6月28日
オデュッセウス一行は仲間の六人を失って太陽神の島に着く。ここには、テイレシアースの予言によれば、禍の種が待っているはずだ。オデュッセウスは通り過ぎたかったのだが、何かにつけ異を唱えるエウリュロコスが上陸を主張し、他の仲間たちもそれに同調する。やむなくオデュッセウスはこう言って折れる。
Εὐρύλοχ᾽, ἦ μάλα δή με βιάζετε μοῦνον ἐόντα. (12-297)
エウリュロコスよ、お前は俺を孤立させて脅迫するな
ここでも首領と部下達との微妙な関係がうかがえる。
上陸して食事にかかる。
αὐτὰρ ἐπεὶ πόσιος καὶ ἐδητύος ἐξ ἔρον ἕντο,
μνησάμενοι δὴ ἔπειτα φίλους ἔκλαιον ἑταίρους, (12-308,9)
食い物と飲み物を欲を追い払ったとき
そのとき仲間達のことを思い出して泣きました
οὓς ἔφαγε Σκύλλη γλαφυρῆς ἐκ νηὸς ἑλοῦσα:
κλαιόντεσσι δὲ τοῖσιν ἐπήλυθε νήδυμος ὕπνος. (12-310,1)
スキュレーがうつろな船からさらって喰らった彼らを(思い出して)。
すると泣いている者達に優しい睡りがやって来ました
食事と睡眠は生きている人間の必須のリズムだ。空腹に苛まれている時にはさしもの悲しみもしばし遠のく。空腹がやむと悲しみを新たにする。しかしその悲しみもまた睡りによってやむ。これは人間の常だ。
今日の新聞に「閏秒」の記事が出ていた。三日後の七月一日、「午前八時五十九分五十九秒」と「午前九時」の間に「午前八時五十九分六十秒」を挿入するのだという。「六十秒」には苦笑させられる。今年は二月に「閏日」を持つ閏年でもあった。
ところで閏の起源はどこにあるのか。古代ギリシアにはそのような厳密な暦はなかった。古代ローマのユリウス暦だ。「閏年」はラテン語でbisextilis(二、六)という。なぜそういうのか、今回初めて分かった。当時閏日は二月二十三日の後に挿入されていた。(新年であった)三月の朔日から数えて「六番目の日が二回」ある年ということらしい。