルン奏者アラン・シヴィルの三人で録音された曲で、ポールはバロック音楽で使うクラヴィコードを演奏している。
ポールがフレンチ・ホルンのパートを歌い、ジョージ・マーティンがそれを採譜した。ポールのメロディーがホルンの高音域を超えていると指摘し、「でも、一流の演奏家は多少、上の音でも出してくれるけどね」との言葉にポールはそのまま演ってもらうことにした。ポールの要求に、BBC交響楽団の主席ホルン奏者のアラン・シヴィルはプレッシャーの中、見事に応えた。
「ドクター・ロバート」
歌のモデルは、ロバート・フライマンという、LSDなどを大量に処方してくれるスピード・ドクターと呼ばれる医師である。イースト78番ストのクリニックには、ジャクリーン・ケネディを始めとするセレブたちがやって来て、当時は違法ではない処方箋が必要なアンフェタミンをどしどし売っていた。その噂を聞いたジョンとポールはパロディにして曲を書いた。ドクター・ロバートは、1975年に不正治療が原因でニューヨーク州医師会を追われている。
ポール曰く、「ニューヨークをハイにし続けた男」を歌ったドラッグ・ソングである。
『リボルバー』は、おそらくライブでの再現をしないことを前提に録音されたが、この曲のジョンは、ライブバンド時代のリズムギタリストの真骨頂だ。
「アイ・ウォントテル・ユー」
三曲目のハリスンソング。三曲の中では、詞や曲が最も彼らしい。ポールの弾くピアノがメインのアレンジで、ジョージは僅かしか、ジョンはまったくギターを弾いていない。
「ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」
は、ポール流のモータウンファンクの極めつけ。ホーンが効果的に使われている。デビュー当時は、さかんにリズム&ブルースのカバーをしていたビートルズだが、この曲は数多くのソウル系アーティストにカバーされている。
ここでもエメリックは、マイクのセッティングで通常のやり方を無視して、フォーンの中に直接マイクを入れ、その音にリミッターをかけて録音している。この方法は、今では珍しくはないのだが、当時は画期的なことであった。さらに、ミックスのときに、ボリュームを出すために、テープにダビングし元のテープと少しだけ同期をずらしてプレイバックすることによってブラス・セクションの音は実質的にダブルになることを閃いているのだ。
「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」
サイケデリックの幕開けを告げたといわれる曲。レコーディングの最初に録られた曲だが、アルバムの他の曲は、そういった方向には行かなかった。
インド音楽の影響でCのコードだけで書かれており、曲自体は一つのメロディーを繰り返しているだけである。
ジョンは、山の上で僧侶が読経している様なボーカルにしたいとエメリックに注文をつけた。エメリックは、ジョンの声をハモンド・オルガンに使うレズリー回転スピーカーに通し独特なヴィブラートを効かせている
ポールは、サウンドループを屈指。オープニングでは、テープ式のループが鳴り、ミニマルなドラムやベース・ギター等の演奏が続く。
ループは、ギターの音をサンプリングして、その音をスタジオ内で加工したもの。ヒップホップやクラブ系でのバック・トラック作成のベースとなっているサンプリングとループの作成を、いち早くなぬ成功させた曲である。録音テープをつなぐのはジョンが現代音楽の手法を持ち込んだもの。
リンゴのドラミングも“レイン”と並ぶアグレッシブで独創的なプレイを聴かせている。ビートルズ初のアバンギャルド・ミュージックだ。
ジョンは、念仏僧の念仏をバックにしたかったというが、前衛が過ぎると判断され、こちらのバージョンが採用された。
タイトルは、“ア・ハード・デイズ・ナイト”と同様に、リンゴ・スターが何気なく呟いた一言から取られた。