9月19日



 オデュッセウスは更に、俺をあまり怒らせると血を見ることになるぞ、と言う。それに対してイーロスはこう応える。



ὢ πόποι, ὡς ὁ μολοβρὸς ἐπιτροχάδην ἀγορεύει,
γρη
ῒ καμινοῖ ἶσος: ὃν ἂν κακὰ μητισαίμην (18-27,8)

おお、この欲張り野郎は何とペラペラ喋りまくることか

竈守りの婆アのように。とっちめてやろうか

κόπτων ἀμφοτέρῃσι, χαμαὶ δέ κε πάντας ὀδόντας
γναθμ
ῶν ἐξελάσαιμι συὸς ὣς ληϊβοτείρης. (18-29,30)

両手で打ちのめして、そして地面に全ての歯を

顎から叩き落としてやろう、畑を荒らす猪同様に



 こういう言い合いは、いつも生彩に富んでいる。

「竈守りの婆アγρηῒ καμινοῖ」がお喋りだというのはありそうなことだ。猪のように「全ての歯を/顎から叩き落としてやろうπάντας ὀδόντας/γναθμῶν ἐξελάσαιμι」というのも動物の比喩が得意なホメーロス(の分身イーロス)ならではの啖呵だ。

このような場面を読んでいると、ホメーロスの世界がぐっと身近になる。最古の古典であるが決して遠い昔のものではない。今日の一節などは、日本の古典と比較して見ても、古代、中世ではなく近世江戸の世界、落語の世界に近い様にさえ感じる。



夜中に雷、朝まで久しぶりの雨、午後は晴れ、そして夕焼けだ。目まぐるしい。