ゆいクリニックでは気管支喘息(以下喘息)をコントロールする方法は急性期慢性期で対応を変えます。

 

 

また、乳児期からフォローして喘息に移行していくことが推測される患者さんと、今まで他院において吸入ステロイド薬(Inhaled corticosteroid ; ICSと略)でコントロールされてきた方に対してのアプローチも変えております。

 

 


1. 急性期


喘息は重症の発作(喘息大発作)を起こすと呼吸困難で窒息してに至る病気です。

ICSの導入で呼吸困難、窒息による喘息死が激減しました。素晴らしいICSのメリットだと思います。

 

 

 

 


 

 

 

 

ゆいクリニックでも、急性期の発作の時にはICSを用いたり、点滴をしてステロイドの全身投与も行います。

 

 

 

それでもこの一連の治療に反応しない時は、窒息する可能性があるので入院、呼吸管理を関連病院にお願いすることになります。

 

吸入β2刺激薬は発作時だけ心臓毒性の少ないものを使用します。

定期的な使用はしておりません。

 

心臓毒性の少ないβ2刺激薬のホクナリンテープも処方いたしますが、副作用のこともお話しし、経皮吸収なのでテープを剥がせば薬の作用は短時間で消失することもお話しして使用していただきます。



 

 

 

2. 慢性期

 

喘息は気管の上皮に慢性炎症が起こっており、発作の起こっていない時も気管上皮の炎症は持続した状態と考えられております。

 





 

 

そして次第に気管上皮は変性(リモデリング)を起こしてその変性の進行をICSはストップすることができないと言われています。
気管上皮には
繊毛という毛のようなものが付いていて、それが痰を排泄してくれるのですが、その繊毛も無くなってしまうのです。

 

 

 

 

ICSの長期間吸入を続けるステロイドの種類によってはステロイドホルモンを分泌する器官である副腎を抑制して、この吸入を中止することにより急性副腎不全を起こしショックに陥る例もあります。

 

 

このICSによるデメリットを考え、ゆいクリニックでは慢性期の治療ではICSをできるだけ用いることなく、喘息の根治治療を目指してきました。



 

その治療の柱は、漢方治療栄養療法、そしてホモトキシコロジー(複合ホメオパシー)です。

 

具体的にどのように治療を用いているか、患者さんの病態にあわせてお示ししますね。





 

 

1. 喘息に移行すると予測される、あるいは移行しつつあるお子さん





アレルギー症状を持つ家族の存在、繰り返す喘鳴、アトピーや慢性鼻炎症状を持つ方たちです。

 

 

 

漢方薬は体質改善を促し、免疫をサポートする作用があります。

お子さんの体質に合わせた漢方を処方し、乳製品を控えていただくなどの栄養指導をして、体質改善を図り喘息に移行しない工夫をしております。

 

 

 

寝室に埃のつきやすいぬいぐるみ電磁波を出すテレビなどの電化製品を置かないようにお願いし、空気清浄機HEPAフィルター、光触媒の機能付き)の設置、外で布団を干す際の注意など環境整備もお願いしております。

 

 

繰り返し発作を起こし発作が重症化しやすいお子さんには自宅で使用できる吸入器をレンタルあるいは購入していただき、発作時にはICSを使用していただきます。

 

 

 

また、ホモトキシコロジーを応用したクリニック独自の吸入薬を(副作用はありません)ICSの使用前に多用していただき、ICSの使用回数を減らす工夫もしております。

 

 

発作時の咳の特徴を耳でご両親に覚えていただき、喘鳴が聞こえなくても硬くて痰の切れない「ケンケン」した苦しそうな咳は発作であり喘鳴が聞こえる時よりも重症であることも認識していただき、早めの自宅での吸入治療の導入をしていただくようお伝えしております。

 

 

「夜寝られなかった」という症状も発作の重症度と比例します。

 

 

漢方薬麻杏甘石湯と柴陥湯の併用により、喘息の粘っこい痰が湿って切れてくるので急性期にも漢方が飲めるお子さんであれば治療がとても楽になります。

 

 




ICSでは気管の炎症は抑えられても、痰を薄くして排泄することはできないのでいつまでも気管に痰が残ってしまいますが、漢方はこの痰を排泄することが可能です。




 

この痰を排泄することはとても重要で、これが胸に残っていると肺炎を起こしやすく、気道の過敏性もまし、色々な誘因(アレルゲン、タバコの煙、気圧の変化など)で発作をさらに起こしやすい状態となります。

 

 「漢方はまずいから子どもが飲まない」と言って断るお母さんもいらっしゃいますが、お子さんでも飲みやすいようにシロップにしてお渡ししたり、シロップが飲めないお子さんにはお尻から注腸する方法などもあります。

 

 

慢性期には漢方治療と栄養指導で、ICSを継続させなくてもコントロールが可能になるお子さんが殆どとなります。

 

 

栄養、食事指導に関してはまた詳細にお伝えする予定です。

 

 

 

2. ICSを長期に使用してきてそれを中止できないお子さん

 


まず、ICSが副腎皮質抑制を起こしやすい薬剤かどうか確かめ、漢方を飲むことができるお子さんであればその服薬を開始していただき、その後でICSを慎重に減らしていきます。

 

 

同時に栄養療法の指導もさせていただきます。


 

 

漢方を服用していただいてもコントロールの難しい方に、アレルギーの関与する食品を除去すると喘息がコントロールできることを多く経験しております。



 

 

この方法で次第にステロイドから離脱できるお子さんは多いです。

 

 

 

参考となる情報があれば幸いです

 

 

追記

ここに記述した情報は、個々人の体質に合わせてお話したアドバイスではありません。

家庭主治医となっているママ達が、ご自分のお子さんの状態を判断する補助として使って頂きたく、診断、治療を目的とするものではないことをお断りいたします。

 

 

ゆいクリニック院長   由井 郁子





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