ひろとがいつものように、
タクシーを止めようとする。
その手を私は制した。
「せっかく綺麗にしたから、
陸と零次にも見せに行くね♪」
「わかった…。」
少し寂しそうに、
ひろとは言った。
そんなひろとの態度は少し引っ掛かったけど、
私は陸と零次に、クリスマスディナーには行けないけど、
今日、
お店には遊びに行くから…と約束していた。
せっかくのイブに忙しい中、
わざわざ時間を空けてくれた彼らに負い目も感じてた。
二人とも大事な友達だったから・・・。
陸の店の扉を開ける。
陸はキャッシャーのところで、スタッフと打ち合わせしていた。
今日も細身のスーツがキマっている。
こちらを振り向いた。
「理緒、ヤりすぎだろ、それ(笑)。」
“うるさい!”
陸はいつもの顔で、ニヤニヤ笑ってた。
ほんと嫌みなヤツだ。
“陸の為に着飾った訳じゃないし!”
思いつつ、私はいつもの席についた…。
その後、
零次の店に行った時も、
これ以上ないほど、
着飾った私を見た澪冶に、
微妙な顔をされた。
いつもノリの良い澪冶が、
あまり喋らない…。
“そんなに私、変かな?”
何だか腑に落ちず、落ち着かなかった。