6月7日


 オデュッセウスの近くに女達の亡霊が次々とやってきて、素姓を語る。

 四人目に来たのがオイディポデスの母親エピカステーだ。


μητέρα τ᾽ Οἰδιπόδαο ἴδον, καλὴν Ἐπικάστην,
ἣ μέγα ἔργον ἔρεξεν ἀιδρείῃσι νόοιο (11-272,3)

そしてオイディポデスの母親、美しいエピカステーを見ました

彼女は気づくこと無しにとんでもないことをしてしまったのでした


どんなことをかというに


γημαμένη
ᾧ υἷι: ὁ δ᾽ ὃν πατέρ᾽ ἐξεναρίξας
γ
ῆμεν: ἄφαρ δ᾽ ἀνάπυστα θεοὶ θέσαν ἀνθρώποισιν. (11-274,5)

自分の息子の妻になって、息子の方は自分の父親を殺し

(母親を)娶ったのです、程なく神々は(そのことを)世間に明らかにしました


 あの有名なオイディポデス(オイディプス)の神話だ。息子の方も父親と知らずに殺し、母親と知らずに娶ったのだった。「気づくこと無しにἀιδρείῃσι」が悲劇の運命性を証している。


 おととい「ひょっとして」という言葉を使ったが、後でこの「ひょっ」は何か、と気になってきた。まだよく分からない。おそらく「ひょっと顔を出す」の「ひょっ」と関係があるのだろうと思う。ということは「ひょっとすると」擬態語か。