8月26日


次は武器の問題だ。オデュッセウスはテーレマコスに敵から武器を取り上げる策を授ける。求婚者共にこう言って武器を取り上げるがいい。「煙がかからぬように蔵った」とか、


πρὸς δ᾽ ἔτι καὶ τόδε μεῖζον ἐνὶ φρεσὶ θῆκε Κρονίων,
μή πως ο
ἰνωθέντες, ἔριν στήσαντες ἐν ὑμῖν, (16-291,2)

そして更にこんな大事な考えをクロノスの御子は心に置き給うた

(即ち)酔っ払って皆さんの間に諍いが起きないようにと


ἀλλήλους τρώσητε καταισχύνητέ τε δαῖτα
κα
ὶ μνηστύν: αὐτὸς γὰρ ἐφέλκεται ἄνδρα σίδηρος. (16-293,4)

お互いに傷つけ合い饗宴の場も台無しにし

求婚の場も(台無しにして)。鉄は自ずと男達を引きつけるもの故


とか言いくるめて、と。こういう口実を考えさせたら、オデュッセウスの右に出る者はいない。

三千年の昔から酒席での喧嘩は絶えぬ現実があったのだろう。それと、「鉄は自ずと男達を引きつけるもの故αὐτὸς γὰρ ἐφέλκεται ἄνδρα σίδηρος」は、表現としてもだが、捉え方としても面白い。「良き刀を持つと人を切りたくなる」とは日本でもいわれていた。ここら辺、詩人の世情観察眼が窺える。


昨日は法師蝉だったが、今日は蜩が聞こえた。

 蜩の切字ばかりの一句かな  拙作