6月12日
そしてアガメムノーンの女性不信、妻不信の言葉が続く。
τῷ νῦν μή ποτε καὶ σὺ γυναικί περ ἤπιος εἶναι: (11-441)
であるからして、そなたも決して女性に甘くしてはならぬぞ
そして、具体的に忠告を与える
μή οἱ μῦθον ἅπαντα πιφαυσκέμεν, ὅν κ᾽ ἐὺ εἰδῇς,
ἀλλὰ τὸ μὲν φάσθαι, τὸ δὲ καὶ κεκρυμμένον εἶναι. (11-442,3)
よく知っている事でも全てを明かしてはならぬ
あることは話し、またあることは隠さねばならぬ
続いて、「そなたの妻ペーネロペイアは貞淑だから大丈夫と」言っておきながら、またそのすぐ後でこうだ。
κρύβδην, μηδ᾽ ἀναφανδά, φίλην ἐς πατρίδα γαῖαν
νῆα κατισχέμεναι: ἐπεὶ οὐκέτι πιστὰ γυναιξίν. (11-455,6)
こっそりと、人目につかないように、いとしい故郷の地に
船は着けねばならぬ、女は決して信用ならぬもの故
アガメムノーンの女性不信は深い。亡霊になってもそのトラウマに付き纏われている。441行目に「であるからしてτῷ」とあるが、あんな目に遭えば無理もない。
日本は今梅雨だが、ホメーロス世界の気候はどうだったのだろう。今のギリシアよりは雨が多く、緑も多かったようだ。ゼウスはよく雨を降らせる。しかしさすがに梅雨はなかっただろう。
季節の移り変わりを思わせる詩句はところどころにある。雪さえもあったと思う。それらを拾って「ホメーロス歳時記」を作ってみたら面白いだろう。