オークションアナウンスの日。
私は2週連続でシフトから外れていたので、ちょっと久しぶり。
セリが始まって少し経った頃、この会場の社員さんで一番若い新人くんと
彼の指導係の中堅社員さんの会話が聞こえてきた。
どうやら、新人くんは近々退職するらしい。
話の切れ目で「辞めちゃうの？」と聞いたら、「今月末で辞めます」って。
定着率は余り良くない会社と感じる時もあるけれど、
私たちアナウンスをしてるメンバーはもう何年もお世話になっている職場。
立場が違うから感じることも与えられるものも違うし、
仕事に求めることも皆んなが同じじゃないから、去る人がいても何も言えず。
新人くんと話を終えた中堅くんから尋ねられました。
「りべさんは、仕事が楽しいですか？」
「私たちは殆どがこの仕事がやりたくてやってる人ばかりだからねえ…楽しいよ！」
「行きたくない日ってないんですか？」
「あるよ。
体調が悪い日もあるし、スケジュールがキツイ時もあるし、会いたくないお客様やスタッフもいるから。
でも、だから辞めたいにはならないなぁ。
昔、まだまだ仕事がなかった頃は生活の為に
仕事を変えなきゃいけないかとは思ったけどねー」
好きな事を仕事にする人と、好きだから仕事にしない人がいるけど
私たちの職業は前者ばっかりだと思う。
でも、保証はないしボーナスも有休もないんだよ。
儲かる立場じゃないし、好きじゃなきゃ出来ないかなぁ。
と話しながら、悩める中堅くんには大した参考にならないなぁと
申し訳なく思い始めた。
これで良いのかな、
いつまでやっていけるかな、
ちゃんと生活が出来るようになれるかな、
なんて思いながら辞める勇気も思い切りもなく、気付けばこの齢…が現実。
人生は一度きりなのか、輪廻転生で何度もやり直せるのか分からないまま
私の場合はもう少し、現状維持でやっていきたいわぁと
今日も塚ぴーからの差し入れを食べながら思う。
「仕事は楽しい？」と聞かれた塚ぴーも、
「楽しいー！」って即答してたわ。