料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。
それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。
おはようございます。
う~ん・・・。暖かい。
中目黒は、本当に初夏を感じる勢いです。
つい先日まで、桜がまだ二、三分咲きの頃は、肌寒かったのに。
すっかり緑の葉っぱで覆い尽くされています。
散るのは寂しいけれども、こうしてしっかり新緑の葉が生まれてくるし、
一足早い夏をたくさんの人に感じさせます。
そして早朝、花が散ってしまった桜の木の下を通ると、ため息が聞こえ
てきそうです。
そりゃそうでしょう・・・。
あんなに連日連夜、たくさんの人々に見られたのですから。
昔何かの本で読みました。
芸能人に「するり」とした顔の人が多いのは・・・。
たくさんの人に見られるからだ、と。
視線のエネルギーというものは、とてつもなく大きいのに、それを
連日浴びている彼らはどうしても、角が落ちてくる。
そんな話でした。
逆に、芸術家と言われている人の顔を見よ。
人に見られるのではなく、自分から見つめることを生業としている
彼らは、皆実にいろんな形をしているから・・・。(笑)
そんな風にも書かれていました。
これを読んだのは、中学生か高校生か・・・。
妙に納得している自分がいました。(笑)
今月のデザートは・・・。
「○×のムース」を作っています。
これ、美味しいです。
とても穏やかな味に仕上がって、何か今の季節みたいに・・・。
時々、ムースとスフレとババロアの違いを聞かれることがあります。
少しご存知の方は、「スフレは焼き物でしょう」と仰ると思います。
確かに・・・。
でも、冷たいスフレもあるんです。
「スフレグラス」
アイスクリームやシャーベットの生地に、メレンゲをたたき込んだ
もの。
たたき込むといっても、本当に叩くのではなくて、何となく言葉と
して常套句になっているだけで、加え混ぜたものと同じです。
そしてそれを冷凍しておくのです。
カチカチの状態では、きっとシャーベットの一種類だと思われますが、
完全に中まで冷凍されないときには、殆ど形をなさないムースと何ら
変わりありません。
スフレの意味は、「ふくれた、誇張された、とても驚いた」です。
動詞になると、息を吹くとか脹らますとか、ささやくなんて意味も
あります。(フランス料理仏和辞典 イトー三洋株式会社 より)
それに対してムースは、すっかり日本語にとけ込んでいます。
理美容の世界の方が、おなじみかも知れません。
ムースの意味は「泡」
泡が入っていればとりあえず何をムースと言っても良いでしょうが、
お菓子で使う泡は殆どホイップクリームかメレンゲです。
そのお菓子の主たる材料・・・。
例えば苺のムースなら苺、カシスのムースならカシス。
それらを液状(ピュレ)にしてそこにどちらかの泡を加えれば・・・。
両方加えても良いですが・・・。出来上がります。
でも殆どの場合、これでは自在な形を作れず、しばらくすると離水と
言って、分離した状態に変わってしまいます。
だから何か形を保つものを・・・。
で、冷やして提供するものの場合は、「ゼラチン」を使います。
日本なら寒天と言う手段もありますが、とりあえずフレンチなので。
主たる材料にゼラチンを含ませ、そのゼラチンが効果を発揮して・・。
さぁ、固まるぞと言った瞬間に「泡」を抱え込ませます。
この瞬間をずらせば、ムースを口に入れたときの食感が変わります。
また、仕上がりの膨らみ具合、型に入れたときのボリュームも変わ
ります。
同じルセットなのに、書かれていないタイミングをほんの少し変える
だけで、違うムースが出来上がります。
殆どの教科書(ルセット)には、こんな事は書かれていません。
でも、ムースのルセットの裏側には、こういう意味が含まれてます。
セミナーでは、そんなお話をしました。
で、実はこれは「ババロア」と何ら変わらないのです。
ババロアは、前述のフランス料理仏和辞典によると・・・。
「クレーム・アングレーズか果物のピュレにゼラチンを加え
泡立てた生クリームを混ぜて型入れしたもの」です。
※クレーム・アングレーズは卵黄、牛乳、砂糖で作るカスタードソース。
ただ、このババロアは、ドイツの地名ですから・・・。
特産品のゼラチン(豚肉料理が多いので、骨や皮を無駄なく使うため
にゼラチンがたくさん作られるのでしょう。その一分があの噛み応え
十分の「グミ」をうんだのだと思います)が必須です。
ムースは、今その場で食べるなら、ゼラチンをいれなくても良いのです。
「明日食べたいとか、明後日食べる」から形を保つためにゼラチンを
加えたに過ぎず、そうするとババロアと何ら変わることはありません。
また、ドイツ料理を見ると判るのですが、型入れして作ったものが多い
です。(アルザス料理も、ドイツ料理の影響を受けてるから・・・)
その為、ババロア型があるんですね。
僕は全く使いませんが、由緒正しく作られる先生は、ちゃんと専用の
型にいれて作っています。
自己流、自分流(ア・マ・ファッソン)の料理を作りつづける、今の
時代のシェフの一人として言うと、ムースの方が軽い響きで、メニュー
に使い易いのです。
濁音がない、短い言葉の「ムース」のほうが、繊細な響きを表現し易い
のです。
だからしっかり固めて、カットしてお出しするなんて時は・・・。
意図的に「ババロア」と使われていたりする。
勿論、そこら辺はそのシェフの感性にもよるけれど・・・。
おっと・・・。なんだかずいぶん書いてしまいました。
料理のことを書き始めると、長くなり、興味のない方には、退屈極まり
無いでしょう!?(笑)
僕が書いているので、そして原題が「愛される料理」なのですから・・・。
料理の話がしばしば出ます。(笑)
逆に余り料理に触れないと、変です。
僕は料理人なのです。
いつの間にか、人生の半分以上をプロの料理人として生きてしまいました。
料理人の目を通して、料理を通して、野菜や肉や・・・。
諸々の食材を通して、人生を見つめることが出来るようになってました。
僕が作る最高の料理は、僕の人生になるのだろう事も分かり始めました。
そうなると、どんな料理も手を抜かずに作ってきたのですから・・・。
ただ、作り始めはどう調理するのかも解らずにいました。
そう、初心者が山ほどある肉と魚と野菜と・・・。
無限にあると思われる素材を前にして途方に暮れているように・・・。(笑)
仕方がないから、切ってみたり、煮てみたり、焼いてみたりしました。
そのうちに、ほんの少しの料理が作れるようになり、楽しみました。
調子に乗って、失敗して焦がしました。
友達に振る舞いました。
バリエーションが増えてきました。
自由自在に作れると、のぼせ上がりました。
ソースを分離させ、涙をこぼしました。
誰も言ってくれないからと、自分に「旨い、旨い」とささやきました。
大勢で自分に与えられた部分を仕上げました。
一人で「旨くなれ、旨くなれと」と願い続けました。
僕の指先の感覚は、味覚は、嗅覚は、聴覚は・・・。
そして、素材を見つめる目は、その願いに応えようとしました。
それら全てが、「人生」と言う名前の料理を作っている事となんら変わり
無いことを知りました。
さて、この料理はどう仕上げるのだろう?
どんな味になるのだろう?(笑)
今が、いえいつでもですが、気を抜けない「今」なのです。
今日も、新しいインスピレーションを
迎える、そして、迎えにゆく
1日でありますように。 (^ー^)v
そして・・・
いつも 「ありがとう」
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