郵便局で 生徒のお母さんに会う | 音楽すること・生きること

音楽すること・生きること

フランスに住んでいます。結婚、出産、国を超えての度重なる引っ越しを経てフランスに在住、長男が小学校5年生の時から仕事を
再開。その1年後にジャズピアノを始めました。
音楽・その他、日々の出来事を綴っています。

次男を幼稚園に送って行った帰り、郵便局に寄った。
日本のお友達、I ちゃんに、郵便物を送るためだった。
ふと振り返ると、そこに、若いお母さんがいた。わたしの授業を
受けている、7才の女の子、Mちゃんのお母さんだった。
挨拶した後、お母さんが、「その後、鍵のことどうなりましたか?」と
きいてきた。

先週の授業の時、わたしは、鍵があけられなかったのだ。
鍵を入れているポシェットには、別の建物の鍵の束と、その日、
授業に使う教室の建物の鍵が入っていた。その日の鍵は、二本
しかないのでばらで、キーホルダーにつけないで入れてあった。
ばらばらにしてあったうちの一本が、そこの教室に入る建物の入り口を
開ける鍵だった。わたしは、何を思ったか、鍵の束の方の、色も形も
そっくりな違う鍵を使ってあけようとして、あけられなかったのだ。
思い違いをしたのだった。

結局、鍵屋のおじさんに来てもらったり、その建物の管理を
しているところへ、鍵が変更になっていないかどうかききに
行ったりした。最後に、腹をくくって、「きょうは、外で授業します。」と
提案した。歌ったり、質問したり、手製のリズムカードを使ったりして
授業を進めた。
二クラス目の時に、はっと自分の鍵の間違いに気がついて、無事に
建物が開けられたというハプニングがあったのだ。

Mちゃんのお母さんに本当のことを話した。「二つよく似ている鍵があって・・・」
そして、わたしが すぐそばの鍵屋や、管理している機関に行く間、こども達を
見てくれていたことのお礼を言った。
Mちゃんのお母さんは、Mちゃんが、『外で勉強した。』と喜んでいたと言った。
「ピアノもない、黒板もない、何にもないのに、よく授業ができましたね。」と
感心しながら言った。わたしは、どんなことをしたか手短に話した。
「複合拍子を入れたのですが、Mちゃん、わかっているようですか?」と
たずねると、「わたしは音楽のことが全然わからないので、Mはひとりで
勉強しています。でも、Mは それはそれは大喜びで 授業に行っていますよ。」
と言って、顔をほころばせた。

鍵のハプニングのことは必要なところには すぐ事後報告した。
生きている間には恥を書くことがある。
その日は 眠れないほど悔やんだものだけれど、
定年くらいの年になったら、なつかしいひとつの思い出になるかもしれない。
もうすぐ一週間になるけれど、それでも、まだ、どこかで、気にして、
悩んでいた。でも、さっききいたMちゃんのお母さんのことばで 
元気になった。意外と、こども達は喜んでいたかもしれない。

わたしは、一生に一度、外で授業した。
こどもたちは階段に座り、歌を歌って、リズムを打った。