8月6日
そのテーレマコスの願いに対しペイシストラトスは同意する。そして自分が家に帰る前に乗船するようにと促してこう言う。
εὖ γὰρ ἐγὼ τόδε οἶδα κατὰ φρένα καὶ κατὰ θυμόν:
οἷος κείνου θυμὸς ὑπέρβιος, οὔ σε μεθήσει, (15-211,2)
というのも私は心の内でよく分かっているのです
いかに彼(親父)の考えが頑固か。あなたを放さないでしょう
ἀλλ᾽ αὐτὸς καλέων δεῦρ᾽ εἴσεται, οὐδέ ἕ φημι
ἂψ ἰέναι κενεόν: μάλα γὰρ κεχολώσεται ἔμπης. (15-213,4)
それどころか自らここに呼びに来るでしょう、そして
空しく帰ることはしないでしょう。とにかく怒るでしょうから
この四行も面白い。ネストールの新たな像がある。
『イーリアス』のネストールは陣営中第一の知恵者であり、思慮深さで右に出る者はなかった。(若干長広舌過ぎる場面もなくはないが)弁舌家にして名参謀だった。そのネストールがここでは頑固一徹の老人の側面を見せている。息子から見たら余計そう見えるのだろう。両詩編を跨がって世代交代が進みつつある。
今日は雷が鳴っていた。そのせいではあるまいが、たまたま昼のクイズ番組で「ハタハタ」の問題が出ていた。肝心の問題の精確なところは聞き落としたのだが、「魚偏に雷で何と読むか」とか、「雷にちなんだ名の魚は何か」とかだったようだ。いずれにしろ、「ハタハタ」が雷のことだとは初めて気づいた(ハタハタの漁場である秋田近海で雷の季節に産卵するかららしい)。そういえば「ハタタ」は古典に出て来たはずだ。
調べたら『竹取物語』にあった。かぐや姫に言い寄る貴公子達について、
「霜月師走の降りこほり、水無月の照りはたたくにもさはらず来たり」
の表現で出てくる。「ハタタ」は擬音語らしい。