今日の幸せ | りべ日記

りべ日記

目標はお気楽な毎日
仕事は喋ること



今日でまる18年経った。


2005年11月23日15時7分に、私の師匠は旅立った。


パソコンには、告別式で参列してくださった皆さんに聞いて頂いた

『故人の紹介』の原稿が残ってる。


今では多くなったかもしれない、当時は葬儀会場の方も手探りで行なった無宗教の式。


私が初めて司会をした告別式でした。





  前略


肥えた舌の持ち主でした。

でも流儀は美味しいものを少しずつ、少しだけ。

そして決して一人では楽しまず、周りの笑顔も一緒に味わうことが喜びでした。


パソコンも携帯電話も使えたけれど、きちんと手紙を書きました。

独特の跳ね上がる文字をきれいな絵葉書に連ねては、日本中に送っていました。


新しいもの、楽しいことを見つけるのが得意でした。

綺麗なものも大好きでした。

珍しいものには心を躍らせました。

そんなものに出会うと嬉しくて、皆んなに教えて回りました。


  中略


大好きな美味しいものも、綺麗なお花も思うにまかせないまま6月末の入院から

時間だけが前へと進んでいきました。


「頑張れ」と人から声を掛けて頂くと、「いやだ」と答えることがありました。

それから横を向いて「でも、諦めない」と言いました。


本人はすべてのことを知っていました。

悪性リンパ腫という病気のこと。

その時どんな治療が行われているか。

今、自分がどんな状態なのか…本当のことを全部知っていました。

それでも「諦めない」と言い続けました。

一生懸命、口から食べ物を入れようとしました。

精一杯、呼吸しようとしました。

声が出なくなっても、起き上がることが出来なくなっても『諦めない』気持ちを持ち続けました。


  後略




師匠に会えたおかげで、私は今幸せに暮らしていられる。


仕事がある有り難さ。


出会わせて貰った人達に助けられながら

今でもお付き合いを頂いている。


今日だって、来月の演奏会の原稿を書いてるのは

師匠に繋げて貰ったお仕事。


今だに悩みながら、頭を捻りながらの作業だし

師匠のように華麗な回しは出来ないのは情けないけれど。



あれから今日までの間には、同じような辛いお別れもあった。


今年は師匠の時以来の、告別式の司会をする事にもなりました。


生きていれば避けられない事と承知していても、悲しく淋しい。



それでも自分が彼方に行くまでは頑張らなきゃいけないんだなぁと

今年も師匠を思い出してる。


頑張れる事は幸せで有難いこと。


小さな事でくよくよしてるより、美味しいものを皆んなで食べて

楽しい事を色んな人と一緒に堪能して人生を締めくくります。