こんばんわ!これから紹介するのは他で同じような形で書いていたオリジナル小説なのですが、ここのブログの方が見てくれる可能性があると、薦められ、こちらに引越した次第です。前のところでの反応はなく、なにぶんアクセス数も不明でして、無力感でいっぱいでした。こう書くと何だぁと思うかもしれませんが、がっかりさせるつもりはありませんし、半年もあたためてきた作品に半端は無いと信じます。読んでくれれば脱サラまでした僕の情熱は伝わるものと信じます。おっと、何だか堅苦しくなってしまいましたね。説明はこのくらいにして、まず、僕の作品を見ていただくことにしましょう。
 さて、今回始まるのは、ひょんな事から元カノを助ける事になる主人公の物語です。様々な思惑を絡ませつつ、最後に残った真実とは?

{残された真実}   第一回

 狭いむさっくるしいアパートの一室。これまた、むさい感じの、しかしどことなく渋さを醸し出した二十代折り返し地点ぐらいの若い男がいた。

リリーン!

 古くさい電話の音が鳴り響く。だが、部屋に備え付けてある黒電話からでは無く、若者の横に転がっている携帯からだった。横になり、肘を突いて雑誌を読んでいた姿勢から手を伸ばし器用に携帯をとる。

 だが、非通知と表示されているのを確認すると男は携帯の着信を切ってしまう。

「またかよ!うっとうしいな」

 そうは言うものの、連絡手段としての興味しかなく、それ以外の機能を確かめようともしない男の携帯に非通知拒否の能力が加わる事はなかった。

 一度だけ、しつこく鳴り止まない携帯に痺れを切らし電話に出たが、変な言いがかりを付けて、外で会う約束を取り付けようとするので、そのまま携帯を放っぽり出してでかけてしまったことがあるのにもかかわらずだ。

 これだけ見れば彼、神野 徹平(かんの てっぺい)がいかにズボラか解ってもらえるだろう。だが、そんな彼も、考えはしているのだ。例えば、言いがかりを付けてくる輩との通話を切らずに外へ出かけたのは、全く相手にしてないことが解れば、もう掛けてこないだろうと思ってのことだったし、それに向こうからかけてきている電話だったから、少しでも多く通話料を払わせてやろうというセコい復讐心があってのことだった。

リリーン!

 またしても電話が鳴る。またか、と表示窓の非通知の文字と睨めっこする徹平の脳裏に嫌な予感が走る。まさかと思いつつも、今の携帯放置の事がよぎる。一ヶ月前の事ながら、まだまだ記憶に新しいのでつい考えてしまう。

 しかし、そのような、とっくに過ぎ去ったことを前提とした予感など的中するわけがなく、何度切っても諦めずに、しつこく掛けてくる電話に、思い切って出てみると聞こえてきたのは、そのときの女の声ではなくドスの利いた男の声だった。

「京本 夏輝(きょうもと なつき)を知ってるか?」

 もしもしと言いかけた徹平の声に割り込むように急いだ感じで男は聞いてきた。意外な名前を告げられ、動揺する徹平だったが、どうにか平静を装って返す。

「し、知ってますが?」

 逆に聞き返す形になりつつ言い終えると、今度は、

「神野徹平だな?」

 と自分の名前を言ってきたのだった。これには慌てた徹平は気を落ち着けている暇もなく、ほとんど叫ぶように言ってしまった。

「だ、誰ですか!あなたは?」

「そんなこたぁどうでもいいんだよ。いいか!よく聞け!京本夏輝を助けたければ百…いや、二百万用意しろ!わかったか?」

「はぁ…?」

 動揺していまいち事態が呑み込めない徹平の間の抜けた声。

「手帳の名前を♡マークで囲ってあった。彼氏なんだろ!」

 ますます困惑する徹平。夏輝と最後に会ったのは五年も前だ。何故そんな手帳が?

「ち…違います」

「嘘をつけ!どのページも徹平徹平って書いて…あ、何しやがる!このぉ…!」

 男の荒荒しい声に続き金属片の山が崩れるような音と女の悲鳴が聞こえてくる。

「今度おかしな真似してみろ!顔に蹴りいれるぞ!」

「やめ…て…ぺいだけは…」

 懐かしい声。聞き違えるはずがない。それと同時に徹平は恐ろしい現実を理解しなければならなかった。

 なぜかは解らないが昔の親友であり恋人であった京本夏輝が何者かに誘拐され、その身代金を親でもなく、すでに他人であるはずの徹平が要求されているのだ。

「コノヤロー離せ!本当に顔を蹴られたいか!」

 再び響く金属音!今度は悲鳴がなかった!必死に携帯を左耳にこすり付けるようにする。

「お…ねがい…からて…いだけは…」

 よかった。まだ生きてる…彼女の華奢な細い体が想い浮かぶ。あんな細いのに、あの激しい金属音…骨折してても、おかしくねぇ…!そんな子に…!思わず潰してしまうほどの力で携帯を握り締める徹平!激しい怒りがこみ上げる!

「まだ足りねぇか!」

「やめるぉ~~~ぅ!!!」

 再び暴力を振るいそうな男の声に思わず声をあげる徹平。信じられないくらいの自分の声にびっくりする徹平の心とは裏腹に男は至って冷静な声で言った。

「ハハハ!やっと事の重大さを理解してくれたようだなぁ。え?どうだ金を用意する気にはなってくれたか」

「わ…か…た」

「あん?聞こえねぇなぁ?」

「わかったよ!」

「おいおい、口に気を付けろよ。俺様は女だからって、蹴りくれるのをためらわねぇってのは、よぉ~っく解ってるんだろうからよ?」

「クズ野郎…」

「あ?何か言ったか?」

 答えずに歯をかみ締める徹平。こんなクズ野郎相手に何も出来ない。テレビでしか見たことがなかった!まさかこんな奴に自分が屈する日が来ることになるなど思いもしなかった。徹平の口に血が滲む。

「ハーハッハ!まぁいいや。二百万!たった二百万だ!それでこの女を自由にしてやれるんだ。安いもんだろ?なぁに安心しな。契約が成立している間は手出しはしねぇよ。復讐なんて厄介事だきゃぁゴメンだからな。どうだ?集めてくれるよな?」

「しつけぇんだよ。用意してやるよ!」

「口の利き方…ハッいいぜ気に入ったぜ。よ~っし明日の正午にまた連絡するからよ。…念押しだが、くれぐれもサツなんぞを回そうなんて考え起こさねぇこった。こっちにゃ、死にかけの人質がいるんだからな!あばよ!」

 死にかけと聞いて叫びかけた徹平の声を無視して電話は切れてしまった。携帯を叩きつけて顔を覆う徹平。跪(ひざまず)き、崩れようとしたが、あることに気付き、慌てて携帯を拾い上げてみると案の定液晶がつぶれていて、中で液漏れしている。

「何やってるんだ。俺は!」

 これでは、犯人からの電話を受けることが出来ない。夏輝と別れた二年後に引っ越してきたこのアパートの電話番号は夏輝の手帳には載っていない…後悔しても携帯の画面が元に戻る事はなかった。

                                   ~第一回  了~
 いかがでしたか?これは連載なので次に続きます。途中で終るのか?と勘違いなさらないようにお願いします。大体は毎日更新していくつもりですので今回気に入った方はお時間が有れば読んでくださいね。

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