5月19日
アイオロスの怒りに触れ、オデュッセウス一行はその国から追い出される。次に漂着したのはライストリューゴネス人の国だった。
Τηλέπυλον Λαιστρυγονίην, ὅθι ποιμένα ποιμὴν
ἠπύει εἰσελάων, ὁ δέ τ᾽ ἐξελάων ὑπακούει. (10-82,3)
ライストリューゴネス人のテーレピュロスという町に着きました、そこでは牧人が牧人に
家畜を町に連れ帰りながら声をかけると、連れて出て行く牧人がそれに答えます
詩情豊かな詩行だ。しかし、謎めいている。
ἔνθα κ᾽ ἄυπνος ἀνὴρ δοιοὺς ἐξήρατο μισθούς,
τὸν μὲν βουκολέων, τὸν δ᾽ ἄργυφα μῆλα νομεύων: (10-84,5)
そこでは眠らない男は二倍の稼ぎをしています
一つには牛を飼って、もう一つには白い羊を飼って
詩情から一転稼ぎの話になっている。そして、
ἐγγὺς γὰρ νυκτός τε καὶ ἤματός εἰσι κέλευθοι. (10-86)
というのは夜の道と昼の道とは接近していたからです
これも謎だ。「夜の道」「昼の道」とは何か。神話的、民話的背景がありそうだ。
以上五行、古来注釈家達が色々な解釈を試みている。中には珍説、奇説もあるようだ。
おそらくこの一節、大意はこういうことではなかろうか。この地では牧畜のための活動時間である昼が長い、その長い昼を普通は(例えば十時間づつ)二交替制で最大限利用しているところ、一人で通して(二十時間)働く牧人は、二倍稼ぐこともできる、と。
ホメーロスには詩情があり、生活があり、謎もある。
若葉の季節だ。
柿若葉、椎若葉、樟若葉、椎若葉、楓若葉、朴若葉・・・それぞれに趣がある。