料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。




  昨日、先月分の支払い(七月末締めの八月末払い)と九月分の
  家賃を無事払い込み終了。
  一番ホッとする時間・・・。
  


  開店当初は、そうではなかった。
  何せ手持ち資金の無い中で始めたのだから・・・。
  支払いを一日でも遅らせて、手元にキープしておきたかった。(笑)


  今思えば、悪あがきにしか過ぎないのだけれど・・・。
  金利で商売をしていれば、その一日でお金を運用して・・・。
  なんてあるけれど、僕の場合はさにあらず。

  
  僕の仕事は、稼ぐシステムとか・・・。
  事業モデルとか・・・。
  そんなビジネス的要素を全く考えないで、始めてしまって・・・、
  今も続けている。


  ただ、料理が好きでそれを追いかけていたら普通より技術が身に
  ついて、旨いと言われそれじゃ料理長になろうと思い、次に店主
  と思って歩いてきた。


  今、起業家が学んでいることなど・・・。
  いわゆるビジネス的な要素(儲けるシステム)を全く考えないで
  独立自営してしまった訳。


  店を始めてからマネジメントやマーケティングという言葉と出会
  った。(笑)
  そして、それから焦りまくり苦悩の日々が続く・・・。(笑)


  勿論今も常に不安がまとわりつくけれど、あの開店当初のような
  重く苦しい痛みではない。



  えっ!?商売繁盛だからでしょう!?


  今のご時世で、うちのような個人店、それも激安でもカリスマで
  も無い中途半端な店に、それはない。

  時代に超乗り遅れているか、先を行きすぎている。(爆)


  ここで、この業態で続ける術の様なものを見つけた・・・。
  ただ、それだけ。

  それは、上手く伝えられないけれど、一つ言えるのは・・・。
  精一杯頑張った・・・。いや、「背一杯顔晴った」ということ。
  ※「顔晴る」は僕が知る限り斎藤一人氏が使われている言葉だと
    思います。


  勿論もっともっと出来ると思う。
  背が伸びれば良いのだから・・・。
  背を伸ばせば良いのだから・・・。

 

  僕より腕のよい料理人は星の数ほどいる。
  その中で料理店を開いた人も星の数ほどいる。
  そして僕と同じように、お店の経営に悩み苦しんだ人も・・・。
  いくらでもいるはずだ。


  皆それぞれに、精一杯頑張ったはず。
  いわゆる「頑固に意地を張った」・・・。

  どんなやり方かは知らないけれど、それぞれのやり方で生き抜こ
  うとしていた。


  先輩にもいる。


  業者に任せる人・・・。
  外注の仕事をとる人・・・。
  復業をする人・・・。
  支店を出す人・・・。


  僕は、料理教室をやった。
  そして、それは最初から復業した事になる。
  開店した月は、友達を3名誘った・・・。
  一人のクラスと二人のクラスの二回だけ開講した。

  

  僕の年齢が一つ違えば・・・。
  フランスから帰ってくる日が違えば・・・。
  NYと巴里で仕事をしなければ・・・。
  根っからの職人だったなら・・・。
  バブルが崩壊した後でなければ・・・。


  多分この方法は見つけられなかった。
  いや、見つけたとしてもどうやってやれば良いのか解らなかった。
  (先輩達から、「どうやってやるんだ?」と何度か聞かれた)



  日本に帰ってきてひと月。
  就職活動をしたけれど、あの頃本当にレストランの働き口が無か
  った。
  勿論、下働きならあっただろうけれど・・・。


  巴里でもNYでも、腕の良さを認められ・・・。
  フランス語も使える。(今は全く忘れている)(^_^;)
  そんな僕は料理長以外の仕事を探さなかった。

  
  そして出会ったのが、料理教室という世界。
  勤まらないと思ったけれど、働かないでいることに我慢できなか
  った僕は、面接を受け就職した。


  これが・・・。


  そしてある日不意に頼まれた、講師という仕事。
  講師で入社したわけでなく、講師のバックヤード、講師の教育係
  責任者として雇われた訳だった・・・。


  それが・・・。


  人生と言うものはほんとに不思議なものだ。
  全部、目標通りに動く人もいるという。
  でも、僕は違う。
  目標を立てたつもりは無い。

  

  ただ、憧れがあったから、それを追いかけた。
  ただ、現実を自分の憧れに寄り添わせた。

  

  そして今、目標では無かった講師という仕事が人生を支えている。
  そして今、目標では無かった講師という仕事に生きがいを感じる。
  そして今、目標ではなかった講師が僕の一部になる。
  そして今、それをとても幸いと感じる。


  それは、巡り会えた歓びと言うものだ。



  恋人同士のつながりをよく「赤い糸」で結ばれた・・・。
  というけれど、僕にとっての料理講師とは、きっと赤い糸で結
  ばれていたのだろう。


  そして、その仕事は僕を「顔晴ら」せる。
  料理を作るときは、無口でずっとうつむいている。
  眉間にしわを寄せる感じだ・・・。

  黙々とストイックに仕事をする職人に憧れていたのだから・・・。


  客席で真っ白なコック服のまま笑顔を振りまくことに憧れた事
  はない。
  スポットライトをあびる背の高いコック帽に憧れた事もない。


  でも、講師をしているときは、みんながいる。
  僕が望むと望まぬとに関わらず・・・。

  僕の話を聞いている。

  それは、僕を背一杯顔晴れらせる。
  それは、僕に笑顔を連れてくる。
  それは、僕の望んだものでは無かったのに、僕を生かす。


  赤い糸で結ばれていた・・・。
  
  さもなくば、僕は五百種類もの料理やお菓子を作れなかった。
  さもなくば、僕は十五年もりあんを維持できなかった。
  さもなくば、僕はこんなに深く料理を愛せなかった。


  料理講師という仕事・・・。
  そして講義を聞いてくれる方達・・・。
  赤い糸で結ばれていた君のおかげだ。

  「ありがとう・・・」

  黙々と・・・。
  うつむいて仕事をしている僕が、時々頭を上げてつぶやく。



  そして、料理と・・・。
  僕に笑顔を思い出させてくれる方達を・・・。
  心から愛していると感じる。
  



今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」

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