6月29日

 一行は悪天候で太陽神の島に留め置かれる。仲間達は島で食料に困り、オデュッセウスが眠っている間に、禁じられていた太陽神鍾愛の牛に手を付ける。怒った神はゼウスに向かって、


εἰ δέ μοι οὐ τίσουσι βοῶν ἐπιεικέ᾽ ἀμοιβήν,
δύσομαι ε
ἰς Ἀίδαο καὶ ἐν νεκύεσσι φαείνω. (12-382,3)
もし私に然るべき代償を彼らが払わぬのなら

私は冥界に降りて亡者の間を照らすことにしますぞ

と脅す。「天の岩戸」みたいなことが起こりかけたわけだ。

ゼウスはそれはならじと、まあそう言うな、奴らの船を粉微塵にしてやるから、と言って宥める。そしてその悲劇の前兆は早くも現れる。


εἷρπον μὲν ῥινοί, κρέα δ᾽ ἀμφ᾽ ὀβελοῖσι μεμύκει,
ὀπταλέα τε καὶ ὠμά, βοῶν δ᾽ ὣς γίγνετο φωνή. (12-395,6)

(殺した牛の)皮が這いだし、肉は串のまわりで唸りだし

焼けたのも生のも、牛そのままの声をあげたのです


禍々しい兆しだ。「這いだしεἷρπον」たり「唸りだしμεμύκει」たり、荒々しい暴力的なものではないが、却って背筋がぞっとするのを覚える。

昨日のbisextilis(六番目の日が二回ある=閏)についてだが、なぜ二月二十四日のことを翌月三月一日から数えて六番目といったのか。わざわざ翌月から遡らなくても、当月の二十四番目の日でいいではないか。どうもローマ暦では日について基準日から逆算して「何日前」と呼ぶのが通例であったらしい。そこには数え方や暦に関する独特の捉え方が潜んでいるようだ。

関連して思い当たることがいくつかある。

先ず、時刻については「十時十分前」という言い方がある。しかし、日付については「三月六日前」とは言わない。ただ、日付についても「もういくつ寝るとお正月」と言った捉え方はある。「ロンドンオリンピックまで後何日」の表現もある。「クリスマスイヴ」もある。

アイヌの数の数え方は、1から5までは普通だが6から9は変わっていて、6は「10-4」、7は「10-3」という風に数える。沖縄でもこれに似た数え方があって、今精確な表現までは思い出せないが、年齢でたとえば「49才」を「ひとつ足らん50」というような趣旨の言い方が確かあったと思う。

ローマ数字にはⅤとⅩを基点にⅣやⅨがある。
 これらのこととbisextilisはなにか繋がっているのかどうか、機会を見て調べてみたい。