「ポーラ美術館」その1
「ガラスの森美術館」のあとは、「ポーラ美術館」。
寒い庭内を歩き回った「ガラスの森美術館」から、こちらに来てみたら。
近代建築のガラス張りの大きな建物が。
ガラス張りって、たぶん「外部の自然と内部を一体化させて・・・」とかいう今の建築の流行りの考え方で、建築家さんがデザインしたんだろう。
こういうのってキレイなんだけれど、作るはいいけれどキレイにキープするのが本当に難しいよね。
むしろ、長期的に見たらメンテの方が高くつきそう。
海外なんかの建物だと、ガラス面が汚くなっていて残念なものが結構あるのですが、日本はキレイにキープしてある建物が殆どですよね。
この美術館も、美しくしてあって、本当に素敵。
建築家さんも本望でしょうね。
中は暖かに空調が効いているし、設備もナイス。
正直、タイトルだけ見たときには、「なんかずいぶん雑多な企画展だなぁ。絵画なの?写真なの?テキトーに名前を並べりゃいいってもんじゃないだろうに」なんて失礼ながら思ったのですが。
なるほど、そういう意味だったのね。
いろんな人達が見たその時代のパリの姿。
特に市井の人々の姿やパリの街の姿を書いた、あるいは撮影した(=作品を残した)人々の名前を冠してつけた企画展のネーミング。
「フジタさんの見た当時のパリ」「ルソーの目から見たパリ」「アジェが記録したパリ」などから、当時のパリの姿や人々が浮き上がってくる様子を楽しんでください。
そんな内容。
パリにまだ城壁が残っていた時代、市の周辺部にいる一般庶民とか貧しい人々の姿。
そして、エトランジェとしての自分のアイデンティティー。
今までの「あ、この絵は○○でしょ〜」「フジタって、面相筆使ったんだよね〜」程度の薄っぺらい知識にその次代の背景を肉付けして、自分の中で厚みを増していくのが楽しい。
やっぱり音声ガイドは外せない☆。
歌舞伎にしろなんにしろ、あれば借りちゃう。
ガイド案内図です。
自分トコの収蔵品は撮影オッケーなのね。
日本では珍しい。
と思ったら、たまたま話した人が「日本でもだいぶそういう美術館が増えてきたね」なんて言っていました。
美術館、最近はそういえばあんまり行っていませんが。
行くとしても、常設展よりも、「○○展」みたいなやつを見に行くせいか、私はあんまりそういう意識がなかったなぁ・・・。
あ、写メは、うちにレプリカが置いてあったルノワールの「レースの帽子の少女」。
あっ。
モネの睡蓮だ☆。
ちっちゃっ
でも、そういえば、このぐらいのイメージだったなぁ。
初めてパリのオルセー美術館で本物見たときには、その大きさ(と、タッチの雑さ)に愕然としたものでした。
この睡蓮は、昔・・・小学校ぐらいの頃の私がイメージしていた睡蓮の絵そのものって感じで。
大きさ、筆のタッチなどもまんま
先にこっちを見ておくべきだったなぁ・・・。
まあ、逆だったから、インパクト大きかったのかなぁ。
買えることはないとは思いますが。
もし万が一買っておうちに飾るとしたら、このぐらいの大きさがいいなぁ。
でも、この絵のトーンだったら、インテリアを邪魔しないから、大きいものをどーんと広間に飾ってもいいのか・・・。
セザンヌの「アルルカン」。
教科書で見たなぁ・・・的な。
そっか。
ここに収蔵されていたのか。
これも好き。
ラウル・デュフィの「パリ」。
屏風絵らしいんだけれど、このグラデや、朝昼晩で色んな顔を見せるパリのすべてを書き留めたいみたいな、ラブが溢れている感じが、見てる人まで気持ちを明るく、優しくさせるような・・・。
写真だとアレですが、実物はみずみずしさを感じられてとても素敵でした
実は、タイトルは知りませんでしたが(→教科書にたぶん載っていたのに!すっかり忘れていました)。
それに、確かおじいちゃんの持っていた切手・・・コレクションというほどちゃんとやってませんでしたが、単純にきれいな切手をたくさん棚にごそっと入れていただけなんですが、その中にこの絵の切手があった記憶が・・・。
実物見ると、これを切手にした人の気持ちが分かる!
