料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。
それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。
おはようございます。
十月最初の週末はいかがお過ごしでしょうか?
僕は、この中目黒のRIANT-りあん-にこもりっきりで(笑)
今月のセミナー教材(ルセット、料理写真)と料理の手直し
です。
それから、大量の赤ワインを煮つめて牛ホホの煮込みも仕込
みます。
夏でもコンスタントにご注文される料理なのですが、やはり
これからが一番食べたい季節でしょう?
蝦夷鹿も一度召し上がられた方は、ほぼ全員「ありますか?」
と二度、三度とご注文されますが季節限定なので・・・。
この煮込みは年中作ってます。
前者は血の滴るフレッシュさが最高だし、後者は赤ワインと
火と時間が創り出す柔らかさ、優しさ、ググッと迫るコクが
いいです。
僕に、この赤ワインソースのきらめき、誘惑を教えてくれた
のは、Coq au vin(コック・オゥ・ヴァン/雄鶏のワイン煮)
です。
日本では通常、雄鶏も雌鶏もごちゃ混ぜだし・・・・。
市場に出回っているのは殆ど若鶏だから、正確に言うと
Poulet au vin(プーレ・オゥ・ヴァン)かな?
それも、初めて作ったのは・・・・。
シェフがやめてしまった厨房に残された・・・・・。
フランス料理歴が一年になろうか、なるまいかという時の僕
でした。
教科書を見て作ろうと思ったら、その店のオーナーが・・・。
「皮が固いのがいやだから焼かないでつくって欲しい」って。
「ホヘッ?」(笑)
この店にいたのは、この後一年足らずなのですが・・・・。
この時、ピアノ(ガス台の事をこう言います。いいでしょう?)
の前で、考える事を覚えました。
巴里へ行ってある有名レストランのメニューの表紙に、昔、昔の
料理人がそうして大きな鍋の前で考えている絵が描かれていて、
昔の料理に、フランス料理にと言うか・・・・。
連綿と続く人の営みに対して・・・。
妙に嬉しくなり、心の中が優しく包まれた記憶があります。
閑話休題・・。
焼かないで作って欲しいと言うのともう一つ注文が来ました。
「圧力鍋を使って、光熱費を浮かして欲しい。」(笑)
僕の長い(もう二十七年になります)料理人生で、この時程、
圧力鍋を使った時期はありません。(爆)
意見を述べるほど経験がないのですから、言われるまま作り
ました。
煮上がる時間は、それは早いのですが・・・。
煮汁の上に脂が大量に浮かんでいたのです。
僕は祖母の料理を食べて育ったからか、どうもこの脂ギトギト
に食指が動かないのです。
勿論料理人ですから、脂の中の旨味が欲しいから、脂を使いま
すが、余り見ていたくないというか・・・・・。
それで、自然にこの脂をすくい始めました。
その時に軽く沸かしていると、脂とあくが表面に固まるのです。
今見たら、「引き寄せの法則」なんて思ったでしょうが、当時は
「類は類を呼ぶ」「悪(灰汁)は悪(灰汁)を呼ぶ」って・・。
一人呟きながら、せっせと時間の経つのも忘れ灰汁と脂をすくい
取りました。
この時、煮詰まるほどに美味しくなる出汁を発見したのです。
勿論、出汁を煮つめればコクがでるなんて、頭では理解してい
ました。
そうではなく、刻々と変わるブイヨンの色と味を・・・・。
煮汁がブイヨンとなり、ソースへと変貌する様を・・・・。
深い圧力鍋の口から蕩々と上がってくる湯気を顔に浴びながら
感じたのです。
「煮つめる事だ!」
突然、僕の頭の中で衝撃が起こりました。
日本料理にも煮つめることはありますが・・・・。
こんなにも、料理そのものを意味してはいませんでした。
肉と赤ワインとミルポワ(玉葱、人参、セロリ等の香味野菜)
を与えられ、考えながら感じた僕のフランス料理でした。
それから十年後・・・・。
料理の鉄人という番組で、某有名フレンチのオーナーシェフ
(フランス人)が語っているシーンをたまたま見ました。
弟が普段TVを見ない僕に気を利かして録画してくれたかな?
彼は、対戦者に負けてしまったらしいのですが・・・・。
インタビューでこう言いました。
「フランス料理は煮つめる事だから時間が足りなかったよ。」
僕は自ら感じたフランス料理というものを・・・・・。
このフランス人シェフの口から聞いたとたん、僕の心の中が
「ニヤリ」(笑)となったのを見逃しませんでした。(爆)
「時が来ればかならず
何時か何処かで
君は自分自身に出会うだろう。
それが、それだけが
君の命において最も幸せなこと、
あるいは
最も苦いことになるだろう。」
=パブロ・ネルーダ=
今日も、新しいインスピレーションを
迎える、そして、迎えにゆく
1日でありますように。 (^ー^)v
そして・・・
いつも 「ありがとう」
メールマガジン「愛される料理」
発行システム :『まぐまぐ!』さん→ http://www.mag2.com/
発行者 :料理教室&BistrotRIANT-りあん-川名克典
URL :http://homepage2.nifty.com/riant/
バックナンバー:http://ameblo.jp/riant/
日本語URL :愛される料理.jp
chefの独り言 :http://riant.cocolog-nifty.com/blog/