大丈夫


今は どんなに深く悩もうとも


いつかは 笑い話になる




だから 大丈夫。






出来るなら


そんな言葉を


誰かに 言ってもらえたら



甘えが 許されるなら

我儘を 聞いてもらえるなら




どんなに大きな心配事も


忘れてしまえるなら



眠りに墜ちる その時まで


安らかでいられるなら。








切実な希望や願望は

すぐに薄れて
現実に溶けてしまう






そして今夜も





暗く静かな

深海の様な 眠りの街で


鈍く光る 摩天楼の隙間を
縫う様にして


痩せ細った魚が 泳ぐ。
ホーム スタンフォードブリッジで
格下(失礼) ローゼンボリに
腑甲斐ない内容でドロー

それを最後に
彼の姿を ベンチで目にする事はなくなった



潤沢な資金と
質の高いスカッドを手にしたクラブは

彼の手で
ビッグイヤーを狙うクラブになれる


そんな風に
僕は信じて疑わなかった。





07/08シーズン
UEFAチャンピオンズリーグ

欧州各国の強豪クラブが凌ぎを削る争いも
決勝を残すのみとなった


残された2クラブは

内容と結果で 全世界を熱狂させる
イギリスの『赤い悪魔』
マンチェスター・ユナイテッド



そして
大方の予想(期待?)を裏切り
最大のライバル
リバプールを粉砕

主力の奮起で態勢を保つが
なおも迷走を続ける チェルシー

この2クラブとなった。





あのロシアの石油王が
ロンドンに現れたその日から

常に叫ばれてきた

ビッグイヤー獲得という命題は




一人の 寡黙なイスラエル人によって

実現されようとしている。






拳を突き上げ
勝利に歓喜する

『敗けない』チェルシーの
強さとそのシンボルであった
彼の姿は

もう そこには無い。






石油王が渇望した
『約束の地』の舞台はモスクワ


これも何かの運命だろうか




この舞台で

彼の背中を追い続けた 愛弟子達は

どんなプレーを 観せてくれるだろう。






彼の背中は もう無い。



それでも 僕は喜ぼう


彼の『育てた』チェルシーが
『約束の地』へ 辿り着いた事を。





そして 信じよう



彼等が 栄光を掴み取る事を



ロンドンが 青く染まる事を。



嘘を吐いて傷付いた

嘘と知らずに傷付いた



真実を知る事も

知らせる事も


この先恐らく 無いだろう。





優しい嘘も

覗けない弱さも


どちらも答えに 辿り着けない




霞む様な平行線が




唯々 続いていくだけ。





願いを込めても



きっと僕等は

忘れてしまうんだろう。



空の心なら 幾らでも
現在に意味を見出だせるのに

雑音ばかりが聞こえてきて

視界がぼやけてしまう様な

そんな毎日で

僕は色んなモノを
見失って
見落としているんだろう。



空の心のまま
触れられる人々や風景が

今の僕には
掛け替えのない存在で

それだけが
僕に意味を与えてくれる







5月の海の
静かで 緩やかな波を


僕等は 飽きもせずに

ただ 眺めていた。
僕の知らない所で 世界は廻り

君の知らない所で 世界は動いている


静かに 確実に




時間の流れに

世界の変化に

置いていかれて




迷子になってしまう。






どう歩いたらいいのか
分からなくなった 僕等は

街の隅っこで 出会った


同じ歩き方をして

同じ迷い方をした



煤けてしまった その場所まで

よく似ていて
僕等は 笑い合った






僕等の知らない所で 世界は

朝と夜を繰り返し

全てを塗り替えていく



嬉しい事や 楽しい事も

そうではない事も




そんな風にして いつか


昨日の出来事も 笑い飛ばせる様な

明日の出来事も 楽しみになれる様な


そんな僕等に なれるだろうか





雨の日も 風の日も



抜けるような 晴空の日も



この場所で また会えるなら。