正直、切手や教科書に掲載されている大きさじゃあ、わからないですが。
この人間の肌のなめらかさと透明感。
髪の毛の豊かさ。
人の肌って写真で撮るにしても一番むずかしいっていいます。
この「肌色」が厄介なんですって。
でも、それを絵で再現するなんて・・・。
白人とか、黒人とか、レッドスキンとかよりも、個人的には、このアジア系の、みずみずしくてきめ細かい透明感のある肌が、再現が難しいのでは、と思います。
もちろん、この日本の藍の美しい色味や、朱の色味。
そして、着物の質感に至るまで、本当に名作。
思わず見入っちゃいます。
それから、これも有名ですね。
岸田劉生の「麗子像」。
・・・じゃなかった。
これは「麗子坐像」だそうです。
普通の麗子像って、上半身だけだったような気がする。
こんな艶(あで)やかじゃないもん。
でも、私は、普通の「麗子像」(→いっちゃん有名なヤツ)よりも、こっちの方がダントツ好きです
岸田劉生って、お子さんの麗子さんをモデルにして何枚も描いてるので、これはその中の一枚ですね。
どこが好きって、このお着物!
この色鮮やかさも大好きなのですが、それより、このリアリティー。
正直、人物の顔はこけしみたいに表情がなくて、しかも汚れていて?なのか、それとも単にそう描いてあるだけなのか知りませんが、とにかく汚くて好きじゃないのですが。
このお着物の見事さにははっと息を飲みました。
絞りのボコボコ感とか。
更にそれにプラスして、着てる時のシワの入り具合とか。
確か、岸田劉生って、ものすごい長い時間かけて描く人で、しかもいろいろうるさかった?んだったかな?
モデルたちがみんな逃げちゃったので、最終的に家族をモデルにするようになって。
しかも、子どもが被害(?)にあったというか、一番モデルさせられたというか。
だから、どの絵もこんなぶーたれた顔してんのかな?とか思うんだけれど。
でも、さすがにこのリアリティーだったらね。
まあ、納得だわね。
まー。
この兵児帯の具合といい。
ホント素晴らしい。
縫い目の糸の太さから、下手したら和裁のテクまでこの絵で分かっちゃいそうな細かさというか写実性というか。
これ、デザインは古臭いけれど、相当いいお着物だわ。
今は技術が失われたりもしているし、着物が日常着だった当時の値段はわかりませんが。
お正月の一張羅とかかしら?
それとも、この岸田家って子どもにいつもこんなおべべを着せられるぐらいの超裕福なおうちなのかしら?
・・・いや、たとえそうであっても、昔のおうちだとしたら、ハレとケはきちんと使い分けていただろう。
普段は絣(かすり)とかだろうし。
素材は綿またはウールでしょう。それが一般的なはず。
これはどう見てもシルクだし。
絞りが相当入ってるし。
しかも色を重ねた絞りだから手がこんでる!
模様が違うけれど、一瞬黄色い部分見て、辻が花かと思ったよ。
まあ、かーなりデザインとしては古臭いけれど(当然)、素晴らしい逸品・・・。
このお着物、現存しているなら、それも美術館でお買上げして、隣で展示すりゃいいのに!
ああ、のどかだね。
どうせフランスとかの景色なんだろうけれど、日本的だなぁ・・・。
なんて思っていたら、日本でした。
児島善三郎さんの「箱根仲秋」。
リビングにこんな感じの絵を飾りたいなぁと思って写メしていたら。
なんと、どうやらおばあちゃまも気に入っていたようです。
へええ☆。
ハイカラなモダンガールなおばあちゃまなので、もっと現代っぽいのが好きかと思った。
まあ、向こうもあたしのことそう思っていたみたいですが☆。
意外なとこで血の繋がりを感じました。
最後に、通路に展示してあったブールデルの「パリジェンヌ」を。
わたしは、立体作品(彫刻)とかより、絵画が好きなんだよなぁ。
もちろん嫌いとかじゃなくて、どっちがより好みかとかそういうレベルでの話なんですが。
多分、頭が二次元なのね。
映画も3Dとか苦手だし。
これは、なんかバランスが、フィギュア的だなぁ、と思って。
極端にシェイプされたウエストとか。
おまえ何頭身だよ?とツッコミ入れたくなるような、アニメフィギュアみたいじゃないですか?
もしかしたら、クールジャパンの影響がこんなトコに?!
なぁんて。
1907年作なので、違いますね。
あ、ここ。
いろんな意味で面白い美術館です。
印象派の絵のパネルを並び換えて絵を作ろうとか。
印象派の絵のパネルを並び換えて絵を作ろうとか。
タッチパネルを触ると、そのカラーの点描だけを示してくれたり。
そういう「芸術に近づこう」「親しみを持ってもらおう」というような企画コーナーがあったり。
ミュージアムショップも良かったです☆
藤咲理香(橘里香)
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