落選者に投じられた票のことを「死票(死に票)」と言います。
衆議院議員選挙を考えてみましょう。
現在は、小選挙区制ですから、一つの選挙区からは一人しか当選できません。
5人立候補しても当選するのは一人だけ、と言うことは、残りの4人の候補者に入れられた票は、全くの無駄になったということを意味します。
(すばらしい政策を持っていたとしても、議員になれなかったので、投じられた票は全く生かされなかったという意味で死票といいます)
例えば、ある選挙区で、原発問題を争点にして戦った5人の候補者がいたとしましょう。
Aさんは、自民党が強力に推す候補者で、「原発再稼働賛成、新しい原発もどんどん作る」とする人。
Bさんは、無所属で、「今すぐは現実的でないが、原発は時期を見て廃止」を唱える候補者。
Cさんは、野党X党の公認候補で、「原発は古いものから廃止」を言っている。
Dさんは、野党Y党とZ党が推薦する候補者、「原発は即時廃止」が公約。
Eさんは、無所属で出馬した大学教授。
「原発はいろんな面で割に合わず、大変危険なものですぐに廃止」が持論。
さて、分かりやすくするために、この選挙区に投じられた票が全部合わせて100万票だったとしましょう。
めでたく当選した原発推進派のAさんが獲得した票が、30万票
次点(2位)のBさんの得票数は、25万票。
3位のCさんは、20万票を獲得。
4位だったDさんは、15万票。
残念ながら最下位(5位)のEさんは、10万票。
当選したAさんは、原発再稼働、新設に向けて頑張ることでしょう。
彼に投票した有権者の一票は、Aさんを国会へと送り込めたことで、「生きた票」となりました。(めでたし、めでたし)
でも、ここで妙なことに気付きます。
Aさん以外のB,C,D,Eさんたちは、若干の違いはあるものの、全員が原発廃止を訴えています。
彼らの得票数を合計すると、70万票になり、Aさんが得た30万票の倍以上になります。
つまり、原発を止めて欲しいと考えている7割の有権者の意見が無視され、選挙結果に反映されなかったわけです。
この地区の住民の多くが原発を望んでいないにもかかわらず、この地区代表のA議員は、今後せっせと原発推進に向けて活動していくという何とも皮肉な結果となりました。(笑)
もちろん、これは極端な例ですが、似たような現象は日本各地で起きています。
「多数決で勝利した」と言っても、半数の50%を超えていないものもあるわけです。
前回の衆院選で、自民党の得票率は半分に届かない48%でしたが、議員占有率は76%に上りました。
さらに、もう一つ。
死票がこんなに多いと、
「選挙に行って原発反対の議員に入れたって、どうせ勝つのは自民党の議員だしな」
という諦め感が生まれ、投票率が下がり、政治への無関心が増大します。
じゃあ、どうしたらいいの?
誰に投票するか、何を基準に決めたらいいの?
ですか?(汗)
原発推進派の人は、Aさんに入れればいいと思います。
自民党支持だけど、原発に関しては再起動に慎重であってもらいたいと考える人、また現在の政権は右寄り過ぎて嫌だと考える人は、大勝ちさせないように、お灸をすえる意味で、Aさん以外で一番マシな人に入れるっていう選択肢もアリ。(笑)
原発反対の人は、反原発を唱えるB~Eさんたちの中で、自分が思う最もいい候補者ではなく、Aさんの次に票を集めそうな人を「セカンド・ベスト(次にいい人)」と考え投票します。
たとえば、こういうことです。
「演説を聞いたら、Eさんが最もよかった。大学の先生だし、原発廃炉作業、代替エネルギーの話にも説得力があった」
でも、Eさんは知名度も高くなく、とても受かるとは思えない。
そこで、メディアの調査で、Aさんの次に有力だと考えられているBさんに投票するのです。
多くの人がセカンド・ベストに投票すると、Aさんを破り、反原発を主張する議員が誕生する可能性が大いに高まります。
それさえしたくない、死票になってもいいから、自分が良いと思う候補に入れるんだ!と言う人はですねぇ…。
最下位だったEさんも10万票を獲得したのだから、この10万人の応援を糧として、再度立候補する可能性、そして受かる微々たる可能性に賭けてみる、、、、ってのもあり…かもね。(笑)