8月20日
小屋に入ったテーレマコスはオデュッセウスに気づき、これはどこの御仁かと豚飼に訊ねる。豚飼は手短かに答た後、この御仁をあなたに託したいと言う。それにテーレマコスは応える。
πῶς γὰρ δὴ τὸν ξεῖνον ἐγὼν ὑποδέξομαι οἴκῳ; (16-70)
どうしてこの客人を私が家に迎えることが出来ようか
αὐτὸς μὲν νέος εἰμὶ καὶ οὔ πω χερσὶ πέποιθα
ἄνδρ᾽ ἀπαμύνασθαι, ὅτε τις πρότερος χαλεπήνῃ: (16-71,2)
私自身は(まだ)若く、腕力においても全く
人から守ってやる自信がない、誰かひどいことを仕掛けた時に
「(まだ)若くνέος」と言っている。しかし、オデュッセウスのトロイア出征前に幼児であったテーレマコスは、トロイア戦争の十年、その後の漂流十年を加算すれば二十代であったはずだ。それを「(まだ)若くνέος」とは若干腑に落ちない。
更にこんなことも言っている。
πρῆξαι δ᾽ ἀργαλέον τι μετὰ πλεόνεσσιν ἐόντα
ἄνδρα καὶ ἴφθιμον, ἐπεὶ ἦ πολὺ φέρτεροί εἰσι. (16-88,9)
大勢の中にいて何ごとかを成し遂げるのは容易でない
たとえ勇猛な者であっても、何しろ遥かに強い奴らだから
なんとも頼りないが、自らの力の限界を認め率直ではある。こんなところもテーレマコスの個性だ。
きのうの新聞で思わず笑った記事があった。読書欄のコラムで若い芸人の書いた文章だ。最近のネット書店では過去の購入歴を分析して、その人にお勧めの書籍を選んで、本人宛メールです推薦して来る。その芸人のところには最近『バカは治る』の推薦があったのだそうだ。この若者は文章もうまいしテレビに出てもなかなかしっかりしている。たまたまそれまでの注文傾向が軽薄路線だったからなのだろうか。そしてこの人、その『バカは治る』を注文して読んでみたというから、人がいい。