[負ける人は無駄な練習をする] (水谷 隼 ㈱卓球王国 2016年3月)
2016年8月のリオオリンピック卓球男子シングルスで銅メダルを獲得した、水谷選手の著書です。
昨年から、ずっと気になっていた本書。 特にこのタイトル。
お正月休みに、ようやく手に取りました。
自分もアマチュアレベルながら同じ競技に携わるものとして、またビジネスや普段の生活にも応用できる考え方が多く含まれている、と感じました。
特に、普段多くの時間を「OOの練習」に費やしている自分としては、それを「いかに無駄のない、効率のよい練習にしていく」かということに関して、改めて決意を新たにさせるくだりが多くありました。
「スポーツの世界では、負ける人は無駄な練習をする。勝つ人はどんな練習でも無駄にせず、有益なものへ転化させている。恐らくビジネスの世界でも、成功しない人は無駄なことを繰り返し、目的意識のない時間を過ごすのだろうし、成功する人は時間を効率よく使える人なのだろう。(あとがき より)」
この本の中で、繰り返し説かれているキーワード2つ。
「目的意識」
「予測力」
自分の、普段の行動は、この2つにフォーカスした「練習」「勉強」であるかどうか。
高い目的意識と、予測する状況を作る練習であれば、時間は短くても非常に効果的な練習ができる。
逆に
忍耐力を求めたり、自分が「気持ちのいい」練習など「自己満足のための」練習は、いくらやったとしても意味のない「無駄な練習」なのだ、と著者はいいます。この辺り、以前書いた「樺沢塾」のメインコンセプト「自己満足でなく自己成長を」に通じるものがあります。
そして「予測の練習」の重要性。
”時に心理戦になる卓球というスポーツにおいて「読む」ことは重要だ。ならばその「読み」はどうやって鍛えられるのだろう。これは卓球だけでなく、相手の立場に立って考え、行動することによって鍛えられる”...
普段の練習においても、この「予測力を鍛えるため」という目的を持って取り組む、ということ。
改めて、この辺りにさらなる注意を払って、普段の「OOの練習」に取り組もうと思いました。
もちろん、卓球という競技の特性への対応方法や、世界レベルでメダルを争うという著者の競技レベルに特有な事情に根差した理論も、少なからず記されています。
ですが、上記のキーワードに関するくだりは、ビジネスやその他の世界の様々な取り組みにも通じる考え方だと思います。
この本は、著者が2016年8月のリオ五輪に出発する半年前に出版されています。
普段のこうしたゆるぎない自分軸と、その実践。
それが五輪の舞台でメダルに結実したのだと、改めて思いました。