5月7日

巨人は住処の洞窟に帰って来ると羊や山羊の乳を搾る。


αὐτίκα δ᾽ ἥμισυ μὲν θρέψας λευκοῖο γάλακτος
πλεκτο
ῖς ἐν ταλάροισιν ἀμησάμενος κατέθηκεν, (9-246,7)

さっそくその白い乳の半分を凝固させ

掻き集めて編んだ籠に収める

そして、
ἥμισυ δ᾽ αὖτ᾽ ἔστησεν ἐν ἄγγεσιν, ὄφρα οἱ εἴη
πίνειν α
ἰνυμένῳ καί οἱ ποτιδόρπιον εἴη. (9-248,9)

一方の半分は桶に残して置いた、彼が

取って飲めるように、食事の時の飲み物にもなるようにと

この巨人は見るからに、そして実際、恐るべき無法者なのだが、酪農の仕事は甲斐甲斐しくこなしているようだ。そのことはこの四行が物語っている。と同時に、両詩編を読んでいるとホメーロスが諸事百般に通じていることに驚くこと度々だが、これら詩行からは酪農の生業もそこに含まれていることが分かる。

昨日の「勘違いや思い込み」に関連して、先日読んだプルーストの文章にこんな一節があったことを思い出した。

「あまりに速い読書、そこでは他の文節を確認する暇無しにただ一つの文節の上に、書かれた語に代えて我々の記憶が差し出す全く別の語を置いてしまうのだ」(花咲く乙女達のかげに)

この一節は、小説の後の展開において同様の取り違えが一つの重要なモチーフとなる布石なのだろう。