料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。
それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。
おはようございます。
涼しい週末はいかがお過ごしでしょうか?
ちょっと油断すると風邪をひくほど、寒い様な気がします。
お気をつけ下さいませ。m(_ _)m
夕べのレストラン営業は貸し切りでした。
それも、大変面白い貸し切りでした。
若い友人のRちゃんご夫妻様が中心となりお友達の結婚式の
出し物としての映画をりあんで撮られたのです。
僕はTVを全く見ないのでよくわかりませんが、何かの番組の
パロディだそうです。
ある日、お姫様とお付きの女性がりあんにいらして・・・・。
シェフ(僕)に料理とお皿の関係を教えて欲しいと言うのです。
料理教室を開いている僕にとっては、即座にお答え出来る質問
であるべきなのですが、今一方程式のような言葉が見つかりま
せん。
うちには余り料理を盛り付けられないような器がなくて(トホホ)
どれに盛り付けてもそこそこ料理を引き立ててしまうのです。
理屈っぽく語るのは、白けてしまいそうですから(笑)
一番安心できるお答えと思い・・・・・・。
シンプルな料理には複雑なお皿。
複雑な料理にはシンプルなお皿。
と言う「一つ」の結論と、ソースに自信があるなら断然白磁器が
良いというお答えをさせて頂きました。
今回このお話を一昨日の晩に聞かされて(笑)
その夜中一人で考えました。
僕は、二十一の時にとても大切な彼女を失いました。
落ち込みました。それまでに経験したことのない喪失感でした。
今でも引きずってます。(爆)(^_^;)
ただ、それから数ヶ月後に、あるお蕎麦屋さんで手作りの陶器で
もてなされたときに、その器が僕の欠けた心にじんわりと浸みて
きたのです。
その器を眺めていたら思わず涙がこぼれ落ちそうになりましたが、
祖母、母、叔母が一緒だったので必死に耐えた様に覚えてます。
僕の心に出来た傷口を、その器がそっと包みこんでくれる様に
感じたのです。
僕は、当然のように陶芸を学び始めました。
日に日に心は癒されて、いつしか「僕は陶芸家になる」とさえ
思ったのです。
そしてその頃、僕の心の隅から隅まである作品が押し寄せて来
ました。
この陶芸家の作品ならどれを見ても、心がときめいたのです。
なんていきいきとした器なのだろう。
自由奔放と極限までの緊張感。
豪快さと繊細さ。
まるで宇宙がこの器の為にあるようなふてぶてしさ。
と・・・。
何故か、哀しみをも感じさせるのです。
「北大路魯山人」
彼の作品を見るうちに僕は料理を学ぼうと思い始めたのです。
彼は料理は自ら作るのですが、轆轤はひきませんでした。
職人が作った器に、一筆、指一押しするのでした。
後にこの作り方で、彼の名を入れることが問題となり自ら作られ
たそうですが・・・・。
母にさりげなく「料理人か陶芸家になろうと思う」と言いました。
母は何も言わず、知人(僕は全く存じ上げない)の料理長に相談
したのです。
母は僕の略歴も話したのでしょう。
その方が母に紹介できるのは、銀座の「胡蝶」と「ろくさん亭」
と言うことでしたが、「ろくさん亭」の方をを強く薦めて下さっ
たのです。
道場六三郎氏と、面接をした翌週・・・・。
僕は、「銀座ろくさん亭」の厨房にいました。
五年も遅いスタートです。料理を食らいつくように覚えました。
二年目には、それなりの仕事が出来ているつもりでした。
この頃なら、いくらでも器と料理の関係の能書きが語れたと思い
ます。(爆)
でも、それから二十七年。
僕はいつしかフランス料理職人になっていました。
居酒屋、うどん屋、鉄板焼き屋、喫茶店、ビストロ、レストラン。
色々な店で色々な器を使いました。
パリの二つ星、場末のキャフェ、NYのフレンチレストランでも。
そして思うのは、料理と器の方程式は・・・・。
あまり「ない」のではないか・・。
それより、その場にあう器の方がより良いような気がします。
B・B・Qに行ったなら、トゥール・ダルジャンの鴨も使い捨て
の紙皿で手づかみの方が様になるし・・・・。
家庭でだってサラハでのキャンプ風食事が出来そうです。
フライパンのままの料理、床に座ってあぐらをかいて・・・。
背の高いアレカヤシなんかを持ってきたり(笑)
こんな時は、バナナの葉っぱに盛り付けてみたい。(爆)
その料理には、「愛」と「優しさ」や「楽しさ」が詰まっている
はずです。
料理と器の美しさ、緊張感、互いに引き立てあう空気・・・・。
どれもなおざりにするわけではありません。
ただ、今の僕にとって、料理の着物は器だけでなく、空間であり、
シーンであり・・・・。
そして、それはその料理に交わる「人」だと思うのです。
二十三才の僕のこだわりは何処へ消えたのだろう?
料理人になる前に魯山人の半生をTVで見ました。
美を求める生き方には憧れましたが、回りの人々を翻弄させる様
に愕然としました。
フランス料理修行の最中、魯山人がパリのトゥール・ダルジャン
で鴨を食べる際、持参した粉わさびを溶き、わさび醤油で食べた
話を知りました。
これは、「魯山人と辻留 器にこだわる」(辻義一著)にも出て
ます。
辻義一氏にとっては先生である魯山人ですから・・・。
「醤油がお好きだったのでしょう。・・・・」
「あの雰囲気で度胸がいります。」
と書かれてましたが、フランス料理とパリを愛した僕にとっては、
そして、好きだった魯山人の所作と思うと何ともやるせない気持
ちでした。
魯山人に憧れていたのですが・・・。
「器は料理のきものである」と言う有名な言葉が・・・・。
僕の胸の中で輝きを失ってゆくのを、黙って感じていました。
あ・・・・・。
僕が料理教室で一番伝えたい事は、料理と人との交わり・・・。
夕べの撮影が教えてくれた。(笑)
Rちゃんご夫妻様。そしてスタッフの皆様・・・・。
どうもありがとうございます。m(_ _)m
そして、ご友人の新郎様、新婦様・・・。
ご結婚おめでとうございます。
末永い幸せを中目黒の空の下でお祈りしております。
かわなよしのり
今日も、新しいインスピレーションを
迎える、そして、迎えにゆく
1日でありますように。 (^ー^)v
そして・・・
いつも 「ありがとう」
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