7月28日
オデュッセウスと豚飼とその仲間達は食事を済ませ、床につく。雨の降る西風の強い寒い夜だった。そこでオデュッセウスは豚飼が上着を与えてくれるかどうか試そうとする。
そこで持ち出したのトロイアで伏勢を組んだ寒夜のことだ。
κείμεθα. νὺξ δ᾽ ἄρ᾽ ἐπῆλθε κακὴ Βορέαο πεσόντος, (14-475)
我々は横たわったのです。すると西風が吹きつけるひどい夜がやって来て
πηγυλίς: αὐτὰρ ὕπερθε χιὼν γένετ᾽ ἠΰτε πάχνη,
ψυχρή, καὶ σακέεσσι περιτρέφετο κρύσταλλος. (14-476,7)
凍てつく(夜が)、そして雪が霧氷の如く降り
冷たく(雪が)、楯の周りには氷柱が付きました
トロイアの野の冬の寒さがいかに厳しいか、ひしひしと伝わってくる。
それは、πηγυλίς [pêgyulis](凍てつく)、 χιὼν [khiôn](雪)、 πάχνη [pakhnê](霧氷)、 ψυχρή [psyukhrê](冷たい)、κρύσταλλος [kryustallos](氷柱)、これらの語が持つ [p]音や[k]音の効果でもある。「楯の周りには氷柱が付いたσακέεσσι περιτρέφετο κρύσταλλος」の表現は平凡に見えて非凡だ。
おそらくトロイアの冬は地中海中央のギリシア本土より厳しいのだろう。
今日も猛暑。しかし上記一節のお陰で、少し涼気を感じさせてもらった。