ランス革命時のパリを大冒険!

 

 

アサシンクリード ユニティ(以下、「ユニティ」と表記)は、2014年11月20日に日本で発売された。ほぼ同時期に発売されたアサシンクリード ローグが従来のアサクリシリーズの特徴の集大成として作られたのに対し、ユニティは新要素や原点回帰を盛り込んだ意欲作だ。

ユニティの舞台はフランス革命で揺れるパリ。メーカーであるUBIsoftは、フランスの会社なので、母国を舞台としてユニティに対する作り込みの意気込みがうかがえる。ユニティをプレイしていて感心したのは、革命時のパリの街並みの再現レベルだ。例えば、↓はパリを代表する観光名所にもなっているノートルダム大聖堂の遠景。

時代考証とクオリティの高い街並みの表現はアサクリシリーズの特徴だが、ユニティではそのグラフィックレベルにひたすら感心するばかりだった。

ユニティでも「アサシン vs テンプル騎士団」の構図は存在しているのだが、4のブラックフラッグやローグでその対立構図が曖昧になってきたように、ユニティでも、主人公・アルノは父親の敵を討つためにアサシンに加わる、という経緯になっており、単純な「アサシン vs テンプル騎士団」の話ではなくなってきている。

例によって、ネタバレは冒頭のストーリー以外には一切触れないので、未プレイで購入を迷ってる方も安心して読んでほしい。

 

プレイ時間:40時間くらい

シンクロ率:49%

 

<評価>

総合:4

ストーリー:4

グラフィック:5

操作性:4

熱中度:4

ゲーム難易度のバランス:4

 

<特徴評価>

・初代アサクリを思い起こさせる「暗殺ミッション」に焦点を当てたゲームシステム。

・フランス革命の舞台裏で進む主人公・アルノの物語

・おそらくシリーズ最大ボリュームと種類のサブミッション

 

 

・初代アサクリを思い起こさせる「暗殺ミッション」

他の人のユニティの評価を見ていると、好き嫌いがハッキリ分かれているようだが、実際にユニティのゲームシステムは特徴的だった。まず、従来のアサクリシリーズで人気だった「プレイヤー無双」が難しい仕組みになっている。

例えば、従来のアサクリシリーズでは、単身で敵の屋敷に正面から乗り込み、ワラワラ出てくる雑魚敵を片っ端から切り伏せていく、という「暴れん坊将軍」みたいなプレイが可能だった。さながら、時代劇の殺陣を見ているかのような動きで、見事に敵を切り伏せていくのは爽快だ。ただ、それってアサシンっぽいだろうか?

ユニティでは、初代アサクリのような、頭を使って敵のスキを突き、気づかれにくい侵入ポイントを見つけて潜入し、なるべくバレないようにターゲットを仕留める、という、まさに忍者のようなプレイが楽しめるように設計されている。私は、この方が「アサクリシリーズ」らしくて好きだ。

そのため、暴れん坊将軍のように敵陣の正面から突入して、現れる敵を次々と鮮やかに切り倒していく、というプレイはかなり難しい。できないことはないが、プレイヤースキルと時間がかかってしまう。なので、「暴れん坊将軍」タイプのプレイヤーには「まどろっこしい戦闘」と評価されてしまうのもうなずける話だ。

これは「面白い or 面白くない」というよりも「好きか or 嫌いか」で判断される話ではないか、と思う。そういう意味で、ユニティは「好き嫌いがハッキリ出る」とゲームだと言えるだろう。

 

 

・フランス革命の舞台裏で進む主人公・アルノの物語

ユニティは、ストーリーも従来とは異なって味を出している。4やローグの時点ですでに「アサシン vs テンプル騎士団」という単純な対立の話ではなくなってきていたが、ユニティでは「アサシン vs テンプル騎士団」というのはむしろオマケで、ストーリーの主軸は主人公・アルノの人生で進められている。序盤で、アルノは幼い頃に父をテンプル騎士団に殺害され、その復讐を果たすためにアサシンに入団する。それは、決してアサシンの信条(アサシンクリード)に共感してテンプル騎士団と戦うのではなく、純粋に個人的な復讐のためであった。ストーリーのネタバレはできないので、これ以上詳しいことは書けないが、ユニティはあくまでアルノの物語である、というのが特徴だ。

そして、物語の舞台がフランス革命中のパリ、というのも重要だ。フランス革命という、これまで人類が経験したことがない歴史の転換点で、アサシンだけでなくテンプル騎士団側でも意見の対立や抗争が生じており、時代の流れに翻弄されるアサシンとテンプル騎士団の変化も見ごたえ十分だった。

というわけで、ストーリー面では最近のアサクリシリーズよりもかなり改良されて、深みのある話になっている。ただ、歴史上の有名人との関りは希薄なうえに無理があるように感じる部分もある。この辺のストーリーの組み立ては、もう少し面白くできたのではないか、とも感じた。

 

 

・おそらくシリーズ最大ボリュームと種類のサブミッション

ユニティのメインストーリーの長さは、ブラックフラッグとほぼ同じくらい。だが、サブミッションの数と種類はおそらくアサクリシリーズで最多なのではないか、と思う。従来のような簡単なミッション集に加えて、他プレイヤーと協力できる「協力ミッション」(ちなみに、単独でもできるのでご心配なく)や、フランス革命で実在したマイナー人物や事件を題材にした「パリ・ストーリー」、謎かけ文章から答えを探す「ノストラダムスの謎」や、シャーロック・ホームズのような殺人事件の推理を行う「殺人ミステリー」など、新しい趣向のサブミッションも追加されており、ボリュームいっぱいだ。私も、サブミッションをすべてこなすにはあと2~3か月くらいかかる、と考えて、サブミッションは20%くらいで止めておき、メインストーリーを進めてクリアして、このブログを書いている。それだけ、ユニティは長く遊べるボリュームがある、ということだ。

 

まとめると、ユニティはアサシンクリードの原点に立ち返るシステムで、忍者のような「アサシン」を演じられる味わいのあるゲーム、と言えるだろう。

 

<アサシンクリード ユニティはこんな人におすすめ>

①アサクリシリーズファン(特に1と2)

②パリの美しい街並みをバーチャル観光したい

③バッタバッタと敵をなぎ倒すよりも、頭と道具を上手く使う頭脳戦が好み