私は今まで日常的に摂る食品の質や種類を選ぶことが健康維持や病を治すことにとても重要とお話ししてきました。
でも、その栄養を消化、吸収して取り入れてくれるのは私たちの胃腸、消化器官なのです。
実際、自分でもいくら良い食品を摂り、足りないと思われる必須ミネラルやビタミン、タンパク質などをサプリメントで摂っても一向に数値が正常にならない時期がありました。
自身の消化機能の低下を考えに入れていなかったことに気づきました。
以前ブログで書いたLGSが起こっていたり、腸管内にカンジダ真菌がいれば、食物アレルギー、カンジダ真菌による代謝産物で難病を起こしてきたり、栄養吸収もままならないということが当然考えられます。
今回、立て続けに胃薬(制酸剤)であるプロトンポンプインヒビター(PPI)を長期に服用することによる副作用が懸念されるという論文が出ました。
(PPIにはどんな薬があるかは皆さんがサーチしてみてくださいね~ 笑)
一つはPPIが認知症(Dementia) と関係する
二つ目はPPIが腎臓病のリスクを増加させるかもしれない
という論文です。
2論文ともPPIとの因果関係は明らかではないが、統計学的には有意であったとしています。
http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2487379
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2481157
消化器官の最初の消化を行う場所は口内で、唾液アミラーゼでデンプンが消化され、次に食道を通り胃でタンパク質の消化が始まります。
胃では胃酸を分泌し、消化酵素のペプシンの元となるペプシノーゲンも分泌します。
ペプシノーゲンは胃酸によってペプシンに変わり、タンパク質を分解します。
胃酸はヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンによって分泌され、ガストリンはさらにペプシノーゲンの分泌も促進させるのです。
http://www.fujimoto.or.jp/tip-medicine/lecture-78/index.phpから引用
胃の働きをまとめますと、
1.胃酸で食べ物の中に含まれる細菌を殺菌し、
2.食べたもののタンパク質を胃酸、ペプシンで分解し一部を消化してくれ、
3.食べたものを一時貯蔵してくれます。
こうしてみると、胃酸はとても消化吸収において大切な働きをしていると考えられないでしょうか??
胃薬というのは皆胃酸の働きを抑える薬です。
胃は本来胃酸を生成する臓器なので、胃酸から自分の胃粘膜を守る機構がきちんと備わっています。
胃薬の種類として
1.胃酸を中和する薬
2.胃酸の生成を減らす薬(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)
3.強力な胃酸の生成を妨げる薬(PPI)
があります。
すべて胃酸の働きを抑える薬です。
胃潰瘍が出来て、しばらく胃酸の生成を抑えることが必要な場合もあるとは思います。
しかし、身体の正常な機能を邪魔するような薬を長期に摂り続ける事が、身体に害を与えるということは考えられないのでしょうか??
長年ホリスティック医療を実践してきたDr. Brownsteinはその経験から、胃薬を長期に摂り続ける事による弊害を以下のように述べています。
(以下の内容は、自健会で刊行しているHealth Letterでの連載、 「D. ブラウンスタイン博士の優しいホリスティック講座」を主としてまとめました)
1.ビタミンB12欠乏症
胃全摘をした患者さんのビタミンB12(VB12)欠乏症は有名ですが、VB12は腸内細菌が産生する以外は原則として動物性食品にしかなく、そこにタンパク質を分解するための胃酸が必要なのです。
VB12欠乏による悪性貧血、末梢神経障害、認知障害などは有名ですね。。
以下のサイトでも詳しくその機序が説明されています。
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2013-12-21
2.胃中での細菌の過剰増殖
有毒な細菌が殺菌されず、消化管の中に異常に増殖し、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患は細菌の過剰増殖が原因とDr. Brownsteinは述べています。
以下の論文は、腸内細菌叢(intestinal microbiota)の数や組成の変化が炎症性腸疾患の原因となり、それを持続させ、その腸内細菌叢の顔つきによって炎症性腸疾患のどのタイプになるかが決まってくるようだと述べています。
http://www.nature.com/ajgsup/journal/v1/n1/pdf/ajgsup20124a.pdf
3.ヘリコバクターピロリ菌感染
ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)は胃に感染する菌ですが、Dr. Brownsteinによると、60歳以上の人は半数を超える人がピロリ菌に感染しておりその理由の一つとして胃酸の不足が考えられると述べています。
胃酸のpHが1-3であれば、塩酸が足りていれば、ピロリ菌に感染する可能性はまれであるとも述べています。
ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、リンパ腫、特発性血小板減少症などの発生に繋がることが報告されています。
4.クロストリジウム・ディフィシル菌(C. Difficile)の感染
小腸にC. Difficileが感染すると重篤な下痢を起こしてきますが、Dr. Brownsteinは胃薬が普及して以来、C. Difficileの感染例が大幅な増加傾向にあると述べています。
http://blog.drbrownstein.com/danger-of-antacid-medications/
5.カンジダ真菌の異常増殖
胃酸が足りなくなるとイースト菌やカンジダ菌の異常増殖が起きることが分かっています。
胃薬を長期に摂り過ぎるとこのような病態が起こってくる可能性は高いと思います。
PPIとカンジダ食道炎の症例についての文献です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee1973b/42/9/42_9_1821/_pdf
イースト菌とカンジダ菌の作用をわかりやすく書いてくださっています。
http://nutmed.exblog.jp/9043332/
6.タンパク質不足
胃酸が不足すれば、タンパク質の消化が不十分になり、食物から十分なタンパク質が取り込まれなくなります。
酵素もタンパク質であり、傷ついた組織も十分なタンパク質がなければ身体は修復されません。
また、不消化なタンパク質は腸内で異常発酵、腐敗し、いわゆる悪玉菌が異常増殖し、腸内細菌叢を乱す原因ともなります。
7.必須ミネラル不足
十分な胃酸、塩酸がないと鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、などのミネラルの吸収が阻害されます。
Dr. Brownsteinは胃薬の長期使用と大腿骨骨折、骨粗しょう症が起こってくる危険性を指摘した論文を紹介しています。
http://blog.drbrownstein.com/antacid-drugs-increase-risk-of-hip-fractures/
何故不足してくるかの機序は以下のサイトに詳しく載っています。
鉄 http://nutmed.exblog.jp/11397919/
カルシウム http://nutmed.exblog.jp/11419456/
マグネシウム http://nutmed.exblog.jp/8774254/
亜鉛 http://nutmed.exblog.jp/11484907/
どうでしょう!?
胃薬(=制酸剤)を摂り続けることにより、様々な弊害が起こってくることが考えられるのではないでしょうか?
それでは、胃薬を使わず胃腸の状態を良くするにはどうしたらよいのでしょう?
Dr. Brownsteinは、まずは食生活を改めることだと説きます。
1.精製された食品ばかり摂らないこと
精製食品には基本的な栄養素が抜けているので、そればかり摂り続けるとそれらの食品を消化するのに体内に貯蔵されたビタミン、ミネラル、酵素が使われ、体内栄養素が失われる結果、健康を損ね胃腸関連の病気になりやすくなるそうです。
2.食べ過ぎて肥満に
肥満そのものが身体が食べたものをきちんと消化できていない証拠で、胃が膨張していると最適な消化が行われないと説きます。
肥満は万病の元とも言えるようです。
3.適度な水分補給を
年齢によって違いますが、人体の60-70%は水分と言われています。
一日の必要水分摂取量は 体重(kg)×30= ml だそうです。
(腎臓病のある方は主治医の意見に従ってくださいね!)
この水分が足りなくなると、胃粘膜を保護してくれる粘液の分泌量も減り、保護が出来なくなると説き、適度な水分をとり続けることで胃潰瘍、胃食道逆流症(GERD)など胃腸関連の病気を予防することが出来るそうです。
4.胃腸疾患と食物アレルギー
消化管に問題のある人は食物アレルギーを必ず抱えているので、そのアレルギーを治療することが消化管の働きをよくすることに繋がります。
私は食べたものは、もれなく(笑)自分の胃腸が消化してくれると考えていたのですが、そこから考え直さないといけないということにやっと気づきました
要するに、常に自分の胃腸を労って感謝し、適度でキレイな水を摂り、腹八分で飽食をせず、加工されていないオーガニックな食品を摂ることが、胃腸の病気を防ぎ、さらには傷ついた胃腸を治すことにもなる良い循環を造るということですね~~
(ここに個人的には私は小麦の除去が必要になってくると感じております!(^^)!)
長~~~いつぶやきになりました(^O^)/
ではまた(^o^)/~~~