6月27日


六つ頭の怪神スキュレーを逃れることはできない。瞬く間に六人の屈強な仲間が捕らえられてしまう。


ἤδη τῶν ἐνόησα πόδας καὶ χεῖρας ὕπερθεν
ὑψόσ᾽ ἀειρομένων: ἐμὲ δὲ φθέγγοντο καλεῦντες (12-248,9)

(眼をやると)もはや彼らの足と手が上方にあるのが見えたのです

宙に引き上げられているのが、彼らは私に呼びかけ叫んでいました


そして、漁師が釣り上げてぴくぴく藻掻く魚をそうするように、六人の仲間を岩に打ち据える。


αὐτοῦ δ᾽ εἰνὶ θύρῃσι κατήσθιε κεκληγῶτας
χε
ῖρας ἐμοὶ ὀρέγοντας ἐν αἰνῇ δηιοτῆτι: (12-256,7)

そこの(洞窟の)入り口で泣き叫ぶ仲間を喰らうのでした

恐ろしい殺戮の中で私の方に手を広げている仲間を


「足と手は上方にπόδας καὶ χεῖρας ὕπερθεν」とか「私の方に手を広げているχεῖρας ἐμοὶ ὀρέγοντας」とか、真に迫っている。丁度、叫び声が言葉以上にものを言うことがあるように、時として手足は顔の表情以上にものを言う。


先日の句会の句会報来る。

 はっきりと断りの文立葵  流水

句会では「断った」のか「断られた」のか二つの解釈が出されたが、前者だろう。これがなかなか出来ない。句も決然と「立って」いる。

 女の子ゆすらうめの実ほどの嘘  拙作

オデュッセウスだけが嘘をつくのではなかった。