「そういえば、かなりの時間が過ぎているのに、誰もきてくれませんでしたね?」
ラリスの弔いも考えなくてはならない時にリーダーであるシドが不在。
異議を唱える者が居てもおかしくないものだが、夕刻を過ぎようとしているのに、誰も様子を見に来ようとしていない事に疑問を述べるシレイス。
ハッとしてシレイスに合いの手を入れようと口を開きかけるるディエマ。
しかし、シドが事も無げに理由を述べたために開いた口が行き場を失い右往左往した。
「俺がジョーに頼んだ。誰も村から出ないように見張っててくれと」
「あいつ、戦闘に反対してたんじゃないのか?」
「俺も反対した側だったが、その俺が君らが戦闘をするのを止めずについて行くと言った。俺なりの考えがあると、察してくれたんだろう。何といってもリーダーである俺とは一番、付き合いが長いからな」
実際は違ったが、妙な信頼関係が、今自分たちの帰りが遅いのを見に来ない村の体勢に疑問を与えることなく、また、村で何かあったのじゃないかとの懸念もシド達に与える事はなかった。
「ジョーのやつ、どんな言い訳してるんだろうな…さすがにラリスの事そっちのけで、戦いに行ったなんて…」
「簡単です。神殺しであるハージンと今後について話があるから、誰も近づけるなと言われているんだと言えば、一応は納得するでしょう…まあ、ジョーの説明の仕方次第で後始末が大変になるかもしれませんが…」
「俺と今後について?」
ハージンの問いに、歯がゆそうな顔を向けるのはシド。
「さっきの話だ。宝剣で聖地の場所を聞き出せていたなら、言い訳では無くなるんだが…」
「そういえば、なぜ聖地に行くことにこだわる?さっきも行くべきでは無かったかもって…」
以前、シド達が聖なる地へ行こうと戦士の門をくぐったと言っていたことを思い出したハージンが言う。
「封印の効力が弱まってきているのです」
「近づこうとしたから?」
「そうじゃない。そもそも、何もなければ数百年も守られた秩序を乱すような真似はしない」
「戦士の門が封印なんだろう?外から封印しなおせばわざわざ行かなくても…」
「封印された神の呪いを封じたのが聖なる地。戦士の門はその聖なる地への侵入を防ぐ封印。神の封印は別にあるんだよ」
「別…?」
「幸か不幸か、戦士の門の封印は異常が無いとラリスが言っていた。ただ、門の中から禍々しい波動を感じる事がここ数か月で数回あってな…」
「禍々しい波動?」
それが、何なのか…
その時のハージンは気づく由(よし)も無かった。
だが、本能というか直感というか、答えともいうべき言葉が口をついて出ていた。
「呼び寄せている?」
自分の言葉に驚きながら、シレイス達を見ると、同じように驚きの表情を浮かべていた。
「呼び寄せるって?」
「…神殺しを?」
「それって、当たってるんじゃ無いのか?」
思いもかけないという表情でシドが言うと、
答えを確定する言葉を加えるシレイス。
「全員、戦士でしたしね」
「そうか…それなら合点がいくぜ」
目を輝かせるのはディエマ。
「おい、何の事だ?」
いら立ちが感じられるトーンで聞くハージン。
答えるシド。
「君で五人目なんだ」
「??」
「あなた以外に行き倒れていた人間が四人いるという事です」
シレイスの言葉に益々困惑するハージン。
ただただ、満足げな笑みを浮かべる彼らを呆然と見つめていた。
~続く~
