ゆとり世代を揶揄するものの一つに、「手つなぎ運動会」があります。
足の遅い子がかわいそうとの理由から、運動会の徒競走で、順位を付けるのを止め、みんなで手をつないでゴールテープを切るというものです。
テレビのコメンテーター、新聞の論説委員、大学教授、評論家や識者たちが、こぞってこの手つなぎ運動会を取り上げ、批判を繰り広げました。
「ナンセンスだ」
「過保護だ」
「足の遅い子は他で頑張ればよい」
「公平をはき違えている」
国会でも取り上げられ、安倍総理が答弁に立ち、
「私は直接見たことはありませんが、手つなぎ運動会なるものがあることは承知しております」
などと答えました。
ところが不思議なことに、手つなぎ運動会に参加したという人はどこにもおらず、見たことのある人もいません。
全員が、「どこかで聞いたことがある」、「知り合いがあるらしいと言っていた」などと答えます。
テレビや新聞、雑誌などのメディアも例外ではなく、国会でも議論された重要な社会現象なのに、一次情報(記者が直接情報源から取材するもの)は皆無なのです。
だから、手つなぎ運動会のニュース映像はどこにも存在しません。
今は、ほとんどの人がスマホを持ち、気になるものがあれば、簡単に動画撮影する時代です。
しかもブログ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどSNS全盛の時代、撮った動画を簡単にアップできるから、膨大な数の手つなぎ運動会の動画が上がっていて当然なのに、動画検索しても一件もヒットしません。
Youtubeで「運動会」を検索したら48万5千件の動画が出てきますが、その中に「みんなで手をつないでゴールする映像」はありません。
そもそも、この手つなぎ運動会に肯定的な人っているんでしょうか?
100人に聞いたとして、いるとしてもたぶん2,3人くらいのものでしょう。
変わった人はどこにでも一定数存在しますから。
学校も例外ではないので、変人教師がいたかも知れません。
そしてこの教師が、手つなぎ運動会を提唱したとしましょう。
この「手つなぎ運動会」を教頭、校長、同僚の教師たちが、
「おお!それはすばらしい!ぜひやろう」
などと賛同することなどあるでしょうか?
本当に、こんな奇妙キテレツなものが職員会議を通過し、実行に移されたのか?
想像してみてください。
ゴールに向かって走って来る子どもたちを、数人の教師がゴール寸前で止め、手をつながせ、さあ仲良くゴールイン!
冷静に考えてみると、こんなこと絶対にあり得ません。
今回の熊本地震でも、多くの流言飛語やデマが飛び交ったそうです。
でも、それは何も非常時に限ったことではないということです。
たとえ平時であっても、あり得ない話が世に溢れることがある、ということを肝に銘じて置かなければなりません。
そして、それをメディアが、「ゆとり世代の間違った教育」の例として採り上げると、本当はどこにも存在しない「手つなぎ運動会」が既成事実化して定着する。
これは恐ろしいことです。
何度も書いていますが、新聞やテレビなどメディアに全幅の信頼を寄せることは非常に危険です。
芸能ニュースなどは、どこの放送局、新聞も似たようなものになりますが、政治や国際問題になると、それぞれが持つカラーが前面に出てくるからです。
これについては、またの機会に書きます。