3月22日
オデュッセウスは娘達の声を聞きつける。そして、ねぐらから出て行こうとして、
ἐκ πυκινῆς δ᾽ ὕλης πτόρθον κλάσε χειρὶ παχείῃ
φύλλων, ὡς ῥύσαιτο περὶ χροῒ μήδεα φωτός. (6-128,9)
一杯に茂った木立から枝を頑丈な手で折った
葉の付いた(枝を)、肌にあてて男の隠し所を蔽うために
身につけていたものは荒波ですべて剥がされていたのだ。
128行目からは、枝の折れる音が聞こえてくるような気がするが、それは思いなしだろうか。[p]音や[k]音の効果かもしれない。
ἐκ πυκινῆς δ᾽ ὕλης πτόρθον κλάσε χειρὶ παχείῃ
[ek pyukinês d’yulês ptorthon klase kheiri pakheiê]
「隠し所」を隠すのはいつからの身嗜みだったのだろう。
着衣は何のためのものか。先ず「寒さをしのぐため」ではないかと思うが、熱帯でも「隠し所」は隠しているから「隠し所を隠すため」が先かもしれない。そして「着飾るため」の目的も時と共に重要度を増してきたのだろう。
衣食住という。考えてみれば、衣は食や住ほど生死に直結したものではない。しかし逆に、食や住は動物でも営むが、衣は人間ならではのものだ。「衣服の文化史」、これも深さと広がりをもっていそうだ。