聞くこと | 音楽すること・生きること

音楽すること・生きること

フランスに住んでいます。結婚、出産、国を超えての度重なる引っ越しを経てフランスに在住、長男が小学校5年生の時から仕事を
再開。その1年後にジャズピアノを始めました。
音楽・その他、日々の出来事を綴っています。

3月末に階段で右手の指を怪我してから、1か月あまり経った。

今は普通にピアノを弾くと、翌日に小指が痛くなる。
それでも、少しずつ確実によくなってきている。

1か月以上休んでいたジャズのアンサンブルのクラスにも、そろそろ戻ろうと思っている。

もう一人のピアニストから「次はこれをやる」と教えてもらった曲の一つは、
The Saga of Harrison Crabfeather。
Steve Kuhn の曲だ。

 

 

リアルブックでは4分の3拍子で表記されていて、全部で56小節。

最初は、

「これでは自分がどこを弾いているのか見失いそうだ。ソロが取れない」

と思った。

そこで自分でテーマを耳コピしてみると、8分の6拍子に聞こえた。
途中、一回目の Ab#11 のところだけが4分の3拍子に聞こえる。

そう考えると、小節数がぐっと減る。
曲の構成も、自然に身体へ入ってきた。

さらに、iReal Proでこの曲を探したとき、最初の設定テンポがかなり遅めだったので、そのままのテンポでソロを弾いてみた。

そのとき、今朝見た夢のことを思い出した。

「胸の部分に耳があるつもりで弾く」

という感覚だ。

すると、驚くことが起こった。

ソロが、まるで変わった。

「胸の耳」で聞きながら弾くと、

――せかせかした気持ちがなくなる

――「自分の欲しい音はこれじゃない」という焦りが消える

――わけが分からないまま、勢いで弾き散らかすことがなくなる

そして、

・ソロを弾きながら、楽に息が吸える
・弾きっぱなしではなく、「待つ」ことができる
・「こう弾きたい」という感覚と、実際に鳴っている音が近づく

そんな変化があった。

もちろん、iReal Proのテンポが遅めだったことも関係していると思う。

でも、それだけではなかった。

わたしはこれまで、ピアノを弾くときに、

指、手、腕、肘、肩、姿勢、そして足が床にしっかりついていることには気を配ってきた。

けれど、特に即興演奏では、鍵盤のすぐ近くにある「胸」で聞くと、演奏が安定する。

夢の中に出てきた、「胸の耳」。

「頭」で弾こうとすると、
まるで洗濯機のボタンを押すように、脳が指へ命令を出すプロセスになる。

気が散る。

でも、「胸の耳」で聞きながら弾こうとすると、
もっと直接的に、感情が音へ伝わっていく。

もちろん、本当に胸に耳があるわけではない。でも、頭で考えて音を選ぶのではなく、

身体の中心で音を受け取る感覚、と言えば近いかもしれない。

 

気づくのは遅かった。
でも、気づけてよかった。