5月9日
オデュッセウスははかりごとを巡らす。先ずそこにあるオリーブの丸太に目を付ける。巨人が杖にしようと取って置いたものだ。その大きさたるや、
ὅσσον θ᾽ ἱστὸν νηὸς ἐεικοσόροιο μελαίνης,
φορτίδος εὐρείης, ἥ τ᾽ ἐκπεράᾳ μέγα λαῖτμα: (9-322,3)
二十丁の櫂を備えた黒船の帆柱くらいありました
大海原を航海する幅広い貨物船の(帆柱くらい)
比喩も「海の物語」ならではだ。
この丸太で巨人の目を突こうというわけだ。そこで部下達の中からオデュッセウスと共に突き刺す役を四人選ぼうと籤を引く。
οἱ δ᾽ ἔλαχον τοὺς ἄν κε καὶ ἤθελον αὐτὸς ἑλέσθαι, (9-334)
すると私自身が選びたいと思うであろう連中が当たりました
良い前兆だ。はかりごと成就が予告されている。
関東地方で竜巻が猛威をふるった。こんなに映像でまざまざと見、身近に感じたのは初めてだ。横浜でも被害はなかったものの突風は吹き荒れていた。
Tornadoに当たるギリシア語は何か、英語-古典ギリシア語辞典でみるとθύελλαの語があった。通常「疾風、突風」と訳されるが竜巻に近いのだろう。θύελλαなら『オデュッセイアー』で既に何回か出て来た。最も近いところでは、オデュッセウスの語る話の中で、パイエーケス人の国に漂着する直前「筏はθύελλαにばらばらにされ、私は海の深みを泳いで掻き分けていったのです」(7-275,6)とあった。